はじめまして栃木県の天鷹酒造です。

南部杜氏協会会長で当蔵の杜氏を29年間務めている直町昊悦（すぐまちこうえつ）氏が昨年黄綬褒章(おうじゅほうしょう)を受章しました。我々若手社員は、素晴らしいこの受賞の機会に、杜氏が17年前に醸した大吟醸酒に着目し、日本酒業界で極めて珍しい長期熟成大吟醸酒を使ってスパークリング酒として覚醒させるプロジェクトを手掛けることにしました。辛口で日本酒の持つ旨味を兼ね備えた乾杯でも食中酒としても楽しんでいただけるお酒を開発したいと思い至りました。

まず昨年黄綬褒章を受章した直町昊悦氏に、今回使われている大吟醸酒や当時のことについて話しを伺います。

2002年当時山田錦は大変稀少で入手しにくい酒米でした。今でこそ山田錦は全国各地で栽培されるようになりましたが、兵庫県の一部地域でしか収穫されない貴重な米。農家さんが丹精込めて育てた米であるからこそ当時社長は「一粒の米も無駄にせず大切に使う」ということをよく口にしていました。

良質な酒を醸すには、良い田んぼの米を使うか、どの酵母を使うのか、そして酒米を高精白することが重要でした。いわゆる「YK35」です。35％精米の山田錦（Y35）と協会酵母（K）を使って良質の酒造りを競い合っていました。当時は技術の蓄積や情報も少ない時代でしたので、それぞれの蔵が勘と経験に基づき、試行錯誤を繰り返しながら良い酒造りを目指したものでした。

居住まいを正し規則正しい生活を送りながら、誠心誠意酒造りに向き合う日々の繰り返しです。大事に自分の子供を育てるのとおなじように酒造りに取り組み、そのご褒美として美味しい酒ができる、そんなことであったのかなあと思います。今回私が醸した大吟醸酒が17年の長期熟成を経てスパークリング酒として目覚めることになりました。

私が大切に育てた“子供”を、愛弟子たちがさらに磨き上げ、新しいお酒として世に出すことに喜びを感じています。熟成大吟醸の持つ芳醇な香りと旨味、そしてスパークリング酒の清涼感と最後の軽い苦みが味を引き締めています。是非皆さんに味わっていただきたいと思います。

さらに当蔵についてお話ししていただけますか。

当社は1914年創業、年間の醸造量約1,300石（１升瓶換算で約130,000本）を醸す酒蔵です。那須の御用邸のある那須高原の南端の大田原（旧湯津上村）市に位置しております。

この辺りは一年を通じて晴天率が高く、夏は温暖、冬は適度に寒冷な酒造りに適した気候です。那珂川と箒川に囲まれた三角州地帯で周りを田んぼに囲まれた田舎にあります。四季折々の田園風景の変化は、日本の田舎の原風景と言えるのかもしれません。

私たちは“辛口でなければ酒ではない”という初代の口癖と“つるりと入って飲み飽きしない辛口の酒”を目指した２代目の言葉を頑なに引き継ぎながら、新しい酒造りにも果敢に挑戦しています。その想いをカタチにしたのが、有機日本酒です。日米欧の３つの有機認証を有する数少ない酒蔵として “美味しい、安心、楽しい” 日本酒を国内外に広めていきたいと考えています。 さらに今年の2月には英国ヴィーガンソサイエティからヴィーガン認証を取得しました。* 持続可能な開発目標（SDGs）への当蔵の取り組みの一環として、オーガニックやヴィーガン商品の普及に努めています。現在世界22か国へ輸出していますが、さらに多くの国の方々に楽しんでいただきたいと考えています。

*2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

今回の「熟成大吟醸使用 スパークリングSAKE」と一緒に楽しんでいただける料理をご紹介します。和食はもちろんですが、チーズベースの料理やアヒージョ、しっかりとした味わいのエビチリや回鍋肉などの中華料理にも相性抜群です。リゾットやパエリアなどにも合わせていただけると思います。結婚式の２次会やホームパーティ―などで話題になること間違いなしです！

さらに日本酒ベースのソースを使った相性の良い和食レシピをご紹介します。

【日本酒のクリームチーズソースとサーモンソテー】

日本酒を使ったクリームチーズソースが大活躍です。生鮭の臭みを抑えカリッと焼いたサーモンソテーに、日本酒とクリームチーズが合わさった香り深いソースをお楽しみいただけます。

作り方レシピはこちら

http://tentaka.co.jp/recipe_single.html?id=1118

さて、今回のプロジェクトチームの皆さんに集まっていただきました。

皆さんが果たした役割や商品化のこれまでの話しをしていただけたらと思います。

伊藤さんは業務部所属で瓶詰めから出荷までを担当していますね。

はい。今回のプロジェクトでは瓶の選定からラベルデザイン、瓶詰めの工程管理などを主に担当しました。通常の流れとは異なりイレギュラーな対応があったので、醸造部との調整など密に連絡を取り合いました。スパークリング酒に適した瓶の選定や今回の酒質やお客様が飲まれるシーンなどを考慮したラベルデザインの決定など、いままで経験のない分野にも挑戦することができました。

当初は、不安で一杯だったためか、夢に出てきてしまうほどでしたが、メンバーの方を含めた経験豊かな先輩のアドバイスや助言により、自信をもって送り出せる商品を誕生させることができました。今回のプロジェクトに参加して、“美味しい日本酒をお届けしたい”という入社時の想いを、部門横断的に関与することによってより深く実現することができ、私自身一つの殻を破る良いきっかけとなりました。

大西さんは醸造部で麹屋（こうじや）という役職についていますね。

私は高校生の時から日本酒造りにあこがれて、いつかは杜氏になりたいという想いを持って大学で日本酒造りを学び、天鷹酒造に就職しました。入社とともに当蔵の新しいチャレンジであったミード（蜂蜜酒）の醸造を任され、一歩ずつ自分の想いを実現させていると感じています。

今回のプロジェクトでは、杜氏が造った熟成大吟醸を我々若手の蔵人の手で新たな酒として世に出すという自分自身でもワクワクするチャレンジでした。再発酵の最適性を掴むのが大変でしたが、大学で得た知識や理論と上司、先輩方から学んだ技法と経験を今回のプロジェクトで生かすことができたと思っています。

杉山さんは米作りもされるとか。

私は大学で学んだ農業に関する知識を生かしていきたいと思っていました。就職活動の際に農業法人を立ち上げるという話を聞いて、酒造りだけではなく、自分の手で酒米を作ってみたいという想いを持って入社し、現在は醸造部に所属しながら春から秋にかけては自社の圃場の作業にも従事しています。自社の酒造りに使う酒米を栽培しているんです！

今回の「熟成大吟醸使用 スパークリングSAKE」の開発において、酒質の確認やラベルのデザインなどを担当しました。ラベルに関しては、今までの天鷹のイメージとは違い、お客様の自由な感性で飲んでいただけるように、できるだけシンプルで高級感のあるものにしたいと思い、今のラベルになりました。

お祝いの席などの「乾杯のお酒」として使ってもらえたら嬉しいです。シャンパンですと乾杯の後は他のお酒に代わってしまうことも多いのではないかと思いますが、このお酒は、辛口なので和食はもちろんピザなどのチーズ料理や、私的にはパスタなどにも相性が良くて、乾杯後も飲み続けられるそんなお酒ではないかと考えています。

藤田さんは入社のきっかけなどからお話しいただけますか？

私は手に職をつけ一生かけて技術を高めていく仕事がしたいという想いで天鷹酒造に転職しました。杜氏の造った大吟醸を「熟成大吟醸使用 スパークリングSAKE」として目覚めさせるプロジェクトを担当することができて光栄です。このお酒は、熟成酒を新しい瓶に入れ、瓶の中で再発酵させることで炭酸を出させています。特徴は、にごりを残していることです。このにごりの部分は、米本来の旨味、甘さが凝縮されつつ、さらっとした口当たりになっています。口の中で弾ける爽快な炭酸の刺激と、長い時間を経て深みを増した味わいのハーモニーを、存分にお楽しみください。

シャンパンなどのワインは、一般的に強い酸味を有しています。一方で米から造られた「熟成大吟醸使用 スパークリングSAKE」は、柔らかな酸味とアミノ酸の旨味、さらには円やかさも持ち合わせた熟成酒としての深みある味わいから、乾杯のお酒であるとともに食事と一緒に楽しむことができる食中酒と言えます。今年開催されるイベントや大会で、たくさんの人にこのお酒で祝杯をあげてもらえたら最高ですね。くれぐれも吹き出し注意でお願いしますね（笑）！

尊敬する杜氏が醸したお酒を17年ぶりに世に出す今回のプロジェクトに参画するにあたり当初責任の重大さにプレッシャーも感じました。開発が進むにつれ、想いをカタチにすることができることに大きな喜びを感じました。熟成酒を発泡させて覚醒させるという経験を活かし、スパークリング日本酒の分野において新たなページを加えることができたらと思っています。

さらに藤田さんが今回の酒造りにおいて苦労したことを話していただけますか？

今回の酒造りで一番大変だったことは、熟成大吟醸本来の穏やかな香り、綺麗な酒質を残して活かすことでした。再発酵による味の調整は非常に難しく、発酵し過ぎては味気なくなってしまい、足りなければ味のバランスが崩れたままのお酒になってしまいます。さらに、口当たりのやわらかな炭酸ガスを充分に得ることも大きな課題のひとつでした。

今回目指したのは、熟成大吟醸の魅力を最大限に引き出して色々な楽しみ方が出来る「うすにごりのお酒」です。その実現のために、発酵温度や時間など何度も何度も試験を重ねました。

特にこだわったのは、ガス圧の強さです。にごり部分も舌ざわりがさらっとしていて、口に含んだ時にやわらかな炭酸ガスを感じる様にしました。

今回の酒質を決定するにあたり、利き酒の会を２月２１日（金）Makuake本社で開催させていただきました。

３０名を超える社員の皆さんに、４種類の酒質の「熟成大吟醸使用 スパークリングSAKE」を試飲していただきました。辛口の味わいやうすにごりに対する評価、そしてこのお酒を飲みたいシーンなど大変参考になるお話を伺うことができました。

試飲後にアンケートにお答えいただき、「古酒感が大人のイメージを醸し出している」「うすにごりは日本酒らしくて良い。味わいの深みも感じられる」「古酒の深みのある味わいと炭酸のコラボが面白い」「熟成酒のスパークリング酒という新しいお酒として新鮮だ」「乾杯に始まり食中、食後でも楽しみ続けられる」「食後のデザートにも合いそう」「イタリア料理に合わせたい」「海鮮居酒屋で飲みたい」「記念日やパーティーに使いたい」「パッケージも素晴らしく外国人にプレゼントして誇りたいくらいの旨味を感じるスパークリング酒」などの貴重な感想やご意見をいただきました。

ここで杉山がオススメする当蔵の日本酒を使ったデザートをご紹介します。「熟成大吟醸使用 スパークリングSAKE」と一緒に楽しんでいただけると思います。

【日本酒スコーン】

外はサクッと中はしっとり焼きあがる日本酒で作るスコーン。ふわっと香る酒のかおりが、あともう一個手が出てしまうおいしさです。

作り方レシピはこちら

http://tentaka.co.jp/recipe_single.html?id=1069

【大吟醸コンポート】

品格のあるフルーティな香りを感じる大吟醸を使ったデザート。果実と組み合わせると爽やかな大人のデザートが楽しめます。冷たくひやしてお召し上がりください。

作り方レシピはこちら

http://tentaka.co.jp/recipe_single.html?id=1193

我々が目指したのは、熟成酒の深みある旨味とスパークリングの爽やかさを合わせ持つ、新しいジャンルの日本酒です。

「親方」とともに創り上げた「熟成大吟醸使用 スパークリングSAKE」を是非お楽しみください！

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Q : 発送時期はいつごろになりますか？

A：２０２０年６月８日プロジェクト終了後、６月末までにお届けいたします。

Q：今回の「熟成大吟醸使用 スパークリングSAKE」は賞味期限はありますか？

A：冷暗所で保管されていれば基本的には賞味期限はありません。冷蔵庫などで適切な保管をお願いします。

Q：瓶内発酵のスパークリング酒と、炭酸を添加した場合とではどう違いますか？

A：瓶内発酵のスパークリング酒は、柔らかなシュワシュワ感が特長です。

Q：ギフト包装は可能ですか？

A：申し訳ございません。化粧箱の形状の関係上、対応することができません。

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