プロジェクト概要

鍛冶職人が繰り返し打ち鍛えた表情はまるで月。「鍛月」と名付けたそのフライパンは、深く愉しむことのできる工芸品の佇まいをまといます。

日常使いにオススメの刀の柄を模した、「TUKA」。

調理後はお皿としても使用可能です。

「MAGE」は厚みがあり、キャンプなどのアウトドアにオススメです。

私たちは島根県東部地方で江戸時代にルーツをもち10代にわたり続く鍛冶工房です。この地域は良質な砂鉄と森林資源、卓越した製鉄技法により古来より鉄の産地として知られ『出雲の國たたら風土記～鉄づくり千年が生んだ物語～』として日本遺産にも認定されています。

プレス成形による大量生産が可能になった現代において、 鉄を火で熱し、一点一点金鎚で打ち鍛え自在に造形する手法を今も大事に守っています。昔ながらの鍛造技法は今では大変珍しくなりました。

私たちが、新たな挑戦として制作したのが鍛鉄のフライパンです。現代のフライパンの多くがプレス加工で作られています。鍛造技法は時間も手間も要しますが、出来上がったこの作品は独特の風合いと、まるで月のクレーターのような表情をまといます。

この表情を鉄を打ち鍛えた証として「鍛月」と名付けました。ひとつの道具でありながら、深く愉しむことのできる工芸品の佇まい。より深くつながる、その感覚をぜひ手にとって実感ください。

３つの製品特徴

「鍛造」は、鉄を鋳型に流し込み成形する「鋳造」と異なり、素材を熱し叩き鍛えて成形していきます。その作業はひとつひとつ職人の手によって行うため、数を作ることが容易ではなく、またそれぞれの作品の風合いなどもすべて異なります。

しかし打ち鍛えたることで鉄は強度と粘りが増し、『鍛月』という名の通り、まるで満月のような模様が生まれ、鍛えた証として無二の表情をまといます。

伝統的な手法を用い、手間暇をかけるのは、工業製品にからは感じることのできない、味わいやぬくもりが作品に宿るからです。

熱しては叩くことで酸化皮膜を繰り返し取り除き、鉄自体に粘りと強度を与えていきます。命を吹き込むこの作業により、フライパン面の熱伝導率に幅が生まれるとともに、月面のような表情が生み出されます。

プレス成型では表れない、鍛治職人が一点一点作成するからこその月のクレーターのような模様が出現します。この模様こそが丹精込めて鍛錬された証になります。

繰り返し打ち鍛えた鎚跡は、鉄にぬくもりをあたえ作品自体の美しさを際立たせるとともに、景色の偶然性とその表情に品格を与えます。古来より森羅万象には神が宿ると言われてきた様に、このフライパンにも同様に職人の魂を込めました。

鍛えることで生まれる凹凸が味覚のグラデーションを生み出します。テフロン素材と異なり、手打ちの鉄のフライパンは食材の味の幅を広げます。表面が均一化されないことにより、逆に焦げ味など食材の焼き面に味のグラデーションが生まれます。

持ち手と本体を叩いて接合する「かしめ留め」は江戸時代から受け継ぐ伝統の技で、溶接よりはるかに耐久性が上がり、見た目にも美しく仕上がります。

わずか0.5mmでもズレると接合ができないという繊細さを要し、気の抜けない作業ですが、伝統の技で仕上げます。

かしめは鍛冶屋の道具にとっても伝統的に用いられ、接合になくてはならない技法です。私たちは代々受け継ぐ伝統的な手法を用い、手間暇をかけながら工業製品からは感じることのできない、味わいやぬくもりを何よりも大切にしています。

持ち手はふくらみがありアウトドアにオススメの、鍛造の道具をモチーフにしたMAGEと、日常使いにオススメの、刀の柄をモチーフにしたTUKAの２種類をご用意しました。

またフライパン自体の厚みにもこだわり、アウトドアギアとしてお使いいただくことの多いMAGEは板厚を2.8ミリ、普段使いの多いTUKAは2ミリと、ご使用シーンにあわせ、よりこだわりを落とし込んだデザイン、規格にて制作をしました。

MAGE ：鍛造の道具をモチーフにした 持ち手のフライパン

鍛造の道具として古くから使われてきた、持ち手のデザインがモチーフです。

この形状は小さな物を火入れする際に手に熱が伝わりづらくするための道具から生まれました。

その形状を利用しているので、持ちやすく熱くなりにくいのが特徴です。

一点一点、金槌で叩いて鍛え上げています。

頑丈に作っているため、多少手荒に扱っても大丈夫。アウトドアでの調理にも存分にお使いいただけます。

鉄はその熱伝導の良さから食材を置いても温度が下がりにくく、またムラなく均一に火が通るため、

厚いステーキ肉などもうま味を逃がさず表面はこんがりと、中はふっくらジューシーに焼き上げることができます。

お肉が似合うフライパン、そのままお皿としても使用可能です。

リングがついているので壁などに掛けることもできます。板厚はずっしりと重量感を感じる2.8ミリ。

TUKA ：刀の柄のような、 藤を巻きつけたフライパン

刀の柄のように、持ち手の部分に籐を巻きつけました。持ちやすく、熱も伝わりにくい形状です。

また持ち手の先端が上に曲るデザインなので、小さな手の方でもテコの原理で持ち易く手になじみます。

籐は塗装でコーティングされているため、防水効果がございます。

フライパンでは珍しい和の雰囲気をまとっています。軽やかにお使いいただける2ミリの板厚。

ご自宅の調理器でご使用可能です。ガス調理器の他IHにも対応しているため機器を選びません。

特にお肉がオススメ。熱伝導率がよく中はふっくら、外は凹凸のおかげでお焦げのグラデーションが美味しい。

お肉以外にも卵、野菜など、オールマイティーに焼けます。

トーストやカフェスイーツにもオススメです。

調理後お皿として、熱々のまま食卓へ。

普通のフライパンに比べて蓄熱性が高いのが特徴。保温性にもすぐれているため、そのままテーブルに並べれば、料理がすぐに冷めてしまうこともありません。見た目にも美味しいフライパンです。

またお手入れも簡単です。使用後は洗剤を使わず、たわしでお湯、または水洗いをしてください。

使えば使うほど油が馴染み、黒みがまし道具としての価値が高まります。

仕様

MAGEサイズ（約）:最大径20cm×長さ39cm（持ち手含む）×深さ1cm×板厚2.8mm

重さ 約800g

TUKAサイズ（約）:最大径20cm×長さ40cm（持ち手含む）×深さ1cm×板厚2mm

重さ 約600g

素材：いずれもアイアン(鍛造鉄)、TUKA持ち手 籐

一点一点鍛造による制作のため、作品の風合いなどもすべて異なります。

スケジュール

2022年3月23日 プロジェクト開始

2022年3月上旬頃より製作開始（一か月の制作可能数およそ60点）

2022年4月29日 プロジェクト終了

2022年5月10日～ 先着購入順より発送準備開始（発送順が多少前後する場合もございます。）

発送完了時期 リターンページに記載

2022年秋頃 商品化予定

リターンについて

各コースのリターンや、リターンに含まれるモノの魅力を記載しましょう。

リターン品は、プロジェクト期間終了後の５月から順次発送し、7月末までにはお届け完了予定です。

実行者紹介

【鍛月】、フライパンを制作した思い

雲州弘光 現「鍛冶工房 弘光」は江戸時代のたたら操業をルーツにもち、時代に合わせ打刃物、小農器具、生活用具の他、玉鋼、和鉄による刀剣鍛錬の鍛冶業を受け継ぎ、出雲の鉄文明・技術を作品に昇華し現代に継承しています。

この伝統の技術を生かし、「鍛月」ブランドとして新しい作品への取り組みが始まりました。

伝統を守りながらも、次の領域へむけて殻を破り、新しい価値創出へ進んでいく。守破離という言葉を借りれば、この『鍛月』フライパンを生み出すことは 破 の段階でもあります。次の 離 へ向け、「鍛月」はさらなる挑戦へ向かいます。

私たちが暮らす島根県は古来より伝統と文化が深く日々の暮らしに根付き、民藝を中心に多くの美しく力強い伝統工芸が生まれ、育ちました。
しかし一方で多くの方から山の陰に隠れた地域として認識され、ごく限られた方以外には知られない状況が続きました。

工芸品の他にも雲南市吉田町のこだわりのたまご天佑卵や軍鶏肉、唐辛子などのスパイス、奥出雲町の仁多米に舞茸、ジビエとして人気が出つつあるイノシシ肉のソーセージ、恵まれた清流から生まれる日本酒にクラフトビールなど、山陰には作り手がこだわりをもって生まれ育てた多くの食材があります。

これらの数々を今後はフライパンとともに、この地域の生活、文化、風土を感じる逸品としてとしてユーザーに届けていきたいと考えています。

職人が伝統の技法を大事に、一点一点制作しお届けします。