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私達は1932年創業、山形県の紡績ニットメーカー佐藤繊維と申します。

弊社は糸の製造、ニットウェアの製造、アパレルブランドや小売店の展開をしており、糸から最終製品まで「メイドイン山形」にこだわったものづくりをしております。

この度は「メイドイン山形」から少し視野を広げ、「メイドイン東北」でのプロジェクトに挑みます。

東日本大震災からの復興、そして持続可能な環境づくり

まずは、本プロジェクト立ち上げのきっかけとなったブランド、「tetricot/テトリコット」についてお話します。

*参考写真/アミマーさん達のこれまでの作品(tetricotを含む)

tetricotは、2019年の秋にスタートした、手編みのブランドです。このブランド名は、日本語の手(te)とフランス語のニット(tricot)から生まれました。また、(tri)はラテン語で「3」。ブランド立ち上げのきっかけとなった三陸の「3」であり、私たち「佐藤繊維」と、「アミマー」さんと呼ばれる手編みを行う女性たち、そして両者を引き合わせてくれた「ハートニットプロジェクト」の3者を意味します。さらに、手(te)を取り(tori)合うこと(cot)といった意味も込められています。

2011年3月11日、東日本大震災により三陸沿岸の町々は甚大な被害を受けました。この時、被災地から届く、衣服・靴・毛布などを求めるSOSに少しでも応えたいという思いで、岩手内陸在住のスキー仲間の方々が集まり、ハートニットプロジェクトの前身となるボランティア活動がスタートされたそうです。

震災直後、各地の避難所にはまず食が届き、衣が届き、徐々に暖も確保できるようになっていきましたが、男性たちが毎日瓦礫の片付けに出かける一方、女性たちは布団を積み上げた避難所の狭いスペースの中で1日中座っていたそうです。その様子を目の当たりにしたボランティアの中心メンバーは、「ただただ、彼女たちは喪失感に耐えているように見えた。」と仰います。

そんな中で、次に必要なものは心の空白を埋めるものだと感じたボランティアの有志達は「編み物をすることが、何かを作り上げることが、避難所の女性たちの心の癒しにつながるのでは。」と岩手に本部を置くボランティア団体により『ハートニットプロジェクト』という活動がスタートしました。口コミやSNS、ブログで賛同者を募ったところ、一週間後には寄付の名簿管理が追いつかない程の毛糸が集まったそうです。それらを小分けにし、「何種もの毛糸と編み棒とレシピ」をひとつのキットにして各地に届け交流を深めていきました。

編み物を通して女性の心に温かなものを届けるという志はぶれることなく、活動は8年以上続きました。その結果、女性たちの手編み技術は「仕事」にできるまでに向上。こうして2019年5月に『ハートニットプロジェクト』のメンバーは次のステージに歩みを進めるべく発展的解散をし、私たちは彼女たちと共に、tetricotというブランドを立ち上げました。

このブランドの立ち上げ目的は、ボランティアの延長線としてではなく、フェアトレードを目指したものです。アミマーの皆さんに継続的に仕事を発注し、安定した環境をつくる。それが本当の「復興」に繋がると私たちは考えています。

そんな想いからスタートしたtetricotですが、今回は、同じく東北を拠点とする他社様にもご協力頂き、このプロジェクトを立ち上げました。

オールメイドイン東北

皆さんは、日本国内で販売されているニット製品の国内生産量はどのぐらいかご存知でしょうか？

今日では、皆さんが目にするニット製品のほぼ全てが外国産で、市場に出ている製品のうち、国内生産品はたったの0.5%と言われています。この0.5%の中には外国製の糸を使用したニット製品も多く含まれている為に、日本製の糸を使用した「純国産」と呼べる製品は更に小さな割合となってしまっているのが現状です。

1990年代に入ると、日本全国の紡績やニットを生業とする企業は中国をはじめとする諸外国に技術と共に生産の拠点を移し、その後、日本の繊維産業は衰退の一途を辿っていきます。

実はここ東北も以前は日本でも有数のニット産地でありましたが、現在その数は激減。残る繊維関連企業はごく僅かであり、この流れが続くと日本の製造業そのものが消えてしまいます。

しかしそんな状況下でも、東北の、そして日本のものづくりを守る為に頑張っている人たちがいます。

*写真提供/小金毛織さん　紡績の様子

「自分たちが培ってきた技術を後世に伝えながら、新しいことにチャレンジしたい。」

こうした想いを少しでも多くの皆様に知っていただく為に企画したのは、ほっこりとした温かみのあるニット帽です。

*こちらの写真は、リブ部分を折り返さない場合の寸法です。お好みでリブ部分を折り返してご着用いただけます。

年齢性別問わずお使いいただけるこちらの帽子は、見た目にも暖かく、着用すれば優しいぬくもりに包まれます。

商品企画は、山形県に本社を置く弊社、佐藤繊維。材料となる糸は、福島県の正和毛糸さん、宮城県の太陽毛絲さん、秋田県の小金毛織さん、そして弊社の計4社で紡績した糸を掛け合わせています。

それらをニット帽として形にするのは、岩手県と宮城県で主に活動するハートニットプロジェクトの皆さん。

*南三陸町のアミマーさんたち

アミマーさん達の真心がこもった帽子は1日を掛けて1点が編み上げられます。

こうして編み上がった帽子は再度ここ山形に戻り、佐藤繊維にて最終工程を経て、ようやく皆様のもとへお届けとなります。

今回のプロジェクトは、まさに私たち東北の皆が手を取り合い、東北の輪で作り上げるものです。