私たちは京都で50年以上、お出汁ひとすじでやってきました。そんな削り節屋のノウハウとプライド全てを詰め込んだ、炊き込みご飯が完成しました。題して「お出汁をいただく炊き込みご飯の素」です。「具材が一つもないなんて物足りないのでは？」と思うかもしれませんが、むしろそれが美味しいんです…！

お出汁についてもっと知りたい、お出汁をひいて料理してみたい、アタラシイ物が好き、という方もぜひご覧ください。これから皆さんを極限まで研ぎ澄まされたお出汁の世界へご案内します。

はじめまして。また、前回のプロジェクトにご協力いただいた皆さまにはご無沙汰しています。「KYONO ODASHI（きょうのおだし）」です。この度は「お出汁をいただく炊き込みご飯の素」の商品化に興味をもっていただきありがとうございます！

私たちは1970年に京都で創業した削り節屋、株式会社森野義です。創業以来、京都を中心に日本料理屋・蕎麦屋などの飲食店向けに削り節を製造・販売しており、近年では一般消費者向けの商品の開発にも力を入れています。

※過去のプロジェクトはこちら

お出汁の原点は縄文時代まで遡るといわれますが、室町時代以降は精進料理が発達していた京の都で重宝され、大きく発展を遂げてきました。その存在は今や日本や京都を語るうえで不可欠なものになり、さらに2013年には和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたのをきっかけに、世界中に広がりつつあります。今や、お出汁の旨味を表す“UMAMI”は世界共通語にもなっています。

一方で、そんなお出汁の素となる削り節については、一体何なのか？　どうやってできているのか？　日本の方でもよく知らないという声も多いです。簡単に説明すると、カツオやサバやマグロなどの魚を燻製し乾燥させてできた節（ふし）を、薄く削ったものを指します（上記はそれぞれ鰹節、鯖節、鮪節になります）。

森野義では創業以来、一流の料理人をはじめ、たくさんの方に支えられ試行錯誤を重ねて、美味しいお出汁を作り上げてきました。そうしてできたプロ仕様のお出汁を自宅でも簡単に味わっていただきたい、という思いから、2019年には家庭用向けブランド「KYONO ODASHI」をスタートしました。今では約20種以上の商品を通じて、プロ仕様のお出汁を簡単に味わえる喜びを、多くのご家庭にお届けしています。

“削り節からお出汁をひくこと”を当たり前に

私たちの願いは “削り節からお出汁をひくこと”がいつもの料理の選択肢になることです。逆に言うと、お出汁を削り節からひいているご家庭は、とても少なくなっているのです。

その理由には、近代化によって私たちの生活が大きく変化したことが挙げられます。夫婦共働きが一般的になり、仕事や趣味に費やす時間が増え、家事の自動化・時短が求められる今。スーパーマーケットの売り場には、水に溶くだけでお出汁の味になる調味料といった、お出汁をひく手間や時間を短縮できる便利な商品が多数並びます。それらは確かに忙しい毎日にとっては有り難い限り。ですが、私たちが常々感じているのは、そうした社会の流れによって“削り節からひくお出汁”がこのまま家庭から消えてしまって良いのか？　ということなのです。

以下は、私たちの商品やお出汁のワークショップへ寄せられる感想の一部です。こうした各家庭のエピソードを読むたびに、私たちの思いは強くなるばかりです。

「お出汁の旨味がきいているので、シンプルなお料理でも満足感が全然違います」

「キッチンでお出汁をひいていると、その香りにつられて子どもたちがキッチンに集まってきたりして、なんだかとても嬉しい気持ちになります」

「子どもがお出汁のワークショップに参加してからは、『今日のお出汁は濃くて美味しいね』などと、その日のお出汁や料理の話題が食卓に生まれました」

「お出汁をいただく炊き込みご飯の素」を商品化

そこで、できるだけ多くの方に削り節からひくお出汁の素晴らしさを簡単に体験していただくために辿り着いたのが、この「お出汁をいただく炊き込みご飯の素」です。

お伝えしたように、「KYONO ODASHI」ではプロの料理人にも満足いただけるレベルの削り節を追求し、提供しています。その究極のお出汁の味を余すことなく味わっていただけるよう、削り節以外の具材を一切入れずに作りました。

もう一度言います。

削り節以外の具材を一切入れずに作った炊き込みご飯の素です。炊き上がった後に具材を混ぜてももちろん美味しいですが、まずはぜひ、具材を一切入れずに召し上がっていただければと思います。

もともとお出汁は、食材そのものがもつ豊かな味をひきだし、味わい深いものにするために使用されてきました。見えないところから料理を支える裏方役として、いつの時代もお出汁は縁の下の力持ちでありました。

そんなお出汁の存在に意識を向けてほしいといった思いから、思い切ってお出汁を前面に押し出してみました。こんなことができるのは、削り節屋ぐらいかもしれません。

削り節について

「お出汁をいただく炊き込みご飯の素」で使用しているのは、私たちが厳選した国産原料の宗田鰹節、潤目鰯節、鯖節と北海道産の利尻昆布です。

良いお出汁の条件は、味、香り、見た目、そして安定したものを供給する力だと考えます。というのも、節の原料となる魚は生モノのため、漁獲量や個体差、脂ののり方などのあらゆる条件がその年、季節ごとに異なります。去年が美味しかったからといって、今年も同じ味とは限らないのが難しいところです……。

そうした原料のブレに対して、私たち削り節屋では、その時々の節原料の状態を見ながら目利き・舌利きで必要な種類と量を仕入れ、仕入れたものを適宜調合することで、削り節の味を安定させているのです。また、調合する際の削り節の厚みも機械を使って0.1mm単位で調整しています。こうした条件が全て揃った時に、良いお出汁を生み出すことができるのです。また、仕入れから調合までの多くの作業が、長年の経験と勘がモノをいう仕事でもあります。

炊き込みご飯の素のこだわりの製造方法

①原料を準備する

3種の削り節と利尻昆布を準備し、削り節を「だし袋」に詰めます。

②利尻昆布を浸ける

水に利尻昆布を付け、一晩おきます。

③お出汁をひく

翌日、火にかけ約60℃、約1時間ほど昆布のお出汁をひき取り出す。 もう一度火にかけ煮立ったら、削り節を投入し20分ほど煮出す。 その後火を止め1時間ほど置いておく。

④調味料を投入する

削り節を取り出し、火にかけ調味料を投入する。沸騰直前で火を止め、冷めるまで待つ。

⑤うま味を引き出し、味をなじませる。

⑥袋詰め

使い方＆アレンジは自由！！

「お出汁をいただく炊き込みご飯」はもちろんそのまま味わっていただいても美味しいですが、親子丼などにしていただいても格別です。本格的な味が簡単に作れます。応援いただきました皆さまには、「お出汁をいただく炊き込みご飯の素」でつくる親子丼のオリジナルレシピも一緒にお送りします。

鮪節（まぐろぶし）の花削りとご一緒にお召し上がりください

鮪節とはキハダマグロの幼魚を節にしたものです。希少価値が高く、他の節原料と比べて雑味が少ないため、素材の味を最大限まで引き立ててくれます。この鮪節（3g分）を薄さ0,05mm程度に削った花削りも一緒にお届けします！　お好みで炊き立てのご飯のうえにふりかけてお召し上がりください。

厳選したお米もご用意しています。

京都・美山の齋藤碌さんが育てる、コシヒカリに一目惚れし、「炊き込みご飯の素を作るので、一緒に碌さんのお米を販売させてください！」とお声をかけさせていただきました。京都・美山の豊かな自然に囲まれ、確かな知恵と技法で育ったコシヒカリ。重厚感のあるお出汁と相性抜群のお米です。ぜひ味わってみてください。

おすすめ応援セット

お出汁をいただく炊き込みご飯の素と厳選したお米を一緒にお召し上がりいただけます。簡単に節原料について学べるお洒落な手ぬぐいもついてきます。

桐箱ギフトセット

美味しくて身体に優しい炊き込みご飯の素をぜひ大切な方への贈り物としてご利用ください。※熨斗・表書き・名前・水引は「応援購入する」のリンクからお選びいただけます。

「KYONO ODASHI」堪能セット

前回のプロジェクトで数多くの応援サポートをいただきました「スパイスだしカレー」を筆頭に「KYONO ODASHI」が本気でおすすめする商品の詰め合わせです。

先ほども申しましたが、2019年に「KYONO ODASHI」を立ち上げ、“削り節からお出汁をひいて料理すること”が、いつもの料理の選択肢になるよう、祈り・問いかけ・普及しています。

今回のように、商品を通じて発信する他に夏休みの自由研究と題し、地域の小学生と保護者向けにお出汁をひくワークショップを開催するなど、少しでも“お出汁をひく生活”を身近に感じていただけるような提案を手探りですが誠心誠意努めています。

当プロジェクトをきっかけに、「削り節からひくお出汁っていいな」「お出汁に興味を持ちました」と少しでも思っていただけると嬉しいです。

余談になりますが……

日本料理でのお出汁の存在は、素材の味を引き立てる役目を担っていることから、お出汁を「とる」ではなく「ひく」と表現されます。

お出汁がみなさんの食卓の味を引き立てることで、いつもの毎日がちょっと豊かになるような。我々は京都の削り節屋という立場として、そうしたお出汁体験をたくさんの方に味わっていただきたいと心の底から思っています。

この度は当プロジェクト最後まで読んでいただきありがとうございました。

「KYONO ODASHI」の新しいチャレンジを応援していただければ幸いです。

―製品概要―

商品名　： お出汁をいただく炊き込みご飯の素

原材料　：「液体だし」だし（昆布　＊国内製造）、うるめいわしふし、さばふし、そうだかつおふし、 小麦醸造調味料、みりん、清酒、醤油、（一部に小麦・さば・大豆を含む）「別添まぐろ削り節（薄削り）」まぐろふし

内容量： 液体だし140ｇ、別添まぐろ削りぶし 3g

-SPECIAL THANKS -

text　池尾優

recipe　太田夏来

photo　 村上伸明

product design　㈱サノワタルデザイン事務所

makes　㈱津乃吉(炊き込みご飯の素)/ 齋藤碌(京都美山のお米)