閏札（うるうふだ）って？

閏札は、トランプの構造に四季の和歌をテーマにした和のデザインを取り入れ、和紙を素材にした新しい和のトランプです。

トランプや日本の歴史・文化と向き合い、既存のトランプのカードの役割や由来などを再解釈し、マークや絵札、ジョーカーなどを独自に表現しました。

＊もちろん、普通のトランプとしてお楽しみいただけます。

（リターン品の中に、マーク・絵札の対照表を同封いたします。）

今、あえて和のトランプを作る意味として、忙しい現代人の生活に、あえて立ち止まって余白のある時間を創出することではないかと考えました。

ゲームの効率だけでなく、カードのデザインや質感を楽しみながら、あえてゆったりとゲームをするという時間を創出したり、

カードをする相手がいなくても、一人でお茶やコーヒーを嗜みながら、工芸品のようにデザインを眺めたり、和紙の質感を愛でながらゆっくりとする時間を過ごしたり、

インテリアとして、デザインを生かして額に飾ってアートのように楽しんだり、日々の暮らしの中に余白を生み出す存在としてのトランプを目指しました。

ゲームの手段としてだけでなく、コンセプトの奥行き、デザイン（視覚）、カードの質感（触覚）、箱の檜の香り（嗅覚）など、使う・所有することを含めた"楽しさ・満足感"を拡張することをイメージしました。

そのため、素材・デザイン・箱など細部までこだわったものになっていますので、ちょっと凝ったプレゼントとしてもオススメです。

閏札について

閏（うるう）の文字には、正統ではないものという意味があります。

その意味を逆説的に捉え、「こんなトランプが世の中にあっても良いのではないか？」という意味を込めて「閏札」という名前にしました。

きっかけ

「もし、トランプが日本で独自の進化を遂げていたら

今日の有り様とは違ったものになっていたのだろうか？」

なぜ、トランプのスート（マーク）は「♠♦♣♥」ばかりなのだろう？と、ふと疑問に思ったことがきっかけです。

歴史を見ると、戦国時代に現在のトランプに近いカルタが、南蛮船から日本に入ってきていました（天正カルタ）。江戸時代に賭博が禁止され、現在の歌詠みカルタや花札、地方のローカル札に姿を変え、明治期に入ってきた英米式のカードが現在のいわゆるトランプとして普及したという背景があります。

もし、天正カルタに形を変える必然性・圧力が働かなければ、構造は大きく変わらないまま、文化や精神性を取り入れていったのではないか？

という姿を想像し、「今の時代の和のトランプ」として表現しました。

カードの構成

閏札のカードの構成は、普通のトランプと同様に4種類のマーク×13枚のカードに2枚のジョーカーの計54枚の構成です。

マーク

4種のマークは、冬は雪、春は桜、夏は雫、秋は紅葉でそれぞれ四季を。赤と黒については、赤系統が桜と紅葉、黒系統が雪と雫で2つに大別しています。

冬は雪。

春は桜。

夏は雫。

秋は紅葉。

普通のトランプとは、「♠：雪」「♦：桜」「♣：雫」「♥：紅葉」で対応しており、リターン品の中に、閏札のマーク・絵札と通常のトランプとの対照表を同封しています。

絵札

12枚の絵札は、それぞれのマークの四季の和歌を詠んでいる歌人で構成しています。（万葉集や勅撰和歌集など約4万首ほどの和歌から、12人の歌人を選定しました。）

J（ジャック）：11→士（宮仕えする男子）→貴族（殿上人）

Q（クイーン）：12→十二単（平安時代の女性の服装）→女流歌人

K（キング）：13→十三月（閏月）→ 閏を社会から一歩身を引いた人と解釈（出家）

また、12人の歌人には各カードに配した理由の和歌があり、詳細をWebサイトで紹介しているので、良かったらご覧ください。

さらに、カードの識別性を高めるため、歌人のシルエットとマークの下に引いた横線の本数で絵札を表現しました。（一本：ジャック、二本：クイーン、三本：キング）

Joker

ジョーカーは、13枚のカードをかつての暦である和暦（太陰暦）の13ヶ月と解釈し、暦を司る存在として三日月と満月の2つの「月」をモチーフにしました。

ジョーカーには、最強と最弱という二面性があります。夜には絶大な存在感を放つ一方で、昼間はほとんど見ることができないという月の二面性をジョーカーとして解釈しました。

デザインについて

カードのデザインは、感覚的にトランプと認識できるようにしつつ、閏札としての独自性を持つデザインにしました。

あくまで使う人は現代人なので、生活にも溶け込むシンプルなデザインにしました。また、武士のような無骨な印象ではなく、公家のようなどことなく柔らかさを感じるような印象にしています。

さらに、シンプルで抽象的なデザインにすることで、5・7・5・7・7の31文字だけで表現する「和歌」のように人それぞれの想像・解釈ができる余白を持たせました。

カードの裏面は、シルバーと黒のコントラストが映えるデザインで、自分たちからは見えない面として月の裏側をイメージしています。

素材について

因州和紙のカード

カードの素材には、鳥取県の因州和紙を使用しています。

表面はプラスチックのような光沢がなく、デザインと調和し、一瞬手を止めて思わず眺めてしまうような品のある雰囲気を纏います。

手に取ってみると、普通のカードとはまた違う和紙の心地よい手触りが感じられ、直感的に和紙を使っている意味が理解できます。

しかし、紙の摩擦や和紙ゆえのカードの透けは、遊ぶ際の致命的なデメリットとなります。

これらの問題には裏面のシルク印刷とニスで対応しています。カードへの滑りの付与と透けの防止を実現し、デザインと機能性を両立させました。

普通にお使いになる上では、十分なカードの滑りを付与しています。

裏に紙を敷かずに、印刷技術だけで紙が透けないようにしました。

和紙のトランプは調べた限り前例がなく、既存のトランプの作り方では難しく、個別のプロセスに分解をして、制作をお願いしたショウエイさんと何度も試作を重ねて、辿り着きました。

特注の枡箱

箱は、岐阜県にある木枡専門メーカー・大橋量器の国産檜（ひのき）を使った特注の枡箱を使用しています。木箱とはまた違った枡の佇まいが、閏札の世界観をさらに引き立ててくれます。

また、箱の檜の香りが心地よく、嗅覚でもお楽しみいただけます。

実際に閏札を見てもらった方々からは、まず箱が良い！！という反応をいただくことが非常に多いです。

箱の佇まいの第一印象から品の良さが伝わるので、ちょっと凝ったプレゼントとしてもオススメです。

枡を選んだ理由は、イベントで大橋量器さんの枡を見た時に、質感や側面からの見え方がシンプルながら味わいを感じられた点で、閏札の箱に良いかもしれないと思ったのがきっかけです。

また、枡に使われる材料は高級建築材、建具材の端材が使われており、資源の有効活用の観点でも好感を持ちました。

調べてみると、豊臣秀吉が統一するまでは枡のサイズはバラバラだったという背景を知り、それなら直方体でも違和感がなく、あえて違う使い方をするのも閏札の名前に合うかもしれないと思い、カードを収納する箱にアレンジしました。

＊箱の表面は空間に溶け込ませるために、商品名やロゴ等の印字はしておりません。

有限会社 大橋量器：https://www.masukoubou.jp/

使用イメージ

日常はもちろんですが、和室や旅館などの空間に溶け込み、特別な時間を過ごせることを意識しました。

遊び方としては、並べることでカードのデザイン性が映える七並べやポーカーなどがオススメです。

オリジナルの遊び方も

四季や絵札が歌人というポイントを生かした、ローカルルールのような独自の遊び方もできます。

例えば、ポーカーの役として、「１・２・２・１・雫の十三（後鳥羽院）」で承久の乱（1221年に後鳥羽上皇が鎌倉幕府に対して起こした戦い）。

「在原業平と女性4人の組み合わせ」で、伊勢物語（多くの女性と恋をした在原業平）。

このような低確率でしか出現しない独自の組み合わせを作るなど、歴史・和歌好きの方向けのマニアックな遊び方もあります。

インテリアにも

カードゲームというカテゴリに囚われず、デザイン性を生かしてインテリアとして額に入れて壁に飾るなど、アートや工芸品のようにデザインや佇まいを楽しむこともできます。

デザインがシンプルで柔らかさがあるので、良い意味で主張が強すぎず、空間に溶け込むので、和室はもちろん、リビングなどにもマッチします。

また、マークが四季であることを生かして、桜の時期に桜のカードを、秋には紅葉など四季の変化を楽しむツールとしてもお使いいただけます。

*額に入れる際に、カードにテープを貼って固定すると、カードのインクが落ちる可能性があるためご注意ください。

細部や組み合わせで色んな解釈が

他にも構成やデザインは、細部にも意味があったり、組み合わせや構造の捉え方で様々な解釈ができるようになっています。

ぜひ、デザインと一緒に楽しんでいただければと思います。

仕様

素材であるカードの紙、箱は全て国産、生産も全て国内で行います。

カード

・素材：因州和紙・楮（こうぞ）

・枚数 54枚（13×4枚+ジョーカー2枚）+ マーク・絵札の対照表2枚

・カードサイズ：約57mm ×約89mm （ブリッジサイズのトランプと同じ）

・厚さ：約22mm

・両面カラー印刷、ニス使用、角丸加工

・生産国：日本

箱

・素材：国産檜（ひのき）

・外寸： 約76mm × 約107mm × 約45mm

・生産国：日本

環境負荷に対して

環境への配慮がコンセプトではありませんが、和のコンセプトでちゃんとしたモノを作るのであれば、素材は必然的に国産材・国産の紙になる構造を念頭においてプロジェクトを始めました。

日本は、国土の7割が森林という世界で有数の森林国です。コロナ禍でのウッドショックで若干状況は変化しましたが、多くの森林が管理されておらず、資源として活用しきれていない状況があります。

閏札で使用する紙や木材の量は少ないですが、多少なりとも和紙の原料の楮（こうぞ）や箱の原料の檜（ひのき）の持続可能な森林資源の活用に寄与していければと思っております。

リターンについて

1．［早割］閏札 1セット 10％OFF：13,500円

2．［早割］閏札 1セット 5％OFF：14,250円

3． 閏札 1セット Makuake価格：15,000円

4．［早割］閏札 2セット 15％OFF：25,500円

5． 閏札 2セット 10％OFF：27,000円

2022年6月29日 プロジェクト終了

2022年11月中 商品発送予定

資金の使い道

リターン品の製造、今後の開発費用、英語版Webサイトの制作などに活用させていただきます。

実行者紹介

川口 尊男

1984年生まれ。「ヒトとモノの関係性の再構築」がものづくりのテーマ。

早稲田大学 大学院人間科学研究科 地域・地球環境領域 卒業（修士）、森林生態学

2010年、新卒でキリンビバレッジ（株）入社。営業、営業企画を経てマーケティング部で主に生茶（2016〜18年）を担当し、ブランドの復活に携わる。PRでは、「開けてびっくり生茶箱プレゼントCP」で日本プロモーション企画コンテスト<グランプリ>を受賞。他に、水槽空間に畳を置いた「水の森の茶室」、将棋の叡王戦特別対局「茶王戦」など。

2019年より充電期間を経てフリー。どうせ作るのなら、個人だからとことん追求できるものづくりをしようと思い、2年半以上の時間をかけて閏札を開発。その結果、当初の想定よりいろんな意味で自分の想像の範疇を超えたプロダクトになり、ちょっとやり過ぎたのではないか？という達成感と恐怖感の間を彷徨う日々を過ごしている。

開発に協力いただいた方

デザイナー

福澤 卓馬（playtag）

1981年東京生まれ。2006年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。同年ドラフト入社

2017年東京ADC制作者賞、2018年JAGDA新人賞受賞。

2019年独立。

制作・印刷

株式会社ショウエイ

数々の挑戦によって培われた、幅広い発想力と無限の表現力。その想い、その全てを、作品づくりに注ぎ込んでいく。これまでにない新しい表現に、果敢に挑戦し続ける印刷会社です。

https://www.shoei-site.com/

最後に

閏札は、僕の内面に生じた疑問や好奇心に対して、現代人としてトランプの歴史や在り方と向き合って出した一つの答えです。

と言っても、何か高尚なことを声高に主張したいわけではなく、正解があるわけでもありません。

閏札を作る前までは、トランプや和歌に興味のなかった自分が些細な疑問を深堀りしたことで、開発は大変でしたがものづくりに没頭し、多くの気づきを得る楽しさがありました。

なので、閏札を通じて何らかの形で、皆さんの日々が少し楽しくなったり、興味関心の広がるちょっとしたきっかけとなることがあれば、作り手としては嬉しい限りです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。もし、興味を持っていただければ、応援いただけますと幸いです。

川口 尊男