１．ブナ樹皮商品開発の動機

100年前に植えられたブナの若芽が大木となり、間伐で伐採されています。地球温暖化による気温上昇で次の１００年後にはブナ林の分布面積が１０分の１に減少するといわれています。ブナの森の自然を少しでも次の世代につたえていくためにも、「ブナの森」の表情そのものと言える樹皮から魅力的な商品を作り出し発信して行きたい。

２.魚沼大白川ブナの森 間伐

大白川のブナ林は新潟県魚沼市守門岳の明るい南麓にあります。この豊かなブナの森が下流の魚沼・長岡・見附に滔々たる河川となって大地を潤しています

採光を良くしたり、密になったブナを切ったりして土壌環境を改良。2酸化炭素の吸収量を増やしています

３-1 ぶなの筆入れ 創作のきっかけ

最初、樹皮で鉛筆を作っていましたが、鉛筆だとこの綺麗なモザイク模様が目立たないので、もっと大きなサイズで、樹皮そのままを利用できるもの、ということで筆入れを作り始めました。

３－２ ブナのモザイク模様の正体

ブナのモザイク模様の正体は植物の地衣類です。一般には「コケ」と言われています。抵抗力が弱いために、大気汚染や環境の変化に弱く、都市部から離れた高山や里山で美しい姿を見せてくれます。

３－３ ぶなの樹皮の模様は大別して3通りにわけられます。①ランダムなモザイク模様

② 平行なモザイク模様 珍しい 。まるでブナの森のピカソ・パウルクレーが描いた？

③ 水玉模様 一般的なモザイク模様です

３－４ ぶな筆入れの作り方

気に入ったモザイク模様のあるブナの樹皮をバッサリ切り取ります。キツツキは表から穴を開けますが、私たちは裏からひたすら掘り込みます。最後に筆箱の台をタッチビスで取り付けて終了。

３－５ ぶな筆入れの構造

構造上、組立の時に回転軸を入れることができないために、両端からタッチビスで扉を固定してあります。タッチビスは木ねじになっていて、ネジが切ってあるところで回転していって、ネジの切ってないところで軸として回転して蓋が開閉するようにになっています。

３－６ ぶな筆入れ 商品説明

できるだけシンプルに作っています。樹皮部分は森の中の状態と同じで何も手を加えていません。上の筆入れのように、ちょっとした擦痕のある場合がありますが、製品自体の強度などを考慮した上で出荷しています。筆入れの木目部分には紫外線防止で焼けを防ぐために自然塗料のワックスが塗ってあります。

３－７ ぶな筆入れの用途

ぶな筆入れはぶな鉛筆・ブナボールペンとともに文具として、或いはインテリアとしてあなたの家のリビングや書斎に置いてください。文具だけではなく、アクセサリー入れに使ってもお部屋にマッチします。自然素材を使った商品(プラスチックゼロ）ですからお子さん・お孫さんへのへの贈り物・入学や就職などの贈り物としても最適です。自然を大切にする気持ちが芽生えてきます。

４－１ ぶな鉛筆の製作のきっかけ

最初、ぶなの樹皮で額をつくりました。でも毎日、考えてました。もっと身近なものができないものかと。ある時、ふと、鉛筆が作れないかと考えました。他の人はできないといいましたが、ベテランの職人ができるといいました。ここから鉛筆の製作が始まりました。

４－２．ぶな鉛筆の書き心地

ブナの扉から鉛筆を取り出して、書いてみます。見た目はごついですが、握った感じが、ぶなの森に抱かれている感じがします。デッサン用にも好評です。普通の鉛筆は軸を成形した後、油性塗料を塗っていますが、この鉛筆は純正の自然仕上げです。迫力あるぶな鉛筆の写真をご覧ください

４－３鉛筆の替え芯と削り方

通常は、鉛筆の芯はHBを使っていますが、ご要望があれば、他の濃さの鉛筆も用意します。色鉛筆も可能です。ブナ材は固いので先にスプレーで湿らせた後、3分くらいして取り掛かると削りやすい。多めに削る場合はこれを繰りかえしてください。

５－１ ブナボールペンの特徴

普通のボールペンはほとんどプラスチックでできていますが、このボールペンは握った手触りがまるで違います。木製で削りだしたものはスマートにできていますが、このブナボールペンは荒々しくブナの森の息遣いが聞こえてくるようです。握ったときのフィット感は抜群です。扱いやすい様にノック式にしました。

５－２ ブナボールペンの構造と替え芯の入替

ほとんどぶな鉛筆と同じですが、部分的に既製品のボールペンの部品を組み込んでいるため、やや太くなっています。ロットが増えれば、それもなくなり、スリムになり、価格も下げられます。替え芯の交換は写真のように,分解できるために、そのまま交換してください。三菱鉛筆0.7mm芯 BSRF-6F-B を使っています。ご希望があれば、できるだけお答えしようと思っています。

５－３．ブナボールペンの使い方

オフィスの受付やご家庭の玄関に御備えください。ペンスタンド付きです。同じ大白川の間伐材からつくりました。１つ１つ、太さが異なるので1本1本、径を測りながら穴を開けています。45度の角度を付けています。ブナボールペンは太いのでお急ぎの際も握りやすく、プラスチックのボールペンのように滑ることもありません。指先にしっかりとフィットします。

５－４．ブナボールペンの発送

筆入れ、ぶな鉛筆も同様ですが、長岡市の田中翠恵（MIE）さんのイラスト。ブナの森で葉っぱの舞い散る中、人と動物たちが、遊んでいる様子を包装紙につかっています。

６．実行者「昭和木工有限会社」について

創業から71年、新潟県見附市の木工場。障子・襖などの伝統的な木製建具、ドア・フラッシュなどの洋風建具。造り付け家具の製造を行っています。個人から法人向けまで巾広くニーズに応えています。今回のプロジェクトは5軸NC機械という最先端の加工機械と当社が今まで培ってきた伝統技術を一体化させたものです。新潟県内で官民一体で行われている「スノービーチプロジェクト」というブナの間伐材を如何に利用していくかという取り組みのなかで、今まで廃棄されてきた樹皮に新しい価値を見出して、魚沼大白川の里山の魅力を発信していきたい