総漆のしっとりとした質感を手のひらで感じる「漆仕上」iPhoneケース

工芸みらいプロジェクトでは、これまで「URUSHI TUMBLER ＆ BOTTLE」のシリーズや水切れの良さと素材を魅せるデザインのまな板「KABUKI」など、漆器商品と既存の生活様式にあった商品をコラボレーションすることでより身近に漆を感じてもらう取り組みを進めてきました。

今回は、新たに素材に注目して次世代の漆器産業の可能性を高めていこうという企画。色々検討した結果、より身近な雑貨からということで iPhone7＆8用ケースを作ってみました！

iPhoneホワイトモデルに白い漆※ベースのケースを装着
※漆では純白が出せないため「白」は柔らかなベージュ色になります。

絵柄部分も含めて贅沢に漆仕上。全国業務用漆器シェア８０％*を誇る越前漆器の漆を使った版印刷技術を活用しています。日本の工芸の原点とも言える漆のしっとりとした独特の質感と光沢を、毎日使うiPhoneケースで感じて下さい。

*経済産業省の工業統計調査より

越前産地を感じるデザイン

絵柄は福井県鯖江市に移り住んだデザイナー・職人などで構成されるクリエイティブカンパニー「TSUGI」によるデザイン。越前漆器のある福井県鯖江市と近郊の越前エリアにゆかりのある食べ物や特産品をイメージしています。

「鯖江めがね」は産地のある福井県鯖江市を代表する工業製品。国産のめがねフレームのシェア９５％近くを誇り*、日本産のめがねといえばほぼ鯖江市でフレームが作られているといっても過言ではありません。

*福井県工業統計調査より

左上より、「越前お椀」「越前箸」左下「越前そば」「越前がに」。

「越前お椀」

「越前箸」

「お椀」や「お箸」は越前漆器の主力商品。気軽に工芸体験などができ、近くの工房巡りはものづくりの原点を肌で感じるため海外の方にも人気。

「越前そば」

「越前かに」

「越前そば」は周辺が蕎麦の産地で殻まで臼で挽いた田舎そばが有名で大根おろしをかけて食します。「越前がに」は冬の名物で、漁獲されるとすぐに船内の海水の入った水槽に入れられ、生きたまま帰港します。全国でも珍しく、新鮮なまま食べられるためとても美味しいと評判です。

iPhoneケースについて誰かに聞かれたら、それぞれの柄が持つストーリーもご一緒に話してみて下さい！

日本の伝統工芸・漆塗りの技術

職人が一つ一つ手作りで作り上げるiPhoneケース。

天然の漆を使用した今回の商品も、漆器の文化をもっと日常生活にも広げていきたいという思いから作られています。若手も含む職人が１枚１枚手塗りで漆を施すことで、漆工芸の基本である「塗り」技術を継承していく目的もあります。

湿度が高いと「乾く」天然素材

漆はウルシオールという物質で構成され、水分に反応して堅くなります。そのため「漆がよく乾く」のは、湿度が高い梅雨から夏の季節。毎朝、湿度や温度を感じながら配合を調整して丁寧に仕上げていきます。

「生もの」である漆と日々異なる自然環境に向き合い続けたからこそ実現する様々な素材とのコラボレーション。手作りだからこそ空気にも気を遣うことができる、職人の愛情の詰まった商品。この伝統と経験を生かしながら「大切に育てた」ことが伝わる一品です。

石から作られるLIMEX（ライメックス）による漆器の可能性

今回のiPhoneケースに使うベース素地はLIMEX（ライメックス）を採用。日本のベンチャー企業（株式会社TBM）が開発を進める木と水と石油の資源を守る新素材です。

このライメックスは、石灰石から紙の代替製品を作るところから開発が始まり現在はプラスチックの代替製品の生産も始まっています。

紙の代替として地球の水・森林資源問題に貢献し、高い耐水性・耐久性の機能を持ち、印刷も可能なため名刺（2017年度グッドデザイン賞＜ものづくり＞特別賞を受賞）や、飲食店のメニュー表、ラミネートの代替製品、アパレルのタグなど様々な用途で使われています。

LIMEXの紙代替製品は、約６〜８割の石灰石と約２〜４割の樹脂から製造できるため、普通紙の生産に必要としてきた木材パルプを一切使わず、水の使用量を約９８％減らすこと*が出来ます。

*東京大学沖研究室との共同研究調べより

プラスチックの代替として漆器産業の次の革新へ

今回、業務用漆器で全国８０％のシェアを誇る越前漆器の青年部と共同でこの素材を使って、新たな商品の開発に着手しました。

LIMEXからプラスチック代替製品を作る際に使用するLIMEXペレットを使用することで、石油由来のプラスチックと比較して、CO2を37%削減することが可能です。（東大との共同研究より）

これまでも、合成樹脂や塗料による和食器の開発、食洗機対応の本漆商品など様々な革新を遂げてきた産地だからこそできる、次世代の和食器を考えるプロジェクトです。

食器への応用はまだ研究段階ですが、成形技術や塗装技術については商品化のめどが立ったため、今回iPhoneケースという形で皆様に使って頂く事になりました。

先端素材として今年数多くの賞を受賞

世界的に注目されている素材を活用しながら、新たな和食器として実用面で支援しながら産地の職と伝統を継続していく。持続可能な地域活性化の実現に是非ご支援ください。

プロジェクトとして、新たな商品を購入頂くだけでなくご希望される方には取り組みのご案内やコラボレーションも積極的に推進していきたいと考えています。企業や個人、自治体の方などでご興味あれば是非メッセージをお寄せ下さい。

よろしくお願いします！

制作

【製造・販売】
　吉田屋漆器について

大本山永平寺御用達の看板を持つ吉田屋漆器が手がける越前漆器は、丈夫な下地塗を重ねた漆の光沢と優美な趣にも定評があり、大変、重宝されています。

洗練されたモダンなデザインも、和洋中問わずコーディネートしていただけるため、たくさんの人から愛されています。

【ベース素材】
　LIMEXについて

LIMEXは石灰石を主原料に紙やプラスチックの代替となる、エコノミーかつエコロジーな革命的な新素材。

・ 2013年、経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業
　「先端技術実証・評価設備整備費等補助金」に採択。
・ 2014年、国内特許を取得。現在、米国や欧州など世界43カ
　　国にて特許を取得・申請中。
・ 2015年、宮城県白石市に年産6,000トンのLIMEXを製造する
　　第一工場を建設。
・ 2016年、米国シリコンバレーの「Plug and Play」で初の
　『世の中に最も社会的影響を与える企業ソーシャルインパ
　クトアワード』を受賞
・ 2017年、「第7回日米イノベーションアワード」において
　『イノベーション・ショーケース』を受賞

[ 紙の代替として ]
通常、普通紙1トン生産する場合、樹木を約20本、水を約100トン使うが、LIMEXは原料に木や水を使用せず、石灰石0.6〜0.8トンとポリオレフィン約0.2〜0.4トンからLIMEXの紙代替製品1トンを生産可能。

　※国内の製紙業界においては、単に伐採するだけでなく海外で植林活動を実施。
   ※使用済みのLIMEXの紙代替製品を廃棄する場合は可燃ごみ扱い。（古紙回収に出さない）

[ プラスチックの代替として ]
・ 従来のプラスチックの原料は石油由来樹脂100%であるが、LIMEXでは主原料が石灰石であり、石油由来樹脂の使用量を大きく削減可能。
・ 単価の安い石灰石を主原料とすることで価格競争力を有する。
・ LIMEXの印刷物等のリサイクル材から、LIMEX製のプラスチック成型品を作れ、環境負荷軽減に貢献できる。

[ 資源としての石灰石の埋蔵量 ]
・ 日本でも100%自給自足できる資源。世界各地の埋蔵量も豊富で、ほぼ無尽蔵。

【デザイン】
　TSUGIについて

TSUGIは、福井県鯖江市に移り住んだデザイナー・職人などで構成されるクリエイティブカンパニー。2013年に結成し、“支える・作る・売る”を軸に、グラフィックデザインをはじめ、商品開発、販路開拓までを一貫して行っています。

【運営支援】
　工芸みらいプロジェクトについて

日本の各地の工芸を再発見することを目的に慶應義塾大学メディアデザイン研究科の研究員や自治体、産地組合、企業が連携して活動を行っています。「URUSHI TUMBLER ＆ BOTTLE」のシリーズや水切れの良さと素材を魅せるデザインのまな板「KABUKI」など様々なコラボ商品なども開発中です。

現在は福井県鯖江市、越前漆器協同組合、眼鏡や繊維などの産地企業と国内外の企業や組織などと連携して新たな商品開発や素材の活用も進めています。

使用上の注意について

１．長時間水に入れる事はお避け下さい。雨などで濡れた場合布で水気をぬぐい、かわいた布で拭いておきますと長持ちいたします。

２．太陽光などにさらしておくこと、湿度の高い状況下におくことは避けて下さい。変形、変色、かびを生じることがあります。

３．新しい漆器の匂いが気になる場合は、米びつの中に数日入れておくか、薄めた酢で軽く拭くと効果的です。

４．油がしみだしているものや、指紋が付いた場合は柔らかい布か紙で丁寧に拭き取って下さい。

５．汚れを拭き取る際はたわし、磨き粉などの使用は避けて下さい。

６．製品本来の用途、使用目的にそってお使い下さい

７．体質におりごくまれに塗料（漆）にかぶれることがあります。

８．割れ、欠け、ひびが入った場合は直ちに使用を中止して下さい。