奄美黒糖焼酎『巴モワ(トモエモワ)』は鹿児島県の奄美大島にある小さな酒蔵「西平酒造」の女性杜氏「西平せれな」が手がけた焼酎。

西平酒造のレギュラー商品としては約50年ぶりの新作となります。

はじめまして。西平せれなと申します。

ただいま実家である「西平酒造」で杜氏として黒糖焼酎づくりを行っています。

1927年に女性杜氏 “西平トミ”から生まれた蔵の味は90年の時を経て、トミのひ孫にあたる私が担うこととなりました。

今回手がけた奄美黒糖焼酎「巴モワ」は西平酒造のレギュラー商品としては約50年ぶりの新作となります。５月の一般発売を前に「皆様にいち早く飲んで頂きたい！」という思いから、先行販売というかたちで今回の企画に挑戦することを決めました。

このページをご覧頂いた皆さまには、数あるお酒の中でも黒糖焼酎のことについてほんの少しでも知って頂き、ぜひ味わって頂きたい！！
どうか暖かい応援をよろしくお願いいたします。

「巴モワ(トモエモワ)」は曽祖母トミの時代に作っていたという「巴ビール」に因んで名付けました。

「巴をもう一度(more)」というニュアンスと「トワ・エ・モワ(フランス語で“あなたと私”の意味)」をかけています。焼酎造りはやり甲斐がある分、大変なことも多いですが、どんな時にも曽祖母が近くで見守ってくれているように感じます。「巴モワ」はそんな初代杜氏、西平トミへの感謝とリスペクトの気持ちを込めた作品です。

スタンダードな白麹に加え、焼酎には珍しい黄麹を使用。2年間タンクで貯蔵し、たっぷりと熟成させました。口当たりの柔らかさとフルーティでコクのある後味は黒糖焼酎のちょっとした革命かもしれない…！そんな私の自信作です！

焼酎なので糖質ゼロ、プリン体ゼロというのも嬉しいですよね！

【西平酒造】

奄美黒糖焼酎は全国でも奄美群島でしか造る事が許されていない貴重な焼酎です。

1953年、奄美群島が日本復帰した際に、酒税率が跳ね上がり販売に支障が出ることを懸念し酒税法で守られるようになりました。

黒糖焼酎は「米麹」と、その名の通りサトウキビの絞り汁からできる「黒糖」を原料に造られます。

古くから蔵に流れる豊富な地下水も、西平の味を守る重要なスパイスです。

黒糖の甘い香りと芳醇な味わい、それでいてしっかり料理の味を引き立ててくれるのも黒糖焼酎の良さ。

「少しシャイでありながらもちゃっかり主張し、それでいて協調できる」そんなところが、なんだか奄美大島の人々の人間性とも似ている気がします。

【寝る子は育つ】

暖かい奄美大島での製造は主に冬の間に行うのですが、焼酎が完成するまでの間、菌たちは形を変えながらとにかくよく眠ります。

私たち人間の仕事はそんな彼らが常に快適に眠れるようなベッドを用意し、愛情をかけて成長を見守ることです。

そんな西平酒造自慢の“ベッド”の一つがカメ。

米麹に酵母を加え、焼酎の元となる酒母を作る作業（一次仕込み）の際に伝統的なカメ仕込みを行います。器が地下に埋まっているのでシビアな温度管理が可能になるのです。

カメで五日間寝かせた米麹をタンクに移し、米麹と黒糖を合わせることでモロミになります(二次仕込み)。この時のぷくぷくとした元気な反応はとても神秘的で、一度観察し始めると目が離せなくなってしまいます。

西平酒造では原料のコクと深みを存分に引き出す常圧蒸留(じょうあつじょうりゅう)を行なっています。約2週間寝かせたモロミを巨大鍋に移し、グツグツと煮立たせることでアルコールを抽出する作業が“蒸留”です。
焼酎の味を決める最も重要な作業なので、約６時間つきっきりで見守ります。

時間と愛情をかけた分、焼酎が出てきた瞬間の感動と安心感はとっても大きいです。

菌という生き物を扱う以上、焼酎造りはマニュアル通りにはいきません。毎日新しい発見に驚かされ、そして課題をクリアするたびにまた次々と新しい課題が現れる。

普段は周りから呑んべえと呼ばれるほどどんなお酒も大好きな私ですが（笑）、本当の意味で納得のできる味に辿り着くにはまだまだ時間がかかるということを痛感しています。圧倒的に経験が浅いからこそ、妥協を許さず、やれることは全てやってみるという気持ちで改良を続ける毎日です。

「常に今できるベストの作品を作りたい」という気持ちは、音楽をやっている時と同じだなあなんて思っています。

【焼酎と音楽】

私は地元奄美大島の高校を卒業後、昭和音楽大学に進学し、関東を中心にミュージシャンとして活動していました。

2014年に社長である父親が体調を崩したことをきっかけに帰郷、焼酎造りの修行を始めることになります。2017年の杜氏就任と同時にエレックレコードより初のフルアルバム「メッセオアマッサ」を発売したことはメディアでも取り上げて頂きました。収録曲12曲全ての作詞作曲・編曲・演奏・プログラミングを自身で行なった渾身の一枚です。

帰郷した当初は周囲から“杜氏になるなら音楽を止めるべきだ”という声もありました。しかし、私の父であり社長の西平功はそれに対して「杜氏も音楽もどちらもやるべきだ」と言ってくれました。私から音楽をとったら個性も面白さもなくなってしまうことを父が一番わかっていたのだと思います。

考えてみるとそれもそのはず。なぜなら、父も元々ロックミュージシャンだったのです。私が音楽家になったのも父の影響からでした。

そんな音楽を愛する父の遊び心から、西平酒造の酒蔵はホールになっています。

最近では全国から訪れるアーティストにより、音楽に限らず芝居や日本舞踊など様々なジャンルのステージが行われ、素晴らしい縁が広がっています。

その縁は時に国境を越えることも。

アメリカからインターン生としてやってきたChuckとは二ヶ月間一緒に焼酎造りを行いました。共に一喜一憂しながら過ごした日々は一生の宝物です。Chuckは素晴らしいピアニストでもあったので、滞在期間に酒蔵で一緒にライブをしたりと、音楽でも意気投合しました。現在も彼はアメリカで焼酎の杜氏を目指して頑張っています。

このような素敵な出会いの数々が現在の私の活動の大きな原動力です。

そしてこの先も「黒糖焼酎」と「音楽」が連れて行ってくれる未来にどんな出会いが待っているのかと期待を膨らませています。　　　　　　　　　　　

【資金の使い道について】

“作り手としてのこだわりや思いを、お客さんに直接伝えられる場所を作りたい”という思いから、2019年5月1日、奄美市の商店街にアンテナショップ『KANA du NISHIHIRA』（カナ・ド・ニシヒラ）をオープンすることが決定しました。

世界自然遺産登録を控えた奄美大島は今後、観光客の増加と発展が期待されることもあり観光客向けのサービスを中心に行う予定です。

今回のプロジェクトで集まった資金の一部はその店舗オープンのための資金とさせていただきます。

最後まで読んで頂いた皆さま、本当にありがとうございました。

黒糖焼酎を、奄美を、日本を盛り上げるために頑張りますのでぜひ応援をよろしくお願いいたします！！

４月２８日（日）には奄美大島のライブハウスASIVIにてオープン記念パーティライブを開催しますのでぜひチェックしてみてください。