初めましての方も、前回ぶりの方も、まいどです！！

紀州ねる店長の島本です！

今回のクラウドファンディングでは紀州ねる「本気のものづくり」第４弾と称しまして、起毛シーツの良さを皆様に知ってもらいと思い、糸や組織・加工とこだわり抜いた起毛シーツを開発いたしました！！

公開前PR用クラウドファンディングでいただいた生の声も参考にさせていただいています。

正直、今回のシーツ、か・な・り 納得のいくシーツを作れています。是非ともページの最後までお付き合いいただけると幸いです。

皆様は起毛シーツを使ったことがありますか？もしくは毛布をシーツ代わりに使ったりすると、とても気持ちいいですよね。

じつは、この起毛シーツ、1980年～90年代にかけてとても売れていた時代がありました。作れば作っただけ売れる。まさにバブルですね。特にかさ高いギフトとして人気を賭していました。しかし、その人気は長続きはしません。安価で粗悪なシーツが大量に出回り、起毛シーツ＝毛玉だらけになる扱いづらいシーツというイメージが定着し、気づけば市場から姿を消してしまっていたのです。

（紀州ねる定番の起毛シーツ）

紀州ねるでは従来の起毛シーツを販売していますが「初めて使ったけどすごく暖かい！」といったお声をたくさんいただき、紀州ねるの人気定番アイテムとなっております。

そんななか、ちょっと変わった起毛シーツを作りたいと思うようになり、何度か開発を試みたのですが、なかなかシーツに適した生地に出あうことができませんでした。そこで、第２回・３回でお世話になった織物工業様に相談したところ、シーツはむずかしい・・・でもやってみましょう！と今回のシーツの開発がスタートしたのです。

まず始めに”起毛シーツ”ということで、寒い時期に使っていただく前提で企画します。絶対にはずせないのは保温性。この保温性に優れた素材といえばウールorアクリルです。ウールは扱いづらい（虫食いや洗濯方法等）ので今回はアクリルをメインに作っていきたいと思います。また、コットンは保温性が高いと勘違いされがちですが、正確には吸湿発熱効果を持っているので、保温性という点ではアクリルが適していますね。

アクリルのメリット・デメリットを簡単にご紹介します。

メリット

・保温性が高い

・繊維の耐久性が高い

・ウールに比べ安い

・虫食いやカビの心配がない

・乾きやすい（吸水性が低い（デメリットにもなりうる））

・染色したときに色が鮮やかに染まる

デメリット

・吸水・吸湿性が低い

・毛玉ができやすい

・静電気が起きやすい

メリットが大きい分、デメリットも中々にやっかいなものがそろっていますね・・・

科学者や技術者のすごいところは、探求心にあります。

一つの素材を研究し、その弱点を補う方法を考える。アクリルにも様々な種類の機能を持たせた次世代のアクリルが開発されてきました。

今回はマイクロアクリルという特殊なアクリル繊維を使用しました。どういう糸かといいますと・・・極細ソフト抗ピルアクリル繊維なんです！！

伝わっていないと思いますので簡単に説明しますと

・極細 ＝ 繊維が極細でタッチ感がなめらか（シルクに近い）

・ソフト ＝ 軽くてふくらみ感のある糸でタッチ感が柔らかい

・抗ピル ＝ 毛玉ができにくい・なりにくい

・アクリル繊維 ＝ アクリル繊維

となります。

つまり従来のアクリル繊維のメリットを損なわず、デメリットを克服したすごい糸なんです！

出典：繊維機械学会誌39巻(1986)12号

上のグラフは代表的な繊維の熱伝導率です。熱伝導率が高いと温度が伝わりやすく、熱が奪われやすいということになります。これを利用したのが接触冷感です。逆に熱伝導率が低いと温度が奪われにくく、保温性が高いといえます。

先ほどチラっとでてきたコットンについてですが、市場でもよく知られる吸湿発熱性をもった繊維です。水蒸気が水に変わるときに周りに熱を生む原理、つまり人の水蒸気状にかいた汗を吸収し、繊維内で水となるときにあたたかくなるのが吸湿発熱です。

保温性に優れたアクリル×吸湿発熱性を持ったコットン

お互いの不足を補った組み合わせで、理論上とってもあたたかい生地のできあがりです！

さらにさらにこだわっていきます。

生地のベースになる部分に吸湿発熱のコットンを、生地の毛羽部分・直接肌にあたる部分に保温のアクリルを配置しました。

ここからは弊社の特徴でもある「起毛加工」にうつっていきます。

工場内には９台の起毛機があり、それぞれに個性があります。起毛する生地に適した起毛機を選ぶことから始まります。

起毛する生地と生地をミシンで縫い合わせ、いよいよ起毛を行います。

生地の組織や糸などの状態を把握し、イメージした完成の風合いになるまで何度も丁寧に起毛機へ生地を投入していきます。この時、触って確認するのはもちろん、生地と針が当たりあう音も聞き分け微妙な調節をおこなっていきます。

起毛を行った生地の表面は毛羽立っていてフワフワでやわらか。ですがこのままでは毛羽っぽくて使用には向きません。

起毛で毛羽立った表面の繊維には余分な毛羽があります。そこで、ブラシで直立させた毛羽を均一にカットしていきます。合計４回、カットする工程を行いました。均一に刈り揃えられた表面は、なめらかな肌触りに変化しています。

最後に「幅出し機」で製品の企画にあった生地幅にセットしていきます。

出来上がった生地をクルクルと巻き取っていき、縫製工場へと出荷します。

こうして、出来上がったのが「あったか起毛シーツ」です。

”紀州ねる”のものづくりは職人たちの技術と熱い想いから生まれました。

起毛機の性能は様々で、同じメーカーの機械でもそれぞれに個性があります。日々起毛機と向き合い個性を把握している職人たちは、手で触れた感覚や視覚・聴覚を駆使し起毛をおこないます。一日のうちでも温度や湿度の変化にともない風合いは変化し、職人による微妙な機械の調整によって、紀州ねるの製品の品質は常に均一にたもたれています。

より良いものづくりのために機械は自分たちで改良しています。20年前の機械や古いもので50年以上前の機械まで、改良を重ね現役で稼働しています。

あったか起毛シーツ

サイズ：約97×205cm （S・SLサイズ対応）
縫製：アドラーヘム 四隅ゴムバンド付き
素材：アクリル50％ 綿40％ ポリエステル10％
横糸（表面の毛羽部分）はアクリルとなります。
アクリルは極細マイクロアクリル繊維を使用しています。
生産国：日本製（和歌山県和歌山市）

四隅にゴムバンドを縫い込んだ敷きパッド式になっています。着脱が便利なうえ、さまざまなマットレスにご使用いただけます。

オフホワイト×グレーをベースに４つのカラーで展開します。

・ネイビー シックで大人な雰囲気に

・ボルドー ラグジュアリーな雰囲気に

・モスグリーン 自然と安らげる雰囲気に

・キャメル あたたかみのある雰囲気に

Q：洗濯方法を教えてください。
A：下記をご参照ください。

Q：糸をひっかけてひっぱってしまったのですが、どうすればいいですか？
A：タテ・ヨコの織物なので、ひっかけてしまった部分の両サイドを生地ごとひっぱってあげると直っていきます。直りきらなかった場合は、ご使用時にひっかかると危ないのでハサミで切り落として下さい。

Q：洗濯する頻度は？
A：月に２回程度を目安に洗濯してください。洗濯とは別に週に１回程度日蔭干しすることで、より心地よくご使用いただけます。湿気の少ない午前10時～午後2時頃までがベストです。

Q：ダブルやセミダブルはありますか？
A：申し訳ございませんがシングルサイズのみとなっております。

Q：いつ頃届きますか？
A：2020年1月中旬から順番に発送させていただきます。詳しい発送時期については「活動レポート」にて追って連絡いたします。

その他ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

リターン内容：完成した”あったか起毛シーツ”をお届けいたします。

シングル１枚のコース：20～30％OFF

シングル２枚のコース：30％OFF（同じカラーが２枚）

シングル４枚のコース：35％OFF（カラー選択可）

シングル10枚のコース：39％OFF（カラー選択可）

1ロット50枚のコース：45％OFF（商業利用可）

市場販売価格は9,000円を予定しています。このプロジェクトでご注文いただいた方には最大で45％OFFのリターンをご用意させていただきました。また、送料は全品弊社で負担させていただきます。

今回の皆様からいただいたご支援は、さらなる新製品の開発の投資に充てさせていただきたいと考えています。次回、冬物は布団カバーを予定しています。（予告なく変更になる場合がございます。）

繊維業界は衰退し職人が次々に引退していく中、弊社では次の世代にも起毛業を持続するために若い職人の育成に力をいれています。また、様々な分野のテキスタイルへの起毛加工に挑戦することや、起毛技術の発信にも力を入れており、クラウドファンディングを通して「起毛」を知ってもらえればと思っています。

「起毛」をより探求し、より発展させるべく、2018年の春に工場を拡張移転いたしました。バラバラに解体した機械を新工場で組み立てなおし、機械の調整を行う・・・。一生に一度、あるかないかの場面に立ち会った私は、不安よりワクワクがとまりませんでした。なくなりつつある「起毛」という技術を残さなければならない。改めて認識する機会でもありました。

過去３回にわたるクアウドファンディングでの”ものづくり”では、多くのご支援や応援コメントに励ましていただき、完成させることができました。スタッフ一同大変うれしく思うとともに、さらなる良品の開発に精進していきたいと思う中、今回のプロジェクトにチャレンジしました。

クラウドファンディング第１弾 「超やわらか六重織ガーゼケット」

クラウドファンディング第２弾 「ボタニカル・ダイ 極上ブランケット」

クラウドファンディング第３弾 「ボタニカル・ダイ リバーシブルガーゼケット」

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

もともと「起毛」を知ってもらうために始めた製品開発部でしたが、「紀州ねる」では過去４回にわたるクラウドファンディングや、地元のフリーマーケットへの参加を通して「お客様が使って喜んでもらえることへの喜び」をたくさん感じ、その度に「もっと良い物・感動してもらえる物を作らねば」と”ものづくり”を楽しめることがとても幸せに思います。

今回のクラウドファンディングでは、ずっと作りたいと思っていたシーツの企画に取り組むことができ、ご協力いただいている各社様と、今までの皆様のあたたかいご支援のもと、完成させることができました。さらなる“良い物づくり”のためにも、今回のプロジェクトへのご支援・応援をよろしくお願いいたします。

紀州ねる店長 島本和典