プロジェクト概要

紙を折って切って開くとそこには様々な模様があらわれる。その手法を軸にいろいろな素材のプロダクトを生み出していく切り紙作家矢口加奈子と古千窯との新たなコラボレーションで生まれた磁器のシリーズは、「樹葉蕾花」植物の息吹を感じる表現で制作しました。大切な人と人との新しい時間が重ねられるようにと願って。

一日の始まりは美しいレリーフのマグカップ。

心身共に息抜きできます！

concept

たっぷりと水を含んだ土からひょっこりと芽吹き風を受け太陽を浴びてどんどんと育つ。淡く瑞々しい緑は濃く深くなって蕾が膨らんでいく。毎日毎日膨らむ蕾。ある日の朝の太陽に向かって花開く。透き通るしっとりした花びら。それもそのうち散るだろう。種が育ちくる日の備えは静かにすすむ。

紙という素材だけではなく様々な素材での表現にチャレンジすることがインスピレーションを生み、次への作品創りにつながっていきます。

今回のコラボ用に作った切り紙の作品。

①この切り紙の中からマグカップに合うようなデザインを選びます。

②決まったデザインを一度マグカップように切り紙で作ります。

③ベースとなるマグのプロダクトをデザインして(形状)を作ります。

④キャドを使いデータに変換していく作業からはじまります。

⑤3Dプリンターで樹脂の原型を立体プリントします。

⑥同じくキャドのデータから自動切削機で石膏型を削りだして生産用の石膏型を作ります。

ここから色の付いた陶土を使い焼き物の生地作りが始まります。

強化陶土といわれる特殊な強度の高い土を使用。その中に特殊な顔料を特殊なレシピでブレンドした多色の色彩表現ができる、陶土自体に色を付けた新しい有田焼です。

この研究開発には佐賀県窯業技術センターに協力してもらい2年以上かけて完成させました。安定して生産できる色泥漿(いろでいしょう)の技術を使った画期的な有田焼の磁器製のマグカップです。

※泥漿：陶土を液体化した物

Pastel ivory : パステル アイボリー

温もりのあるホワイト。硬質な印象の磁器ですが酸化焼成することでやわらかくやさしい白色に仕上げました。ミルキーな雰囲気が魅力です。アイボリーは、高級感と明るさを兼ね備えていておすすめです。

Pastel gray : パステル グレー

ビターな大人の質感と雰囲気が魅力。グレーは濃いめの黒に近いグレーから薄いライトグレーまでいろいろあります。パステルグレーは、中間色の程よいグレー。落ち着いた色なので、和洋問わずインテリアとマッチするアイテムです。

Pastel pink：パステル ピンク

女性らしい可愛らしさを感じさせるパステルピンク。ピンクは心に充足感ももたらしてくれる色でもあり、優しい気持ちにしてくれるといわれています。ピンクのマグでコーヒーを飲んで幸せな気持ちに！

Pastel yellow： パステル イエロー

明るく太陽のイメージがあるパステルイエロー。有彩色の中で最も明るく楽しい気持ちにしてくれるイエローです。休日のブランチに最適です！爽やかな一日の始まりを予感させるアイテムです。

Pastel green： パステル グリーン

新緑の若葉のようなパステルグリーン。やさしい色調は気持ちを和ませてくれる雰囲気です。もともと緑色には緊張を和らげてくれる効果もあるので、穏やかに過ごしたい日に最適なカラーです。

デザインテーマは日常づかいができるシンプルでベーシックな形。切り紙のテクスチャーのレリーフと相まってスタイリッシュな雰囲気に仕上がりました。端正なフォルムとデザインは食卓のスタンダードとして毎日気軽に使ってほしいマグカップです。

プロテクスチャーのレリーフ彫のシャープさが際立つ

切り紙のデザインをキャドでデータ化し、繊細で精緻なテクスチャーを再現した完成度の高い商品です。

美しい色彩の表現は職人のなせる技！

この五色のパステルカラーを表現するために、顔料のブレンドには大変気を使います。レシピはありますが、職人の手際の良さと感覚は必須です。窯の生産現場は熟練の職人がいなければ成り立ちません。今回のこのパステルカラーは職人技術の賜物なのです。

リターン紹介

セット1：マグカップ2個セット

[セット内容] マグカップ2個(5色の中からお選びいただけます)

サイズ：(約)径9.5×幅13×高さ10.3cm容量(約)390ml

セット2：マグカップ3個セット

[セット内容] マグカップ3個(5色の中からお選びいただけます)

サイズ：(約)径9.5×幅13×高さ10.3cm容量(約)390ml

プロジェクト開始：2022年1月25日

プロジェクト終了：2022年4月24日

発送完了予定日：2022年5月31日

切り紙の原案をキャドで作成。実際の生産に使う石膏型作りは難航し、失敗の連続でした。彫の深さを薄くすれば容易に型抜けするのですが、突き立ったマグの形とテクスチャー彫の深さが今回の持ち味であり、切り紙の雰囲気や世界観を表現するのには不可欠でした。その差は数ミリですが、何度も失敗して約2ケ月かかりやっとのことで型どりに成功しました。型師さんには感謝しかありません。

切り紙のレリーフが美しい陰影を醸し出します。出来上がりに差が出るので深めの彫が陶土の良さを引き出します。あきらめないで完成するまであれこれ知恵をしぼりチャレンジする職人魂のなせる技。

陶磁器の多くは石膏型を使い量産しますが、このマグのように複雑な彫模様の型抜きほど、職人の感覚と熟練の技が必要です。

生地を作る石膏の型が完成し生地を作ります。

使用する石膏型の生産は、テクスチャーの彫の深さを微妙に調整し、量産ができるように仕上げました。

その型を使い熟練の職人が真空化された泥漿(でいしょう)を型に流し込み生地を生産します。

※泥漿：陶土を液体化した物

型抜きした陶土の生地にエアを吹きかけて丁寧に外します。

各色それぞれの陶土を作り型に流し込んでいきます。

有田焼(ありたやき)とは、佐賀県西松浦郡有田町及び周辺地域で生産される陶磁器の総称です。江戸時代は伊万里港より全国に出荷されていたので伊万里焼ともよばれていました。広く有田焼と認知されて呼ばれるようになったのは明治期以降だといわれています。

16世紀の末頃、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際、派兵された肥前鍋島氏は、朝鮮人の李参平（金ケ江三兵衛）ら陶工を連れて帰りました。金ヶ江三兵衛は、17世紀に入り武雄から有田に移住し、泉山で磁器の原料となる陶石を発見したと伝えられます。

日本で初めて磁器が焼かれた産地として、約400年、主に美術工芸品をはじめ、旅館ホテル向けの業務用食器から家庭用食器まで、様々なものづくりを続けています。

古千窯はもともと業務用の割烹食器の窯元です。昭和50年代は揃い食器といわれるフルラインのシリーズものが生産の主でした。高度成長時代には結婚式場の宴会用の食器メーカーとして窯の個性を前面に打ち出し、斬新で独創的な造形とデザインで商品開発を行ってきました。

近年は酸化焼成で強度が高く割れにくい陶土の研究開発に力を注いでおり、新しい強化陶土を使って時代が求める感覚の家庭用食器を開発しています。

Comoany History - 沿革 -

1925 年：古田千代次 有田の西、広瀬で赤絵屋を始める。その後、本窯を築き窯元に発展する。有田町岩谷川内へ移り陶土を作り始める。並行して輸出用帯留めを作り、美しい錦付が評判となる。

1945 年：戦後は錦付を専門とする赤絵屋として再スタート。

1965 年：古田栄 赤絵屋を受継ぐ。

1972 年：新たに有田焼窯元「古千窯」を築窯。今までにない有田焼を模索。

1977 年：有限会社 古千製陶所として法人化。

1980 年～大胆なフォルムと斬新なデザインで業務用食器に新風を吹き込む。

2008 年～古田あいさ「ミニマムスタイル」をコンセプトに家庭用食器の開発をはじめる。

2016.6月：Interior Lifestyle Tokyo - インテリア ライフスタイル 東京 -出展

2018.5月：直営店舗 BARRACA Shopを開く。http://www.kosen-kiln.co.jp/shop

切り紙作家。1976年生まれ。女子美術大学芸術学部デザイン科卒業。在学中に「歓よろこびのかたち」と題して作品発表し、「切り紙」を様々なかたちに展開する活動を開始。手を通して生み出される作品は、新しい発見とどこか懐かしい表現にあふれ、国内外で注目を集めている。

個展を中心に作品を発表しながら、様々な分野の企業とのコラボレーションやデザインワーク、ワークショップなど海外を含めて活動の場を広げている。近年は国内の伝統工芸産地とのコラボするなど、日本の職人文化の良さを再発見する活動も同時に行っている。

2020年より有田焼窯元「古千窯」と共同で「樹葉雷花」（ジュヨウライカ）の商品開発を行っている。

主な著作

◇やさしい切り紙１／２：池田書店（英訳版あり）

◇大人の切り紙のほん：ＰＨＰ研究所

◇こころもよう：池田書店（作品集）

◇めぐる季節の切り紙：文化出版

◇わたしのかえり道：秋田書店（絵本）

左：矢口加奈子 右：古田あいさ

新型コロナウイルスの終息がなかなか見えない中、私たちの生活も大きく変わり皆様も不安な日々を過ごしていることでしょう。有田でもその影響を大いに受けました。

そんな中でも約2年間、新しい色泥漿を使った商品開発に力を入れてきました。すこしでも皆様の心や生活が明るくなるような商品を作り提案していきたいと考えています。

リモートワークや、忙しい時にホッと一息つくときのコーヒー。お気に入りのカップで豊かなひと時を過ごしていただけたら大変うれしく思います。皆様の癒しの時間に寄り添う。そんなお手伝いができれば幸いです。

応援のほど、何卒宜しくお願い致します。

product design＆direction work shop Y’sk

色泥漿を使った商品のラインナップを充実させることに使用する予定です。