三軒茶屋の「サンチャモニカ」など次々と人気店を世に送り出した元エー・ピーカンパニーの幹部・綱嶋恭介は、

表参道、青学の向かいにカウンターとテーブル、わずか11席の鮨店を作った。

高級路線をまっしぐらと言いながら、値段はリーズナブル。いや、安いと思う。

最大の武器はやはり「鮨とワイン」　、女性にはたまらないキーワードだ。

鮨とワインのペアリングを成功させた店は、ほぼ皆無だと思う・・。
だから、常に業界は綱嶋に注目している。

今や伝説となってしまった逸話がある。

やはり、飲食業界にとって綱嶋は「怖い人」

では、ワインと鮨の共演「綱嶋劇場」をとくとご覧あれ。
※コース内容は例となります。仕入れの状況によりメニューが変更となる可能性があります。

物語は、「すり流し」から始まる。・・・お椀で体を整える。

もちろん、素材にも「Toretate.」の野菜を使っている。

野菜は、千葉県横芝光町を中心とした農家で採れたものを収穫後24時間以内に届けられる。

それを同じ千葉県の九十九里の名産「蛤」で仕立てている。流石だ！

恵比寿で人気の豆富食堂のおぼろ豆腐をシンプルに美味しいオリーブオイルを合わせ、伊豆海域100%の海水の塩で食べる。

豆腐ってこんなに美味しかったのかと改めて思わされる。

豆腐に合わせたのは、シャンパン「レオンス・ダルブ」
フレッシュな柑橘系果実の香りに白い花、ブリオッシュやバター、ナッツなどの香り。

豆腐のまろやかさが、優しい酸味や澄んだミネラルが融合して新しい世界を作り出す。

ソムリエでもある綱嶋さんらしいチョイスだ。

自家製のガリは、ほんのり甘さを感じる。

口内を整えたところで・・・

真鯛を頂く。神経締めにより、鮮度を保たれるだけでなく、うま味成分が生成されるATPの減少が押されられるので「旨味が増える」

白身や野菜がシャンパンにもよく合う！

綱嶋さんがある衝撃映像を見せてくれた。

※映像は海中で神経締めを行っていますが、海中神経締めを行われている魚が必ず仕入れられるとは限りません。※神経締めの様子の動画のため苦手な方はご注意ください。

「ウソ！？」と思わず叫んでしまった。

山口県萩市の漁師さんが海の中で、神経締めを行っている。
これは、魚にストレスを与えない究極の方法だ。

ここで、前半の総仕上げともいえる逸品が登場

陸前高田では、春になると積もった雪が解け、山のミネラルをたっぷり含んだ雪解け水となり米崎の海に流れ出す。そんな豊穣の海で育ったのが「雪解け牡蠣」

これは、海に暮らす者だけがこっそり楽しみにしていたという。

牡蠣＋シャンパン＝幸せ　幸せの方程式がここにある。

さあ、次の舞台へ

あっさりと淡白なイカとコハダ、スミイカのゲソ焼きを頂く。
淡白だが、薄さを感じない。ふくよかな旨みが後味にのこる。

この三兄弟に合わせるのが・・・アルパマンタブレバ　アルゼンチンのソーヴィニヨンブラン。今注目のビオディナミワイン！

クリーミーでジューシーな果実香、樽の香りもほんのり感じる。

これが三兄弟を輝かせる。

綱嶋さんがこっそりと教えてくれた。

「スミイカのゲソ焼きに山椒を入れるとワインとの相性が良くなるんだ。」

綱嶋劇場は、幕間を観ながらストーリーを加速していく。

鮪の手巻き・・・マグロのトロリとした豊潤さを海苔が盛り上げる。

海苔の鮮度や香りにもこだわったという。芽葱刻みと柚子が、キリっとアクセントを与えている。

鮪と海苔…日本の伝統的な食材に合わせるのは、8000年の歴史を誇るワイン発祥の地ジョージアが生んだオレンジワイン。ヴィノテッラ　ルカツィテリ

豊かな香りの花、洋梨や桃、メロンの香りを感じ、しっかりとした骨格のある味わい。

鮪の手巻きにオレンジワイン！？でも、それがバッチリ合う！

誤解を恐れずにいうと・・・非常識だ。

でも、「この店では、非常識が常識に変わる気がする。」

クリームチーズのしじみ醤油漬けと煮はまぐり

貝の旨みの協奏曲の余韻を楽しむ。「旨味がハンパない！」

ラディッシュで作った自家製ガリで体を整えて、次の組曲へ。

さあ、中盤戦の盛り上がり

日替わりの神経締めの握りと鯵を続けて頂く。

こんなに食べているのに、食欲がさらに湧いているのが分かる。

これに合わせるのは、オーストラリアの微発泡ローター・ミュスカテラー　ケメトナーキュヴェフリッツアンテ

マスカットの香りにグレープフルーツなどの柑橘の酸とほろ苦い余韻が、シャリに合う。

美味しさの輪郭を引き出している。

ここで、焼き魚が登場！

シハチといえば、北海道の方はよく知る鮮魚店。
普通の魚屋さんのクオリティーが高い北海道でも美味しさが抜きんでていると評判

綱嶋さんは、シハチのキンキの脂に惚れ込んだという。

とよまるの卵は、「手作り」だと言われる。なぜなら、鶏を手で抱き上げ健康状態を確認し、卵を手で触って品質を管理しているから。

茶碗蒸しにすると、卵の甘みが浮き上がり、トロリとした舌触りを楽しむことができる。

さあ、ついにクライマックス！

「まぐろ三重奏」といえば、シグネチャーディッシュともいえるメニュー

大トロ、炙りトロ、漬け赤身の３種のまぐろを重ねた握り。

これをsuntosは、棒寿司に仕立て上げた！これが、列車にみえるというのだ！

握る・炙るのパフォーマンスがカウンターからは、目の前で堪能できる。さらに
今回、～雲丹の無限列車編～のサブタイトルがついている。

無限の意味は、ウニがこれでもか！というほどこんもり盛り付けられ！
さらに、Makuakeで購入した特典として、炎のような赤いイクラがさらに増量して乗せられる。

猛々しい無限列車に合わせるのは、丹波のマスカット・ベーリーＡ。

やさしく淡いロゼカラー。華やかな果実味とミズナラ樽由来のココナッツのような香ばしい香りが心地よく広がるやさしい味わい。

興奮冷めやらぬまま、怒涛の展開、ぷっくりとしたクマエビを堪能し、車海老頭を一気に愉しむ。

さあさあ、終盤戦！

イワシの炙りとつぶ貝の唐揚げで日本の海の豊かさを改めて知る。

そして、のどぐろ茶漬けをかっ食らう！幸せを感じる瞬間

まだまだ綱嶋劇場は、終わらない。

油断した胃袋を濃厚な鮑と穴子でとどめを刺された！

もちろん、最後はデザート。
どんな日本の甘味が飛び出すかと思ったら・・・・めちゃくちゃ洋物だった。

桃に紅茶で作ったマスカルポーネをあらかじめ足して冷凍庫で凍らせる。
これに、別で通常の凍らせた桃をチーズの削り器で上から削ってかける
フランス料理で出てきてもおかしくない逸品だ。

さっぱりしたデザートに合わせるのは、ボルドーの貴腐ワイン　グルマンディーズ

輝きのある琥珀色にうっとり。

干しアンズ、ジャムの様な甘さと蜜、ほんのり柑橘類の皮の苦味を含んだアロマが口の中に広がる。

これが、桃とも紅茶ともマスカルポーネとも合う！合うんだ！

最後の最後は、鹿児島、和香園のあらびき茶でほっとつく。

頭の中は、綱嶋劇場の興奮でいっぱいだ。全26品　長いようで短かった。

そうだ！このコースは、旅行だと思った。
各地から取り寄せた食材で日本一周をした。

そして、赤、白、オレンジ、泡のワインで世界一周をした。
興奮冷めやらぬまま、表参道に出た。

また来たい！また来たい！また来たい！そう呟いて地下鉄に乗った。

■店舗情報

【鮨　suntos】

住所：東京都渋谷区神宮前5-51-18 ラポルト青山B1F
営業時間：17時〜22時（フードL.O 21:00、ドリンクL.O 21:30）
定休日：水曜日、日曜日
※営業時間、定休日は変更となる可能性があります。

■グループ店舗一覧

■実行者情報

綱嶋 恭介　

1981年東京都江戸川区生まれ。牛角やグローバルダイニングの影響で飲食店の楽しさに惹かれ24歳で派遣店長に。26歳で株式会社APカンパニーに入社。塚田農場と四十八漁場を展開し執行役員営業本部長に。佐藤可士和さんと創り上げた焼鳥つかだではコンセプトからドリンクラインナップを全て決める。同時期ソムリエを取得し現在のヒントを得る。2019年退社。

同年12月【酒ワイン食堂 今日どう？】OPEN
2021年6月【寿司とワイン サンチャモニカ】OPEN
2022年8月【寿司とワイン サンフランスシコ】OPEN
2022年9月【ALISO（現RALIHO）】OPEN
2024年4月【寿司とワイン　オモテサンドリア】OPEN

現在に至る。