それは、水のように空気のように透き通る布。

色の属性を超え、日本人の心に強く深く響いてくるような存在。

近江の美しい水と技によって
晒しを極めた、苧麻の布。

清く美しい布が
空間をととのえる

私たちの心は、目にする光景に少なからず影響を受けています。

インテリアもそのひとつ。

（間仕切り布・テーブルクロスとして）

清く真っ白な布に整えられた空間に身を置くと、
雑念が少しずつ薄れ、
目にしている光景と静かにつながっていきます。

布が生み出す壮大な余白が
”無” の安らぎをもたらす

（目隠し布・間仕切り布として）

現代に生きる私たちには、思考を断ち切り、感覚だけに意識を向ける安らぎの時間が必要です。

鮮烈な白い布から生み出される、途方もない余白。

（カーテンとして）

その余白の中に身をおき、
ただゆっくりと呼吸をととのえながら、
仕事中の緊張から距離を置き、解放する。

すると布がまとう空気感が、深い呼吸とシンクロし、五感が研ぎ澄まされます。

透明なほどの白さが
室内に無限のつながりを生む

賃貸などの限られたスペースこそ、布がもたらす余白の広がりは絶大。

窓辺は布によって光が拡散され、外の景色が美しい影絵となって映し出されます。
布を通して感じる光は清々しく、美しく、室内はより広く開放的に。

窓辺だけではなく空間にも間仕切り布を。
間仕切り布は、区切るのではなく、むしろつながりを生むものです。

布によって奥行きが生まれ、
こちら側の家具が引き立ち、
隠された向こう側に美しい心理的風情が生まれます。

（照明のダクトレールを使って間仕切り）

マインドフルネス

余計なことを考えず、意識を「ここ」に集中させ、自分との対話を深められる空間。

湯が沸き立つ音、
わずかなお香の煙のゆらぎ。
五感をフルに使い、思考を断ち切り、
今この瞬間に完全に意識を埋没させる。

マインドフルネス。

何も与えない、何も考えない、空っぽの時間。
そんな白い布で作られた「余白」が、いまこの瞬間に集中する資源となるのです。

余白は心を満たし
新たな想像力を育む

そして何もない余白を介して喚起されていくのは、無限の想像力。

何もないことで満たされる日本人独自の美意識が、簡素なものの中にむしろ自在に思いを投じ、イマジネーションを芽生えさせてくれます。

今回お届けする苧麻布「sayu」は、細密な織りと、晒（さら）した
白さを特徴とした高級白布（はくふ）。

風をまとうように軽く、
湧き水のように涼やかな、
たぐい稀なる極上の織物

目指したのは、１枚吊るすだけで空間を清めるような鮮烈な白。

混沌とした情景から、何かが著しく立ち現れてくるような、日本人の感受性や心理、美的感覚に深く響いてくる、そんな白です。

鮮烈な白さと艶やかな表情

真っ白に晒されたその布は、細く長い、繊細な糸で織られ、凹凸の少ない艶やかな表情をもっています。

原料である苧麻は日本では「苧＝からむし」とよばれ、古くから列島各地に広く自生していた植物です。縄文時代（推定）から衣料原料として使われていたとされ、『万葉集』の歌の中にも詠われています。

”ゆかた”の原型は、苧麻布だった

苧麻布は、その美しさから多くの権力者の夏衣装「湯帷子（ゆかたびら）」として珍重され、現代の「ゆかた」の原型であったといわれています。

（写真上）滋賀県で織られた苧麻の近江ちぢみの作務衣

江戸時代までは苧麻の産地は全国にあり、日本三大上布とよばれる、近江上布、越後上布、宮古上布など最高級の麻織物が次々と生み出されました。

技術者が減少し、産地が衰退

（左）からむしの茎を剥いで乾燥させたもの（右）からむしの原料「青苧」

しかし木綿の普及と同時に著しく技術者が減少。現在からむしの原料となる青苧（あおそ）を生産しているのは本州では福島県昭和村のみといわれ、国の文化財保存技術として認定されています。

苧麻はリネンより
遥かに希少な存在

麻とよばれるものには、亜麻（リネン）、苧麻（ラミー）、大麻（ヘンプ）と3種類あります。

世界的には亜麻（リネン）は主にヨーロッパで、苧麻と大麻は中国で多く生産されており、その輸入量と国内の需要は群を抜いてリネンが多く、苧麻や大麻はごくわずか。国産のみならず、苧麻布は希少な存在なのです。

私たちが今回お届けする苧麻布は、滋賀麻工業（株）様のご協力により高品質な中国産の苧麻を織り上げ、近江上布の産地の職人の方々の手によって晒を極めたテキスタイルになります。

苧麻布「sayu」には、リネンにはない独特の魅力があります。

＜生地スペック＞
素材 ：苧麻100％　
生地（織り） ： 平織り

高級上布として献上された
純粋で気品のある表情

苧麻布は「からむし」の茎（くき）を蒸して皮をはぎ、そこからとれる繊維で糸を作り、織られています。

繊維は約20～200mm前後で他の植物繊維と比べて最も長いのが特徴。

そのため全体的にリネンにはない艶やかさをまとっており、かつて高級布として献上されていた歴史が、その美しさを証明しています。

洗ってもほどよいハリとシャリ感

ゆかたらしいコシのあるシャリ感と清涼感があり、水洗いしてもリネンのようにくったりと馴染むような感覚はありません。

シーツなどの寝具に使われているとおり、何度水洗いしても、いつも凛とした清々しい表情を見せてくれます。

透明感と使いやすさを
両立した透け感

光を程よく通しながらも向こう側がはっきり見えない、インテリアとして使いやすいちょうどよい透け感の厚さに仕上げています。

日中外から室内の様子が見えない程度の透け感は、糸の密度に工夫があります。

極限まで裁断しないために
計算された仕様

「sayu」はオーダーでなく既製サイズのみでお作りしています。

これは、廃棄生地を一切出さない製造方法にこだわっているためです。

最小限の生地でつくるために、余計なヒダのないフラットなスタイルに。
さらにプラスチックフックはなく、好きなパーツとつないでコーディネートします。

生地上部にあいた８つのボタンホールにパーツをつなぎます。（カーテンレールにあるたランナーの小さな穴にも通せます）

カーテン、目隠し、間仕切りやテーブルクロスまで、シンプルな布として長く使えるように考えられています。

麗しい糸には
美しい水が不可欠

苧麻布の生産には、高い湿度と美しい水は欠かせません。

渓谷から流れる美しく澄んだ川、所々に湧く清水、その水で苧麻の処理を行い、麗しい糸の生産に結びついていくのです。

さらに今回お届けする苧麻布「sayu」は、日本人の美意識に深く共鳴する、透き通るような白を目指し、繊維に付着した不純物を取り除く工程「晒し（さらし）」に、独自の工夫を凝らしています。

生地を透明なほどに白く
晒しにも清い水と技

この晒し（さらし）の工程は、昔から大量の灰汁（あく）を使った釜煮や天日干し、雪晒しなど、その地方にあった手法が用いられてきましたが、「sayu」は、近江上布のある滋賀県湖東地区で、環境へ配慮した形で晒加工をしています。

日本一厳しい排水基準に
適合するために

滋賀の湖東地区は鈴鹿山系から流れてくる豊富な地下水があり、年間を通じて約15°Cの水が湧き出ています。この美しい水が晒加工など様々な加工に生かされています。

そして、使用した水は川に流して琵琶湖に流れていくのですが、滋賀県には排水について日本一厳しい基準があります。

その基準に適合した化学的・物理的な処理を晒加工を含む全ての加工で行い、汚れた水はバクテリアによる浄化処理を行っています。

さらに処理施設では、365日そのバクテリアの管理を行い、きれいな水に戻してから自然に帰し、水資源の持続可能な利用に向け取り組んでいるのです。

循環を生み
すこやかに清める布

「sayu」。この商品の名に込めた想いは、白湯に由来します。

白湯は、朝一番に採り入れることで温まり、古くからそして現代においても知られた健康法のひとつ。

白湯は茶事でも用いられ、茶室に入る前の待合で、客人が白湯を飲んで俗性の汚れを落とし清めます。

生の循環を生み、清めるお湯。
そのお湯に風味や香りを加えずたしなむ日本文化。
そしてただのお湯を白い湯と書き ”さゆ” とよぶ風情。

清めるという精神性や、
循環を生むという本質性。
なんといっても「さゆ」という美しい音の響き、
そのすべてに微かな日本人の
美の見立てと趣が感じられます。

私たちが目指した苧麻のテキスタイルは、まさに、白湯のような存在なのです。

苧麻（ラミー）100％「sayu」

絹のような艶やかさと麻らしい清涼感をあわせ持った表情。繊維が細く、繊細な質感をおたのしみいただけます。

同じ布で作る「共紐」をつないで吊ります

通常のカーテンに付属されているプラスチックフックは付いていません。
生地の上部に８つのホールがあいていますので、その穴に、セットで付属している「共紐」を通して吊ってください。

【付属品】共　紐

本体から切り取った生地耳から作った紐で、高い縫製技術により幅４㎜の極細に仕上げた紐です。生地１枚につき共紐１セット付属していますので、別途購入の必要はありません。（幅４㎜×長さ40cm×８本）

もっと個性的なコーディネートを楽しみたい方に

※こちらは別途単品購入が必要です。

１・革紐

キャメルカラーが徐々に濃くなっていく、本革本来の経年変化を楽しめます。（幅3mm×長さ35㎝×8本）※本体生地1枚分

２・針葉樹紐

針葉樹の樹脂が原料。黒ベースに白っぽい植物の繊維を感じる環境にやさしい素材です。（幅3mm×長さ40㎝×8本）※本体生地1枚分

３・S字フック

黒の極小フック。レールのランナーを使って吊るす場合に使用します。（幅1.5cm×長さ3cm×8個セット）※本体生地1枚分

※「S字フック」は小さいため、突っ張り棒には使用できない場合があります。

４・リング

シルバーのリング。突っ張り棒にも使える大きさで、シンプルに吊りたい場合におすすめです。（幅2.1mm×長さ4cm×8個セット）※本体生地1枚分）

6サイズから選択。
パーツを調整してお好みの丈感に

「sayu」は、オーダーでなく「幅150㎝×丈６サイズ」の既製サイズ展開です。

丈の６サイズは、120㎝、140㎝、180㎝、200㎝、220㎝、240㎝。

生地につなげる紐の長さを調整すれば、どんな場所（窓）にもお好みの長さに吊ることができます。

※カーテンとして２枚必要な方は、商品を２回ご購入ください。
※サイズにご不安なお客様はメッセージまたはLINEにてご相談ください。
https://page.line.me/258nsxrr?openQrModal=true

※生地の最端のホールを1つのパーツで共有すれば横に何枚でもつなげられます。またヒダが多いと思われた場合は、生地の端を折りたたむことで調整可能です。

とはいっても、サイズも吊り方も自由。

突っ張り棒を使って手軽に目隠し

照明のライティングレールに専用フックを追加して間仕切り布を取り付け。ピクチャーレールも使えます。

吊るものがない場合は、天井用フックなどを別途ご購入ください。

狭い空間こそ、白布の間仕切りを1枚吊るだけで奥行が生まれて広く感じられます

「自宅にあったサイズや枚数が分からない」「透け感を実際に確認してみたい」などご質問があればぜひお気軽にお問合せください。郵送にて生地サンプルもお送りできます。（お届けまでに約1週間ほどかかる場合がございます。

「sayu」にはカーテンを束ねるタッセルが付属していません。

それは、タッセルを作るのにたくさんの生地が廃棄されているからです。代わりに布の両サイドについて天然あこや貝のボタンでアレンジが可能です

天然ならではの表情が美しいあこや貝のボタン

このボタンを裏側についたボタンループに引っ掛けてアレンジします

タッセルがなくても、ボタンとホールをつなげれば生地がまとまります。

KURASIKU(クラシク)は、エシカルな自然素材100%カーテンのブランドです。

自然と作為の境界線
その美しさを大切にしたい

千利休の「花は野にあるように」という教えがあるように、
茶事では季節の野花を一輪、
自然の中で咲く、本来の姿そのままに投げ入れます。

人の手によって華やかな芸術性を生むフラワーアレンジとは趣が違い、
余計なものを取り除いた究極の美しさ、生命そのものの尊さをみいだしています。

自然の恵みを分け合う
自然と共生する
自然からのいただきもの

日本人のDNAに刷り込まれているこのような持続可能な価値観を
私たちは、ものづくりにおいてとても大切にしています。

私たちの作る商品は、自然と作為の境界線ぎりぎりのものでありたい。
作為を感じさせない程度に自然を加工して美しさを引き出すのが、
KURASIKUのテキスタイルがもつ自然観だと考えています。

自然に触れ、美しさを味わい、思いやりの気持ちを受け、
深いやすらぎがもたらされる。

そんな美しいエネルギーを循環させる存在であり続けたいと思うのです。

『幻の麻　大麻』プロジェクトでは367人の方に応援購入をいただきました。

生地名：sayu（さゆ）

サイズ：既製６サイズ（巾150㎝×丈120㎝・140㎝・180㎝・200㎝・220㎝・240㎝）

付属パーツ：共紐　８本

オプションパーツ：　革紐８本/針葉樹紐８本/S字フック８個/リング8個

原料：苧麻（ラミー）100％

※本プロダクトは、厳選された高品質の中国産苧麻糸を使い織り上げ、近江上布のある滋賀県湖東地区で晒し加工をし、福井県の弊社工場でデザイン＆縫製したテキスタイルになります。

株式会社カズマ（福井県八重巻町105）

当社は、繊維王国である福井で半世紀にわたってカーテンを作り続けている企業です。カーテンというと、光や視線を遮る”道具”だと考える方が多いと思います。しかし住宅のAI化が進む今、テキスタイルがもつ役割は、AIでは埋められない「心の豊かさ」に深く関わり始めています。

風に揺れ、光をやわらかく調和し、外と中を曖昧につなぎ、空間を和ませる。そんなテキスタイル独特の魅力が、私たちの暮らしに癒しや安らぎを与えてくれます。

そして長く、心から愛せるものづくりを目指す中で「健康」や「環境」といったテーマは切り離すことができません。自然の摂理にあらがわず、心や体に溶け込んでいくようなテキスタイル開発を常に目指しています。

＜パートナー企業＞
滋賀麻工業株式会社様

＜撮影ご協力＞
福井県大野市「COCONOアートプレイス」