世界のメゾンブランドが認めた

森川レースのファクトリーブランドがついに誕生。

創業1963年。福井県福井市に自社工場を構え、森川英樹さんが代表を務める有限会社森川レース。

日本の産地や工場の支援、持続可能なモノづくりを目標に、商品販売のサポートやブランディングを行うCRAHUG(クラハグ)。

この度両者が手を取り合い、”自然をまとう、カモフラージュウェア”をコンセプトに新しいブランドを立ち上げました。その名も「Rafield」(ラフィールド）。

森川レースの製造する意匠性の高い生地と、アウトドア要素の含んだディティールを掛け合わせた商品を展開していきます。

今回はブランドの中でもアイコンとなるショート丈アウターをお届けします。

着用モデル身長:175cm

着用モデル身長:160cm

この商品の最大の特徴といっても過言ではない袖口に隠されたポケット。自転車に乗って移動しているときを考えて付け加えられたディティールです。自転車に乗っているとき、気になるのは荷物のこと。パンツのポケットに入れたケータイ、定期、財布、落としそうで心配ですよね。

そんなときに役に立つのが、このディティール。袖口に隠されたポケットがあり、スマートフォンや財布ならすんなり入れることが出来ます。マチも少なく設計しているので、中にモノを入れても、もたつくことはありません。さっと開けて、素早くアクセスできる優秀なポケットです。

例えばこのポケットにSuicaを入れてみれば、袖をかざすだけで改札を通ることが出来ます。自転車に乗らない人でも想像次第でうまく活用できる優秀なディティールです。

このショート丈アウターには動きやすさを確保するために、肩回りに特殊なパターンを採用しています。（パターンとは洋服の設計図のことで、着心地や見栄えを左右する重要な要素の一つです。）

この商品には、前から見るとラグランスリーブ、後ろから見るとセットインスリーブといった特別な設計を取り入れています。

セットインスリーブとはクラシックなパターンで、主にスーツなどに用いられているパターンです。かっちりとした印象を着ている人に与えてくれる仕様です。

その一方、ラグランスリーブは動きやすさを重視した仕様になります。一般的にはスポーツウェアで多く見られるようなパターンで、カジュアルな印象を与えてくれるような形。肩口に余裕が出来るため、腕を動きを邪魔しません。

この商品には前にラグランスリーブ、後ろをセットインスリーブのパターンを設定しているので、動きやすいカジュアルなアウターと思いきや、きちっとした印象も与えてくれる、そんな理にかなった設計を採用しているのです。

このパターンを採用しているため肩回りの窮屈感がなく、例えば電車のつり革につかまるとき、自転車に乗って前傾姿勢になるとき、どんな時でも腕の動きは邪魔されずスムーズに動かすことが出来ます。

冷えは首元からってよく言います。例えば自転車に乗っているときも、街を歩いているときも、風が直接当たるより、風よけがあるほうが断然いいのです。

そんなときにこの仕様が役に立ちます。普段は寝かせている襟を立ち上げて、首元にあるストラップで留める。立ち襟のように着ることが出来るのです。

寒いと感じれば、襟を立てて着る。暑いと思えば、ストラップを外して。体温調節も簡単に出来るのです。

また写真のようにストラップ自体を取り外すことも出来ます。

ユニセックスで展開するブランドによくあるサイズの問題。性別問わず着用するための解決策として、よくあるのはただサイズを大きくしただけの商品。男性が着る分には構いませんが、女性が着るとなると不格好になってしまいます。

Rafieldはユニセックスのブランド。このサイズ問題を解決するためのディティールも沢山あります。

一つ目は裾に仕込んでいるドローコード。

このコードを絞ることでストレスなく着用することが可能になります。左右どちらの裾にもコードを入れているため、絞ってお好みの丈感で。小柄な女性にとっては長すぎる丈も、この仕様のおかげで難なく着用することが出来ます。サイズ調整だけでなく、シルエットにも変化をつけることが出来るため、1つの商品で2つの着用パターンを楽しむことが出来ます。

このようにコードの先を別のループに通してあるので、伸ばしたコードが垂れて、バッグに引っかかってしまうなど、邪魔になることはありません。

2つ目は袖口についてるスナップボタン。

ゆとりのあるシルエットが好みの方は緩いほうで。絞って着るのはお好きな方は、奥のボタンに付け替えることで着用感を変化させることが出来ます。女性が着るとダブついてしまう袖も、奥のボタンで留めればしっかりと袖口でキープすることが出来ます。長すぎてだらしなくなってしまう袖とはおさらばです。

下の図がサイズチャートになります。この大きさはメンズのMサイズからLサイズを想定しています。ただサイズを調整してくれるディティールは沢山あるので、サイズチャートはあくまでも参考として。

着用モデル身長:175cm

着用モデル身長:175cm

着用モデル身長:160cm

着用モデル身長:160cm

1サイズ・1カラーの展開となります。

ブランド名である「Rafield」の元にもなっているラッセルレースという言葉。多くの方にとって聞き覚えのない言葉だと思います。ラッセルレースとはラッセルレース編み機で編まれた生地のことを指します。「Rafield」の商品で使用される生地はすべてラッセルレースであり、この生地にはどんな特徴があるか説明していきます。

現代に普及しているコンピューター制御された高速の編み機と比較すると、ラッセルレース機の編むスピードは非常に遅く、ゆっくりとしたものです。現代的な編み機がスーパーカーなら、ラッセルレース機はまるで歩くかのように、丁寧に編みこんでいきます。小さなマシントラブルは日常茶飯事のことで、職人が常に目を光らせて繊細な調整を加える必要があり、一台に一人付きっきり、そんなイメージです。

誰でも想像がつくかと思いますが、この二つを比較するとラッセルレース機で生地を作ることは決して効率の良い生産方法とは言えません。けれど、このラッセルレース機にしか表現できない生地の風合いがあり、それを「Rafield」では大切にしています。ゆっくりと編み上げられた生地は柔らかい風合いを持ち、ふんわりとした質感に仕上がるのです。

この商品に使われているラッセルレース、それを編み上げるカールマイヤー社の編み機は、世界的に見ても大変貴重なものになっています。そしてそのうちの2台を保有しているのが、森川レース。

国内の他のレース工場は海外との生産競争に負けないようにと、効率を求めて高速編み機の方に流れたためです。当時は作れば売れる時代でしたが、今は異なります。丁寧に時間をかけてロスなく作ることが評価される時代。そのことを森川レース代表の森川英樹さんはいち早く気づいていて、ラッセルレース機を用いた丁寧なモノづくりを続けてきました。

森川レースの自社ブランドとして立ちあがったRafield。

CRAHUGと森川レースの協業によってブランド作りが行われています。それぞれの会社の説明から、ブランド設立の経緯までご紹介します。

森川レースは福井県福井市にあるレース生地のメーカーとして、生地の製造販売を行っています。福井県は古くは絹織物で栄え、現在も繊維産業が盛んな場所として有名です。現在の従業員は6名ほど。代表を務める森川英樹さんと、そのご家族、従業員さんとレース生地作りを続けています。

森川レースではアパレル向けのレース素材をメインに製造してきました。ナイロンに代表されるような合成繊維から綿などの天然繊維まで幅広く扱うことのできる、国内でも有数のレースメーカーです。

実はレースには2種類あるって皆さんご存知でしたか？インナーレースと、アウターレース、大きくこの2つに分類されるのです。そしておそらく皆さんに馴染みのあるものは前者のインナーレースと呼ばれるもの。女性ものの下着に使われるような繊細で細やかな柄が特徴の生地です。

一方アウターレースは文字通り”アウター用”として製造されるので、太い糸を用いてざっくりした質感のものを指します。主に、ワンピースやスカート、ジャケットに使われるような生地で、高級感のある見た目が特徴です。森川レースで製造されているのは、アウターレースの方。アウターレースならではの表情を活かした生地作りを得意としています。

2021年9月に立ちあがった新しいプロジェクトCRAHUG(クラハグ)。株式会社オンワードデジタルラボとKAJIHARA DESIGN STUDIO(以下KDS)との協業によって、このプロジェクトは進行しています。KDSの代表を務める梶原加奈子氏を、クリエイティブディレクターとして迎え、日本の産地や工場のモノづくりを応援するため、工場の販売支援、ブランディング支援を行っています。

CRAHUGの初のブランディング事業として森川レースとのブランド作りが8月より始まっています。

森川レースの代表である森川英樹さんと、CRAHUGのディレクターである梶原加奈子には、ブランド作りに至る前からの親交がありました。テキスタイルデザイナーとして、森川レースの生地開発に協力していたのです。当時からブランド立ち上げの構想があり、この度ついにブランドが形となって皆様にお披露目することとなりました。

Rafieldのコンセプトは、「自然をまとう、カモフラージュウェア」。このブランドの商品を着て、街から山まで自由に行き来してほしいという森川さんご家族の気持ちが込められています。

代表を務める森川英樹さんとご家族の休日の過ごし方は、身近な自然と触れ合うという非常に豊かなものでした。ご自宅の近くには、沢山の自然があふれていて、自然に囲まれた環境で家業を営んできたのです。家族にとって自然との触れ合いは当たり前のもの。そういった想いから、森川レースの自社ブランドもアウトドア要素を盛り込んだものにしたいという発想に至りました。

従来のレディース向けばかりであったレース生地の制作だけでなく、織物のようなテイストを出してみたり、立体的なテクスチャーを利かせたりと、今まで誰もやったことのない、言わば編み機の可能性を引き出すチャレンジをしてきました。このブランドはその挑戦の延長線上にあると考えています。このブランドを通じて、レース生地の面白さや奥深さ、日本のモノづくりのこと、そういった大きな枠組みでの価値観を提供したいです。

この商品の特徴である、機能的な収納ポケットは、さっと羽織るだけで手ぶらで気軽に外出ができ、しかしまたその活動幅は広く、街から自然、自然から街へと、自由にに移動することが可能になります。

仕事終わりにそのまま夕日を見に行ったり、友人や家族とのピクニックやトレッキングなどシームレスな行動をお手伝いします。自然に溶け込み、街に映える着る楽しさ伝えていきたいです。

時代の変化と共に、日本の工場はモノづくりの方向性を転換していく必要があります。ラッセルレースの⽣産もアジアに⽣産地が移⾏し、国内で継続していくことが難しくなっていくなかで、森川レースさんは旧式編み機を保有し、⼿間隙を掛けてコツコツ⽣地を作り、世界のハイメゾンからも期待されている⼯場として活躍しています。

森川レースさんがこれからもオリジナル性が⾼いレースを福井産地で作り続けていけるように、テキスタイルを製品にしてユーザーと直接繋がっていく未来を切り拓いていければと思っています。

新しい領域に向き合い、⾃然との共⽣を考え、新しい社会に必要とされるものを⽣み出していくことに挑戦していくことが、このブランドを通して始まると思います。

ラッセルレールの頭⽂字とフィールドを合わせたブランド名「Rafield」が、森川レースさんと社会がつながっていく架け橋になっていくことを願っています。

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