はじめに

こんにちは。愛知県で日本の伝統的な素材や技法を取り入れた服やアイテムを提案している「OSOCU」と申します。

私たちは明治9年創業の谷健株式会社の中で2017年末から活動を開始し、社外のパートナーと手と組みながら日本でのモノづくりを続けています。

今回、私たちが初期の段階から使い続けている、愛知県の生地「知多木綿」を用いて、今までのアパレル生産とは違うアプローチを試みるため、2年ぶりにmakuakeプロジェクトを用いて生産を行うことに決めました。

生産するのは、ユニセックスのバンドカラーシャツです。

このプロジェクトについて

今回のプロジェクトは、知多木綿という素材、名古屋黒紋付染という技術、ユニセックス＆ミニマルというデザインの3つを特長としています。

最初に取り上げたいのは今回一番の焦点を当てている「知多木綿」です。

江戸時代から続く生地で今も和装の分野を中心に生地を供給しています。

しかしながら、生地幅がわずか40cmほどしかない小幅という種類のため、現代の洋服づくりには生産効率の面から向いていません。

そのため現在、アパレルの分野で小幅の生地を見かけることはかなりレアです。（一般的な洋服生地の幅は100cm以上の幅）

私たちはそんな「知多木綿」で5年以上色々な服を作ってきました。

そうした経験も活かしつつ、この愛知に昔から根付くローカルな素材をぜひ日常に取り入れてもらいたく、プロジェクトを始めました。

2つ目の特長は「黒」です。

職人が手染めして仕上がる黒は、店頭や催事で黒好きの方々もうなるほど。

こちらも江戸に起源を持つほど古くから受け継がれた技術です。

日本にこうした伝統工芸があり、日常に取り入れることができることをぜひ知ってもらえればと思っています。

今回のデザインはジェンダーレスかつサイズフリーで企画しました。

サイズ感はもちろんのこと、小さ目のポケット、前立てや衿の細さなど、細部もミニマルに収まるよう企画しています。

日本で昔から受け継がれた素材や技術に興味を持ってもらっても、日常使いできなれば意味がありません。

人に使ってもらってこその素材であり技術であると私たちは考えます。

利用シーン

白と黒の2色なので、休日カジュアルはもちろん、リモートワークやおうち時間でも違和感なく取り入れて頂けます。

今、愛知県に住まれている方、愛知県出身の方、愛知に何らかの縁がある方にはぜひ手に取ってもらいたいと考えています。

そして、今はなかなか自由にできない観光という側面からも、愛知県の素材や技術や文化に興味を持った方に応援して頂ければこれほど嬉しいことはありません。

開発したシャツの仕様

【サイズ】：ワンサイズのみ

おおよそ150cm～175cmまで違和感なく着られるサイズ感で設計しています。

白は知多木綿の生地を「和ざらし」という昔からの方法で白くした生地を使用。

真っ白という表現にぴったりの色です。

黒は名古屋黒紋付染の職人の手で1枚1枚。

伝統の黒をぜひ直に見てみてください。

ユニセックスを意識した細目の前立てとバンドカラーデザインにしています。

【生地】：知多木綿

【ボタン】：バイオポリエステルボタン

（菜種油の搾りかす・バガス・麦わらを使用したボタンです）

【ミシン糸】：綿糸

サイズ感

ワンサイズですが、胸回りと腕周りに余裕を持たせてあるので、年代や性別で着用の可否をできる限り決めないよう配慮しました。

上記画像は男性185cm、女性160cmです。

※180cm以上の方は人によって袖丈が少し短くなってしまいます。逆に袖丈が長い方は袖まくりをして着る想定です。

白：173cm

黒：173cm

白黒ともに、やはり黒パンツとの相性は抜群です。

白：162cm

休日やおうち時間なら、もも周りにゆとりのあるバルーンパンツやシェフパンツを合わせるのもお勧め。白シャツはどんな色目にも合わせやすいです。

リモートワークやちょっとしたお出かけならボトムをテーパードパンツや細身のパンツにしてYラインを作ることもできます。

黒シャツに白やアイボリー、ベージュのパンツも良く合います。

プロジェクトの生産に高い透明性を

アパレルに限らずモノづくりの現場では、時に生産に関わることを秘密にすることがあります。

しかし、技術やノウハウに特殊性のある工場や職人であればまだしも、私たちOSOCUのような企画者は情報をオープンにすべきと考えました。

生地：知多木綿（新美株式会社）

黒染：名古屋黒紋付染（山勝染工株式会社）

縫製：OFURIYA（田中衣料製品株式会社）

デザイン：nui products

企画：OSOCU

知多木綿は江戸時代から連綿と作り続けられる日本の生地。愛知県の阿久比町から浴衣や半纏といった和装用途に主に供給されています。

今回のプロジェクトは生産背景の中でも特に知多木綿に焦点を当てて準備しました。

名古屋黒紋付染は名古屋の伝統工芸指定をされている染色技術。

近年は、誰もが知るメジャーブランドや映画やCMといった、新たな分野へのチャレンジもされている染工所さんです。

OFURIYAさんは元々名古屋にあった縫製会社さん（現在は東京）。

縫うだけの縫製工場ではなく、サスティナブルの取り組みから国内の資材を活用した「着たいをカタチに」というコンセプトで、国内外のデザイナーさんやブランドさんの服の製作を行っている小さな縫製工場です。

昨年は、愛知・尾州生地を中心に生地・資材の提案から製作までを受託しているヨーロッパのブランドがVOGUE誌にとりあげられるなど、活躍の場を広げておられます。

※OSOCUの初期から協力頂いており、名古屋時代にはアトリエにも時折お邪魔させて頂いていました。今回、愛知県ではないですが、OSOCUや名古屋との縁から依頼させて頂いています。

nui productの岩崎さんにはプロジェクトのパターンとデザインを依頼しました。日本各地の素晴らしい布を仕立てた独自ブランド「n'ui (ウイ)」を展開されています。今回のジェンダーレス・サイズレスの作りはここでのパターン無しには成立しませんでした。

今回のプロジェクトは販売して終わりではなく、使い手の方とローカル素材や技術とが繋がるきっかけにできればと考えています。

そして、それは必ずしもOSOCUの仲介がなくても良いのです。

例えば、

＊白シャツを1年ほど着たら、黒染の山勝染工さんに染め替えを依頼する

＊知多木綿を使った別の商品を知多半島のサービスエリアで購入する

＊解れてしまったり、ボタンが取れてしまった箇所をお直しする

等々

もちろんそれぞれに仕事の依頼もしてもらえればうれしいです。

私たちOSOCUは必要があればもちろん仲介しますが、どんどん使い手が作り手と繋がっていって欲しいと思っています。

最後にオープンにすることは、原価構造の公開です。

すでにそうした取り組みをされているアパレルブランドさんがあることも承知していますが、生産者名まで出している中で掲載することはなかなか例が無いと思います。

生産者さんには迷惑をかけない程度という制約は付きますが、なぜこの価格にしているのかを皆さんにも知って頂きたいと考えました。

正直少し迷いましたが、こうすることが日本での生産の理解にも繋がると信じています。

OSOCUでは今回のプロジェクトに限らず、直接販売した場合に原価率が50％になるような定価を考えます。

今回はクラウドファウンディングという性質上、手数料や割引が発生していますが、直接販売の場合はおおよそ50％になる設計です。

リターンについて

基本的には今回開発したシャツをぜひ試して頂きたいです。

ただ、シャツはあまり着ない、サイズがちょっと・・・という方に向け、OSOCUで人気のあるバルーンパンツを特別価格（10%OFF）でご用意いたします。

リターンの試着ができる場所を設けることも考えていますので、決まり次第、プロジェクトレポートにて報告させて頂きます。

スケジュール

2021年6月上旬 数量集計

2021年6月～7月 生産

2021年7月 染色

2021年7月末ごろ 発送予定

リターンについて

メインのリターンは新しく開発したユニセックスのバンドカラーシャツです。白と黒の2色をご用意しました。

また、シャツは着ないけど、応援して頂ける方に向けて現在の人気商品であるバルーンパンツを特別価格でご用意しました。こちらもユニセックスです。

資金の使い道

今回応援購入頂いたリターンの生産に使用する他、利益分はOSOCU独自の開発生産体制を拡充し、新しい工房を起ち上げる資金にできればと考えております。

実行者紹介

私たちOSOCUは140年という長い歴史のある会社の中で立ち上がったプロジェクトチームです。

現在は代表の谷を中心に愛知県安城市のアイディアバルブ株式会社さんと連携し、新しい形の服との出会い方を試行錯誤しています。

今回も全面的に協力して頂きました。

【撮影】アイディアバルブ株式会社

動画：たかつじゅんや

写真：木野村 唯夏

モデル：荻原未波、河合立良

今回のプロジェクトでは下記の方々に本当にお世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

【生産】

新美株式会社 http://niimi-textile.jp/

山勝染工株式会社 https://yamakatu.co.jp/

田中衣料製品株式会社 http://ofuriya.com/

nui products https://www.instagram.com/_n.ui_/?hl=ja

【撮影・モデル】

アイディアバルブ株式会社 https://i-bul.com/

最後に

いつもは最後に私たちOSOCUのコンセプトをご紹介してプロジェクトの紹介を締めくくるのですが、今回は代表からの想いを掲載します。

私たちは繊維の世界に携わる”プロ”でありながら、服の生産背景に対しては理解が低い状態で長年商売をしていました。そこを変えたいと思ったのが今から8年前。

学問的な勉強をするわけではなく、すべて実践と人との出会いで知見を積み重ねてきました。今回は今持てるそれらを全て使ったプロジェクトです。

そんなファッションデザイナーではない私たちがデザインするのは、視覚的なデザインではなく、服の背後にあるストーリー。

こうした考えが広がれば、愛知県のみならず、日本各地にある生産者やその関係者にとっての一つの選択肢になるのではないか。少なくとも何かのきっかけになれば良いなというのがシンプルな想いです。少しおこがましいですが。

ファッションとしての”衣”の側面はもちろん認めつつ、それ以外にも多様な視点から多様なデザインがあることが“衣”の分野の本来の姿ではないかと信じて。

少しでも共感を得た方の応援を頂ければ幸いです。

OSOCU代表 谷