大自然の恩恵そのものが酒蔵の大事な財産

弊社所在地の新潟県小千谷市は、全国に名を馳せる良質米で知られる魚沼地域に位置します。小千谷市は日本有数の豪雪地であり、春になると山々からの雪解け水が大地を潤します。

また信濃川と魚沼の語源となった魚野川の水が集まる地点でもあり、大河が悠久の年月をかけて大地を削ってできた日本有数の河岸段丘が作り出す地形を利用して、人々は田んぼを広げてきました。

酒米の契約栽培をお願いしている小千谷市冬井地区は標高約300メートルの山間にあり、つづら折りの道を登っていくと信濃川を望む里山に美しい棚田が広がります。

美しい里山に流れる清らかな湧き水、棚田周辺に降った雨や雪などいわゆる自然の“天水（てんすい）”を利用することで、環境への負荷の少ない米作りを実現しています。

また日中に降り注ぐ太陽の光を受けた稲が、涼しい夜に美味しさをじっくりと蓄える、棚田米特有の味わいは多くの人を魅了してやみません。

このすばらしい自然環境を守り、そして広く知って頂きたいと、冬井地区の棚田米を100％使用して醸した日本酒が『田友（でんゆう）』です。

『田友』は、平成19年の発売後から様々な改良や新商品開発などを行い、ファンの皆様に喜んで頂けるお酒造りを続けまいりました。

そんな中、想い描く究極の味わいを目指し、弊社史上最高の精米歩合30％、少量仕込み、手造りにこだわり、平成30年に発売したのが「田友 手造りプレミアム」商品です。

そして今回、Makuake限定で「田友 手造りプレミアム」の“生原酒”に挑戦、地域の魅力を最大限に表現した日本酒で、自然環境のすばらしさをこれまで以上に発信していきたいと考えております。

日本の原風景「棚田」の現状

しかし、この四季豊かな小千谷市冬井地区も全国と同じく棚田の存続が大きな課題となっています。1970年から始まった減反政策に加え、耕作者の高齢化、担い手不足、また大型の機械が入らないことによる生産性の低さ、山間地特有の日照量不足などによる収穫量の少なさも原因となり、この30年間で4割の棚田が消えたとの報告があります。（出典：農林水産省HPより）

このままでは高品質のお米が栽培される棚田の美しい風景がなくなってしまうかもしれません。

棚田は平坦地の水田に比べて「労働力は2倍だが、収穫量は半分程度」と言われています。

だったら、棚田はもう時代遅れの産物で必要ないのでしょうか？

私たちはそうは思ってはいません。

確かに「食料の生産」というビジネスの面から見たら、棚田は非生産的であり非効率なのかもしれません。けれど、里山の棚田には食料の生産以外にもたくさんの役割があるのです。

耕作放棄され、荒れた田んぼに以前の生態系が戻るには長い年月が掛かります。もし里山が荒れれば、その先にある街にも様々な影響が出てきます。土砂崩れ、川の氾濫、洪水など、最近続発するこういった災害も、里山の荒廃が関係しているとも言われています。

棚田は、ただ米を生産する場所というだけでなく、自然環境を保全する役割も果たしています。棚田で農業を続けることにより、私たちの生活に様々な恵みを与えてくれているのです。

洪水や地すべりを防ぎ生きものの生態系を守る働きは、棚田の“多面的機能”と呼ばれています。

棚田が持つたくさんの働き

生態系保全機能

棚田がある山間地は豊かな自然が残り、多種多様な昆虫や植物などが生息しています。また絶滅の危機にある生物種の約3割は田んぼ・水路やあぜ道に住む生き物といわれ、すばらしい生態系がそこで育まれているのです。

保水機能

日本にはたくさんの雨が降りますが、国土の約70％を占める山間地では自然のままですと、瞬く間に川へ流れ出てしまいます。

森林が土地にたっぷり水を貯えるように棚田にも同じ機能があり、干ばつから動植物を守っています。また雪解け水や雨水を徐々に地下へ染み込ませることで、地下水の急な上昇を抑える働きもあります。

洪水抑制機能

棚田は、山林に降った雨水を一時的に貯める“治水ダム”としての役割も担っています。豪雨の時には雨水を下流にゆっくりと流すことで、急激な増水を押さえ洪水を防ぎます。

地すべり防止機能

地すべりやがけ崩れなどの土砂災害が起こった斜面などを上手に利用して、棚田が作り出されている場所が多いと言われています。土砂災害が発生しやすい傾斜を住宅地ではなく棚田とすることで、災害時の被害を最小限にする減災につながっています。

また土砂災害により棚田が崩れても作り直すという継続した土地の活用によって、長い年月に渡り棚田は維持されています。棚田がない、あるいは手入れが良くない場所は、地下水が急激に上昇し地すべりが発生しやすくなります。

ヒーリング機能

棚田を見ると心が安らぐという声が多く聞かれます。山間地に形成される棚田には清涼な水や澄みきった空気が満ち溢れ、都会のコンクリートジャングルに疲弊した人々の心を癒し、ゆったりとした気持ちにさせてくれる効果があると言われています。

棚田のあるすばらしい風景を未来へ
繋ぐために、私たちにできること

棚田にはこんなにも多くの機能があるのです。手遅れになる前に今ある棚田だけでもなんとか守っていかなければならない。それが問題を目の当たりにした時に強く思ったことでした。

では棚田のお米とそれを作る地域の方、そしてこのすばらしい風景を未来へ繋ぐために私たちができることは何かあるのでしょうか？

導き出した答えは、“お酒造り”です。

棚田米１００％で仕込む日本酒を造ることで棚田の保全につなげたいと考え、『田友（でんゆう）』と名づけた日本酒でスタートしたのが「田友プロジェクト」です。

「田友プロジェクト」とは、“参加しよう米づくりから酒造り”をスローガンに、地域の方や弊社だけでなく、一般の消費者の方々からも田植えや仕込み体験を通じて、自然環境の大切さ素晴らしさを楽しく学んでいただきながら“田んぼに集う友”の輪を広げる活動です。

毎年、収穫された棚田米を酒造り用として購入することで、安定した農業収入の一助になればと考えています。

またお酒が、棚田のある風景に興味を持った人をこの地へ誘うきっかけとなり、その方が集落の人と交流することで新しい可能性が広がることを期待しています。

棚田米でのお酒造りが、環境の保全だけでなく未来へつながる懸け橋になることを願っています。

『田友』プロジェクトとは

『田友』の生い立ち

酒造りには、良質な米、清らかな水、澄みきった空気などが不可欠であり、大自然の恩恵そのものが酒蔵の大事な財産です。

地元新潟県小千谷市は米どころとして有名な魚沼地域に位置し、清冽な雪解け水や肥沃な土壌は、米作り・酒造りには最適な環境にあります。

この恵まれた自然環境を広く知って頂きたいと、平成19年に“参加しよう米づくりから酒づくり”をスローガンに誕生したのが、『田友』です。

酒造りを営む弊社と生産農家が手を結び、消費者参加の田植えや仕込み体験を通じファンを増やすことで、自然豊かな地域を守ることにも繋がると考えています。

小千谷テロワール（自然環境）の発信

『田友』の圃場がある小千谷市冬井地区は、初夏にはホタルが舞い、沢ガニ、サンショウウオなどが生育する野趣あふれる自然に囲まれた山間地です。

地域の方々が自然に寄り添いながら長年守り継いできた、日本の原風景ともいえるどこか懐かしい自然環境の中で、酒米「越淡麗（こしたんれい）」はのびのびと育っています。

水田に引いている水は降雨や雪解けによる清らかな湧水です。厳しい冬が過ぎ、穏やかな日差しに包まれる春になると雪はゆっくり溶け出します。天然の森林地でじっくり濾過された湧き水は、生活排水や他の田畑の農薬などが一切混ざらない、清らかな水となって棚田に注ぎこみます。

棚田周辺に降った雨や雪などいわゆる自然の“天水（てんすい）”を利用することで環境への負荷を少なくし、美味しいお米を生産しています。

『田友』は、この自然の恵みがふんだんに詰まった酒米を使い、お酒という表現方法で地域の素晴らしさをより多くの人に発信していこうと取り組んでいます。

小千谷産“越淡麗”100％使用

『田友』で使用している酒米、越淡麗（こしたんれい）は、15年におよぶ試験研究を経て2005年に新潟県産地品銘柄に指定された、新潟県内の醸造家が長年待ち望んだ県内限定の高級酒用酒米です。

酒造特性にこだわり開発されたこの酒米は、大粒で吟醸造りに優れた酒造適性をもち吸水性に富んでいるため、理想の蒸米に仕上がりモロミでの溶け具合が良いのが特徴です。

味わいは、父方である「五百万石」のすっきりとした後味と、母方の「山田錦」の柔らかくふくよかな味わいを併せ持つ、今までにない画期的な酒米新品種となっています。

集落の飲料水としても使われる冷たい湧き水と山間地ならではの日照量の少なさ、そして昼夜の寒暖差により、お米のうま味がぎゅっと凝縮されています。水温や日照量の関係で平地の8割ほどしか収穫できませんが、安心安全で皆様に喜んでもらえる原料米の確保を第一に考えています。

プレミアムな味わいを表現

手造りプレミアムは、想い描く『田友』の究極の味を目指し、洗米から浸漬、製麹、酒母造りそして仕込み、すべての工程において少量小仕込みによる手造りにこだわりました。

『田友 純米大吟醸手造りプレミアム 生原酒』はすべての精米歩合を30％、『田友 特別純米手造りプレミアム 生原酒』の精米歩合は酒母米を30％、麹米・掛米を60％とする特別な配合です。

これらの酒母米は同じ精米歩合なのですが、特別純米では麹米・掛米の精米歩合に差をつけることで、洗練された香りにプラスして米本来の力強い旨みを引き出すことに挑戦しています。高精白の酒母米を使い、味わいの異なる酒を造ってみたいという杜氏のチャレンジ精神が生んだ逸品です。

リターン品のご紹介

今回のリターン品、『田友 純米大吟醸手造りプレミアム 生原酒』と『田友 特別純米手造りプレミアム 生原酒』について説明させていただきます。

①『田友 純米大吟醸手造りプレミアム 生原酒』※【Makuake限定】の新酒

【商品紹介】

原料米…新潟県小千谷市冬井地区産 越淡麗１００％使用

精米歩合…３０％

アルコール分…１６度

【商品コメント】

『田友』ブランドの最上位酒となる純米大吟醸です。使用するお米は棚田米「越淡麗（こしたんれい）」。高級酒用に開発された新潟県限定の酒米を１００％使用し、弊社史上最高の精米歩合３０％まで丁寧に精白しました。

かつては蔵人しか味わうことができなかった、造りたてそのままの味を楽しむことができる生原酒です。搾ってから時間を置かずビン詰することで、“発酵由来の微炭酸”と透明感のあるきれいな喉越しを楽しむことができるプレミアムな逸品です。

胸の奥まで清々しくなる自然で豊かな香りと、出品酒などでも採用される「中汲み」（搾りの中間部分）で表現した、透き通るような甘みが特徴です。

【合う料理／おすすめの飲み方】

魚の塩焼き、湯豆腐など素材を活かしたあっさりとした味付けの料理とよく合いそうです。よく冷やしてワイングラスなどで透き通るような味わいをお楽しみください。

②『田友 特別純米手造りプレミアム 生原酒』※【Makuake限定】の新酒

【商品紹介】

原料米…新潟県小千谷市冬井地区産 越淡麗１００％使用

精米歩合…酒母米３０％、麹米・掛米６０％

アルコール分…１６度

【商品コメント】

棚田米「越淡麗（こしたんれい）」を１００％使用。弊社史上最高となる精米歩合３０％の酒母と、精米歩合６０％の麹米・掛米の特別な配合で仕込んだ杜氏の意欲作です。洗練した香りにプラスしてお米本来の力強い旨味を引き出すことに挑戦しています。

高精白の酒母が醸し出すフレッシュな香りと、酸味を抑えたはじけるような爽やかな甘さが特徴です。

【合う料理／おすすめの飲み方】

おでん、麻婆豆腐などあっさりとした軽めの料理にも、濃厚なこってりとした料理にも合わせることができます。常温または冷やして、爽快な香りとお米本来のふくよかな味わいをお楽しみください。

③特別栽培米 魚沼産こしひかり「冬井のかがやき米」

【商品紹介】

小千谷市冬井地区・天水田の棚田で育った魚沼産こしひかり

農薬・化学肥料を5割以上削減して栽培した安心の「特別栽培米」

令和2年度産の新米

【商品コメント】

『田友』の酒米「越淡麗」を栽培する同じ小千谷市冬井地区の天水田の棚田で栽培された、魚沼産こしひかりです。（“天水”とは雨や雪のことです。天水田とは棚田周辺に降った雨や雪をそのまま田んぼに溜めることでお米をつくっている田んぼです。）

契約栽培をお願いしている、株式会社アスカ冬井様が農林水産省で定められた基準に従い、通常よりも農薬や化学肥料を半分以下に減らし、安心・安全にこだわった「特別栽培米」です。

（株式会社アスカ冬井の眞島様）

通常の栽培に比べて手間と時間が掛かりますが、毎日食べるお米だからこそ、安全で美味しいものを食べて頂きたいという願いが込められています。

山からの冷たい清らかな湧き水、日夜の厳しい寒暖差で生まれる独特の甘みと粘りのある食感が特徴です。ホタルが舞い、サンショウウオが生息する緑豊かな里山で育てられた、風味豊かなお米をご賞味ください。

【おすすめの食べ方】

炊きたてをそのまま食べるのが一番おいしい食べ方です。どんなおかずにも良く合います。また冷めてもおいしいのが魚沼産コシヒカリの特徴です、ぜひ、おにぎりでも召し上がってみてください。

スケジュール

2020年12月より順次発送

資金の使い道

ご支援は棚田米を継続的に購入するなど、持続可能な農業、継続的な自然保護活動に使わせて頂きます。

出来上がったお酒が、棚田のある風景に興味を持った人をこの地へ誘うきっかけとなり、その方が集落の人と交流することで新しい可能性が広がることを期待しています。

棚田米でのお酒造りが、環境の保全だけでなく未来へつながる懸け橋になればと考えています。

実行者

高の井酒造株式会社

蔵の所在地の新潟県小千谷市は米どころとしても全国的に有名な魚沼地域に位置し、魚沼産のコシヒカリは米の食味ランキングにおいて28年連続で「特Ａ」認定となるなど、日本を代表する良質米として知られています。

良質米となる理由として言われているのは、豪雪地ならではの地域特性です。昼夜の寒暖差が大きいこと、山からの冷たい雪解け水が夏の時季も田んぼに流れ込むこと、またその水がお米の生育に重要なミネラルや栄養分を与えてくれることで美味しいお米が育つのです。

現在『田友』をはじめ地域の資源を活かした商品づくりを進めています。

原料米はすべて新潟県産米を使用しておりますが、将来的には全量小千谷市産米にできるよう取り組みを進めております。

また、山間地での契約栽培だけではなく、圃場に流れ込む山からの湧き水を仕込み水として使用する取り組みも進めております。

酒造りは地域のすばらしい自然環境があってこその産業です。これからも様々な形で地域の魅力を商品に込めて発信していきたいと考えています。