2016.03.15
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弥生美術館の新たな企画にいつもワクワクしています。艶やかな着物を美術館でたくさん見られるなんて!楽しみに何度でも伺いたいです。
nakamurahideyuki
ご支援ありがとうございます。そして日ごろ大変お世話になっております。 先日このコメントに、谷崎の華やかなイメージとその裏にあった苦労との、ギャップについて書きました。ギャップといえば、彼が執筆にかけた労苦にも、イメージとのへだたりがあります。 何度もノーベル文学賞の候補に挙げられ、最晩年の「瘋癲老人日記」では、あと数年生きていれば確実に受賞したはずと、その天才ぶりをうたわれた谷崎ですが、一作を書き上げるまでに費やす時間が、他の作家よりかなり長い、いわゆる「遅筆」の作家でした。 彼の多作ぶりからは、頭に浮かぶ物語を苦もなくサラサラと、あっという間に書きあげていったようにイメージされますが、事実は反対で、一字一字書くごとに時間をかけ、しかも指に力を込め過ぎて、原稿用紙を破いてしまうこともあったそうです。仕事が遅いため、時間に余裕がなく、生涯、ろくに旅行に行ったことがないと言います。天才であっても、楽に仕事ができるわけではないようです。 弥生美術館 中村圭子
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