昨年はスピールにたくさんのご支援をいただき、本当にありがとうございました。

今回は【Makuake陶器市】の一環としてスピールをより楽しんでもらうべく、京都の名喫茶・六曜社珈琲店の若き三代目マスター【奥野薫平】さんに、スピールの使いこなし方の提案と共に、限定ブレンドを制作していただきました。

ご自宅に居ながら味わう奥野さんの表現とネルドリップ体験、そして創業70年を迎える六曜社の歴史も同時に楽しんでいただきたいと思います。ぜひ動画も併せてご覧ください。

「私が思うスピールの使い方は、焙煎日から一週間程度の豆30gを使い、熱湯に近いお湯で100cc程度の量までゆっくり抽出することです。味わいや香りが濃密な液体となって表現出来、珈琲豆をダイレクトに楽しむことが出来ます。大事なのは粉の膨らみを崩さないように、お湯を中心に向かってゆっくり注ぐことと、豆30gとお湯100ccの分量のバランスを守ること。それぞれ減らしてしまうと抽出時間が短くなってしまい、味の表現がしきれずに一杯の満足に繋がらなくなってしまいます。」

動画も参考にしながら、ご自宅でも六曜社の世界観と時間を楽しんでいただきたいと思います。

「今回のスピールフレンドブレンドは、深煎りを前提にして味を組み立てました。ケニアの【プライド・オブ・ケニア】は深煎りに強く独特の香りや苦味を持った豆で、ペルーの【デルガドブラザーズ農園】は甘みに特徴がある豆です。両者を合わせると重厚感を持った世界を表現出来、ネルドリップを通したときにはその豊潤な味わいを液体としてぎゅっと閉じ込められると思います。

ぜひゆっくりと丁寧に抽出して、ご自宅での特別な時間を楽しんでください。」

「ネルフィルターは目が細かく、洗練されたまろやかな味になります。そしてぜひ深煎りの豆をゆっくり丁寧にドリップしてください。淹れる時間、準備する時間も楽しみながら、冷めても美味しい珈琲を味わってほしいです。」

ネルドリップの醍醐味は深煎りの豆を使ってこそ現れると語る奥野さん。焙煎士としては、極深煎の豆に仕上げるのは難しい上リスクもありますが、自家焙煎を取り入れた二代目・オクノ修さんと共有している小型の焙煎機を使い生み出す味は、ネルドリップで仕上げてこそ完成に至ります。

「便利な機能が色々付いていたり、一気にたくさんの量を焼ける大きな焙煎機もありますが、農産物であるコーヒー豆を一定のデータに当てはめればおいしくなるというのは違うと思っています。古い機械ですが、豆の変化に目が行き届くこの焙煎機が好きなんです。」

奥野さんの、ゆっくりしてほしい、という想いを表現するのに欠かせないネルドリップ。すべての工程に目を配ることではじめて、豊かな時間が生まれます。

「昔は今みたいに単一栽培の豆などは手に入りませんでした。ブラジル、コロンビアのように大雑把な括り・ばらつきのある豆しか手に入らない中で試行錯誤し、先人たちがたどり着いたのが、ミルク・砂糖を入れることを前提とした珈琲です。私はそれを『昔ながらの珈琲』と呼んでいます。今は豆の品質次第でブラックでもおいしい珈琲が作れるのですが、懐かしさを残しつつもブラックでも楽しめるバランスに仕上げたのが一階店で提供している『六曜社オリジナルブレンド』です。」

【今の街のサロンとして提供すべき珈琲】を考え抜いた一階店に対して、昨今流行している【単一栽培の珈琲豆の違いを楽しむ珈琲】という楽しみ方を長く提供してきた地下店。そのどちらも表現できるのは、親子二代焙煎士としての確かな自信と経験があるから。

様々な珈琲の楽しみ方や時代の変化は理解しながらも喫茶店の役割に徹し、決してこだわりを押し付けない姿勢が、長く愛される六曜社の秘密なのかもしれません。

「元は六曜社を継ぐつもりはなかったんです。音楽が好きで、でもバイトもしなくちゃと思っていた時に喫茶店が好きなことに改めて気づいて。そこで前田珈琲さんに行ったことが、人生の転機になりました。」

前田珈琲で学んだ後自身の店を持ち独立、その後六曜社のオーナーとなりました。一喫茶店好き、たくさんの喫茶店に足繁く通ったからこそ分かるお店のバランスの難しさ。

重々しくなりすぎて入りづらくなってしまいがちな老舗でも、肩肘張らずにいられる居心地のいい雰囲気が流れている六曜社一階店。「街のサロンとしての役割を果たしたい」と語る奥野さんの想いが、店内に現れている気がします。

戦後まもなく1950年に開業した六曜社は、地下店から始まりました。1966年より一階店も開業。現在三代目の奥野薫平さんが一階店を、シンガーソングライターとしても有名な二代目のオクノ修さんが地下店を営んでいます。初代奥野實さんが手掛けたというインテリアは美しいだけでなく、六曜社を育ててきた人々の息遣いまで聞こえてきそうな空気が感じられます。

同じ店を受け継ぎながらも、代々それぞれの想いを表現してきた三人。そして店内に居合わせた人たちが作り、積み上げてきた空気。その傍らにはいつも珈琲がありました。

「珈琲はお供でいい」と奥野さんは言います。磨き抜いた珈琲は提供しつつも、あくまで店内の主役は【時間】。マスターのこだわりだけじゃない、受け継ぐだけでもない。「喫茶で過ごす時間とは？」その問いかけを三代続けてきた凄みが、六曜社の魅力に繋がっているのではないでしょうか。

これまでの大掛かりな器具とは一線を画し、コンパクトさを追求。カップ、ドリッパー、受け皿が一つに収まり、収納から準備までネルドリップが身近になるデザインにこだわりました。

また、受け皿をセットにしたことでドリップする場所をキッチンから開放。ドリップ後にドリッパーを流しに焦って持っていかずに受け皿に置いておけるので、リビングテーブルやデスクでドリップして、そのままコーヒーを味わえます。

半世紀もの間喫茶文化を支えてきた丸太衣料のネルフィルターの特徴は、湯抜けの良さと丈夫さのバランスにあります。粉へ湯を触れさせる時間を思い通りにコントロールしつつ、過酷な業務使用の中でも耐える丈夫さが高く評価されてきました。

スピールでは高品質な生地はそのままに、家庭でも使いやすいワイヤーを内蔵した専用設計。これまでの毎回フィルターをハンドルに通し、使い終わったら毎回外す仕組みを見直し、被せるだけのワンタッチでドリップを楽しめるようにしました。

ネルドリップの美味しさは知りつつもフィルターの管理に悩まされてきた方は多いはず。​丸太衣料のフィルターは、冷凍保管することで気が向いた時にだけ解凍し使うことが可能です。毎日水を入れ替える必要はありません。

陶器の保温力に加え、湯気が対流しやすい構造で強い蒸らしを実現。

そしてドリップ専用生地の「豆の膨らみを活かす伸縮性」と「コーヒーオイルは通し雑味を絡め取る厚さ」そして「味を自在にコントロールできる湯抜けの良さ」によって、豆本来の旨味のみを抽出します。

半世紀もの間ネルフィルターを取り扱ってきた丸太衣料株式会社は、名古屋の下町・大須に会社を構えています。個人向けだけでなく、珈琲専門店のオリジナル、飲料メーカーの工場用まで優れた品質のものづくりで珈琲業界を長年支え続けています。

suzugamaは美濃焼の産地・岐阜県土岐市に工房を構える陶器工房です。陶磁器デザイナーの佐藤と、ロクロ職人の鈴原で営んでいます。シンプルで暖かみのある器作りを得意とし、手作りでの成形・釉薬作り・焼き上げまで一貫してこなしています。

スピールでは美濃焼の石膏型・鋳込み職人さんにお願いし、釉薬〜焼き上げ〜発送まではsuzugamaが行っています。贈り物にも使えるようパッケージにもこだわっていますのでご覧いただけると幸いです。

Soupir Friend Blend：原産地（ケニア、ペルー）

六曜社オリジナルブレンド：原産地（ブラジル、コロンビア）

奥野薫平氏が焙煎した豆をお届けします。賞味期限は焙煎日から1ヶ月ですが、お早めのご使用をお勧めします。

常温では日が経つごとに豆が呼吸し風味を進行させますので、お好みの味わいを感じられた段階で豆を冷凍する事によりその味わいをキープする事ができます。

生地が淡く透ける優しい白の "Milk" と、複雑な色合いの変化が楽しめる重厚な "Dark" の二種類をラインナップ。色も質感も違う２つのテイストを、お好みでお選びいただけます。

色：Milk、Dark

素材：陶器（重金属不使用検査済み）・綿（蛍光染料不使用検査済み）・ポリエステル・ステンレスワイヤー

本体重量：受け皿約100g、ドリッパー約150g、カップ約250g

生産地：国内（岐阜県・愛知県）

販売価格：本体+フィルター2枚 ¥7,480 (税込)

付属品：専用パッケージ、布巾、説明書

※陶器の本体は食洗機、電子レンジが使用できます。

Q. コーヒー豆はどのように扱えばいいですか？

A.通常焙煎日から３〜５日後に豆に含まれるガスが抜け、クリアな味わいの抽出ができるようになります。その後日ごとに豆が呼吸し風味を進行させ、好みの味わいに感じた段階で豆を冷凍する事でその味をキープします。冷凍の際は密閉できる容器や袋に入れ、外気との接触や匂い移りに注意して保管する事をおすすめします。冷凍の豆を使用する場合は解凍せず、ご使用分だけの量をその都度お使いください。

Q. ネルフィルターとはどんな物ですか？

A.布（ネル生地）で出来たフィルターです。ペーパーフィルターと大きく違う事は1つのフィルターで約50回ほどご使用いただけます。管理次第でより長くも短くもご使用いただけます。深入りの豆を洗練されたまろやかな味に仕上げてくれます。

Q.ネルフィルターの管理はどのようにしますか？

A. 乾燥するとコーヒーの油脂が酸化し生地を腐食させやすくなりますので、（洗剤は使わず）洗った後は保存袋に入れて冷凍庫で保管するか、水を張った容器に入れて冷蔵庫で保管して下さい。時々の方は冷凍保存、毎日使う方は冷蔵保存がおすすめです。回数に限らずヌメリが出てきたり起毛が痛んだ頃が替え時です。

Q. 追加の専用フィルターはどこで買えますか？

A.フィルターは丸太衣料またはsuzugamaのホームページより、税込1100円/2枚からご購入出来ます。

Q. 陶器は汚れますか？扱いは難しいですか？

A.二色共コーティング力が強く汚れにくい釉薬ですが、陶器の性質上完全に汚れないとは言い切れません。汚れが気になった場合は、薄めた漂白剤で浸けてから洗うか、メラミンスポンジで擦っていただくことをお勧めします。また、食洗機や電子レンジもお使いいただけます。

Q.スピールについて詳しく教えてください。

A.第一弾プロジェクトに詳しく解説しています、こちらをご覧ください。→https://www.makuake.com/project/soupir

また、専用ネルフィルターを製造していただいている丸太衣料株式会社代表の鷲野さんとの対談動画もあります。初心者、中級者のスピールの使い方動画も制作しております。ぜひご覧ください。→https://youtu.be/XxvuIbfk7Ig

最後までご覧頂き、また長いプレゼンテーションにお付き合いいただきありがとうございます。suzugamaの佐藤と申します。前回ご支援いただいた多くの方々にこの場を借りて今一度厚く熱く御礼申し上げます。たくさんの応援メッセージをいただき本当に有り難く、生産者・関係者たちと共に喜びを分かち合わせていただきました。本当にありがとうございました。

2020年は私が語るべくもなく大変な年となりました。ここ数年出展していた地元で開催される美濃焼祭りも中止となり、残念だけどやれることをしなきゃと思っていた時に、Makuake陶器市にお誘いいただきました。今回は本業のものづくりとしての新しいプロダクトではありませんが、誰もが出掛けづらい状況の中、少しでも楽しんでいただけることをしたい、本来なら京都に行かなければ味わえない六曜社も楽しんでいただけるかもしれないと思い今回の企画に至りました。

奥野さんとの出会いは滋賀県大津市のライフスタイルショップ・aswellさんのご紹介でした。突撃でお伺いしたにもかかわらず不思議と盛り上がり、何よりも私たちと同じ「ものづくりの人」だとすぐに感じました。既成概念や枠にはまった物事を提供する人ではなく、感じたことを自分のフィルターを通して表現する。表現者・奥野薫平にとっての舞台がコーヒーで、六曜社なんだとすぐに理解しました。

何か一緒にしたいね、そんな話をしていた矢先の事態でした。地元のお客様も多い六曜社にとっても影響は小さくないとも伺いました。

私は本当は「文化」のようなありふれた言葉で物事をくくるのは好きではありません。でも六曜社の店内に入り、味わい、奥野さんと話して今思うのは「感動を途絶えさせてはいけない」ということです。文化というのは人の感動の集積だと思います。間違いなく六曜社は長くその感動の作り手であり、これからもそうあり続けると私は感じています。

実店舗の六曜社に訪れることとはまた違う体験にはなるとは思いますが、ご支援の程、どうぞよろしくお願い致します。また、気兼ねなくお出かけが楽しめるようになった時にはぜひ、六曜社にも美濃焼祭にも訪れていただきたいと思います。