人前でのマスクの出し入れに豊かなひとときを。

ぬくもりのある肌触りに癒されて。

優しい色使いと柔らかな素材感で、心まで優しく。

個性が光る上質の小物。

マスクの保管、どのようにしていますか？

公共の場にてマスクの着用が新たなルール＆マナーとなった令和の時代…。

例えば飲食の際や、仕事中の一コマなど、マスクを外すタイミングになったとき、あなたは外したマスクをどのように保管しておきますか？仕方なく、そのままテーブルの上に置いたり、ポケットやバッグへ入れたり、ハンカチなどで挟んだりしていないでしょうか。

大人のたしなみとして、相手に配慮しつつ、品よく、素敵に、カッコよく、マスクを保管したい。そんなときに最適な大人のマスクケースを、着物生地、絹だけを使って作りました。

着物マスクケースとは

表地は、仕事一筋の職人さんの上質な「着物生地」

日々、手にして使っていただくものなので、触れた時にほっこりするような気持ち良さも考えながら生地を選びました。

表地に使ったのは、紬（つむぎ）と呼ばれる生地で、職人さんが手間ひまをかけて染め織りされた手仕事の着物生地です。純粋な絹糸のみで作られています。絹と言っても、サテンのようなツヤツヤとした感じではなく、素朴な見た目と、優しく柔らかな素材感が特徴です。

こだわりの生地はこうして生まれる

① 自然の命をいただいて「染める」

上信越地方、標高850メートルほどのとある静かな土地。あたりをぐるりと山に囲まれた土地で、ご家族でコツコツと染織（せんしょく）をされている、仕事一筋の職人さんと出会いました。今からおよそ20年前のことです。

彼は、自然の草木から色をいただいて糸を染める「草木染め」という技法で染織をします。彼が作る生地の魅力は、「自然から生み出される優しい色合い」です。彼が使うのは自宅裏の雑木林に自生する、山うるし・山胡桃（くるみ）・栗・上溝桜（うわみずざくら）など。自然からの頂きもので色染めをされています。

彼は、染織の職人さんの中でも、染料を自らの手で採取し、色を染め出す、貴重な存在です。実は染料は購入することもできるのですが、彼が自ら山に入って得た新鮮な草木を使うのは、染料の鮮度にこだわればこそ。採取したばかりの草木からは、透明度の高い色が出ると言います。糸を染めては干し、染めて干して、色を重ねていくとさらに深みを増していき、化学染料では出せない優しく澄んだ色合いになります。

たとえ、同じ色に染めたいと思っても、糸が変われば、時期が変われば、全く同じ色に染まらない。まさしく一期一会の色合いなのです。

② 手間暇かけて「守る」

今回、素材としてこの生地を選んだのは、彼の仕事に対する姿勢にも理由があります。

それは、自然から色という命をいただくだけにとどまらず、「山を守る」ことを大切にされているからです。木々の色をいただく為には、山に必ず手を加えること、その手間を惜しまないこと。植物から色を「いただく人」である職人さんは、山を「守る人」でもあります。

染料となる木に斧を入れる時、精霊の存在を感じさせる木もあって、切るのをためらうこともあるそうです。山を大事に「守る人」であるからこそ、彼の取る色は命の尊さに溢れていて、使う人を優しく幸せな気持ちにしてくれるのだと思います。

③ 丹精込めて「織る」

はた織り機の上でまっすぐに整えられた経糸（たていと）に、緯糸（よこいと）を滑り込ませて、一反の布としての命を吹き込んでいきます。

心を穏やかに、はた織り機に向かい、ひと布ずつ丹念に織る。彼曰く、心の迷いは、織りにそのまま現れると言います。静かな空気の中、作り手の息遣い、トントンとリズムを刻む音、鳥のさえずりだけが響き渡ります。

草木の命の色を生かすために、織りはシンプルで控えめです。

季節とともに変化する天気・気温と湿度を見て、糸と相談しながら、手に伝わる微妙な感覚を頼りに、力加減を決めていきます。機械織りの、常に均一な力で織るものとは違い、空気を含んだようにふわりと軽く、優しく、あたたかい。それでいて、布としての強度はしっかりしています。

生地一反（いったん）は約13メートルです。1反1反を織る為に、同じ色柄の着物が大量に出来るではありません。はた織り機のタテ糸に乗せ、ヨコ糸に変化を持たせて織り上げます。デザインを考え、変化を持たせて、織り上げるのです。ヨコ糸次第ではありますが、多くても2反しか織れないのです。

「着物＝着るもの」という前提のもと、使う人のことをただひたすらに考えて作られた反物は、着物として身にまとった時に、より一層良さが引き立ちます。品があるけれど、肩の力がフッと抜ける。存在感はあるけれど、優しく、飽きがこない。彼の手で、大事に育てるように丁寧に作り上げられた反物は、多くの着物ファンの心をつかんで離しません。

内側には、モダンな「長じゅばん生地」を使用

内側の部分には、しっとり・さらりとした手触りが特徴の「長じゅばん生地」を使いました。長じゅばんとは、着物の下に着るインナーです。袖口からちらりとのぞく長襦袢で、おしゃれを楽しみます。

今回使った長じゅばんの模様を、私たちは「星花文（せいかもん）」と呼びます。見方によって、「星の輝き」にも「花が並んでいる」ようにも見える、モダンな模様です。もちろん、上質のオールシルク。外側と内側の生地の質感の違いは、一目瞭然です。触り心地の違いをお楽しみください。

着物独自の文化をミックスしました

今回は、マスクケースの外側を着物生地、内側を長じゅばん生地にすることで、着物独特の“重ね着の文化”を表現しました。

もう一つ、キーワードになるのは、「裏勝り（うらまさり）」という言葉。一見地味に見える着物でも、見えないところや裏地に派手な色柄を使うという、意外性に溢れたおしゃれな演出のことを、着物の業界用語でそう呼びます。まさに、自分にしかわからない密やかな楽しみ。せっかく着物屋が作るものなので、そんな着物の文化や楽しさも、こっそり盛り込みました。

商品仕様

サイズ：（二つ折りにした状態で）縦21センチ×横11.5センチ×マチ1センチ

重さ：100g

素材：外側と左前ポケット／草木染めのつむぎ（絹製、信州産）

主な染料：胡桃、上溝桜、山うるし…

内側の左右ポケット／長襦袢（絹製、京都産）

ケースを開いた左側の前ポケットは、使用中のマスクを一時保管するためにお使いいただけます。前ポケット部分は着物生地を用いているので、一目でわかります。マスクを出し入れしやすいように、前ポケットの角に丸みをつけました。使用中のマスクを入れるクリアファイルもご用意しております。

予備のマスクを保管しておく場所も２箇所設けました。全ての場所にマスクを入れたときの厚みも1.5センチ程とスマート。左側には弾力のある折れにくい芯が入っているので、堅くもなく、折れることもなく、バッグの中でもしっかりと自立します。

多用途！ ～こんな使い方もおすすめです～

例えば、通帳入れとしてバッグに入れておく。母子手帳やお薬手帳入れとしてもお使いいただけます。大事に扱いたいご祝儀袋も、しっかりと入るサイズです。また、商品券やチケット類も安心して入れられます。そのほか、お茶のお稽古に必要な懐紙入れとしてもおすすめ。大切なお手紙・おハガキ入れなど、思い想いのアイデアで、ご自由にお使いください。

一つ一つを、オーダーの桐箱に入れてお届けいたしますので贈り物にも最適です。

長年お世話になっている方へ、感謝を形に！ご主人さまから奥様へ…。おばあちゃんから子や孫、ご親族へ…。お子さまから母の日などのプレゼントに…。入学祝や卒業祝い、就職祝いやご結婚祝い、そして還暦や退職祝いに…。日本らしいアイテムとして、オススメいたします。

素材をオールシルクで揃えることができるのも、着物専門店ならでは。他には類を見ない、贅沢でマルチなケースができました。

多くの方に、色々な場面で使っていただき、魅力を発見してほしいと思っています。

同じ生地を使って、「着物マスク」や「着物ミニ巾着」もご用意いたしましたので、後ほどご紹介いたします。

店主から

私は、きものサロン和の國代表 茨木國夫（いばらきくにお）と申します。熊本市にある創業104年の呉服店の三代目です。大正5年の創業以来、地域の皆様、そしてエンドユーザーの皆様に支えられて商いを続けてまいりました。

着続けたからわかる、手仕事の「心地よさ」

どうしてここまで、手仕事や素材のよさにこだわるのか。それは、私自身が着物に人生を捧げたからです。

私は平成5年6月、31歳の時に一生着物だけを着続けることを宣言しました。それを「きもの宣言」と呼び、それ以来27年、着物だけの生活を続けています。

私にとって着物が“日常着”になったことで、着心地を追求するという一つの指針が生まれました。「風合いの良い着物」と言うのは業界ではよく聞かれるフレーズですが、着る人にとって本当に心地よい着物であることが大事です。生地選びは、目と指先の真剣勝負。ものの良し悪しを見極める目は、長年着物と向き合う日々が育ててくれました。稀に、着ていることを忘れるくらいに肌馴染みの良いものに出会うこともありますが、そういったものはやはり、熟練した職人の手仕事によるものです。

手仕事のものには、安らぎや癒し効果がある

丹精込めて織り上げられた手仕事の着物は、触れるだけでも、癒し効果があるということをご存知でしょうか。手のひらや指先から伝わる感覚だけで、心地よい気持ちになれるのです。

それは科学的にも証明されています。「1/f（エフ分の１）ゆらぎ」という言葉を聞いたことはありますか？例えば、小川のせせらぎ、薪のパチパチと爆ぜる音、ロウソクの炎。自然界に溢れている不規則な動きや様子「ゆらぎ」は、心地よさや快適さ、安らぎ、幸せなどの感情と深く関わりがあるという研究結果があります。

自然界だけでなく、人の心臓の鼓動や体温の変化にも「ゆらぎ」があり、そして人の手で作られたものにも、同じように「ゆらぎ」が存在します。測ったような等間隔ではなく、機械で整えたようにまっすぐではない。手仕事のそんな不規則な部分が、美しいな、懐かしいな、温かいなという気持ちにしてくれるのだそうです。

着物の今

「誰もが当たり前に着る衣服」だった着物も、現在はご存知の通り、「特別な衣装」になってしまいました。職人の手によって生み出された“手仕事の着物”は、今やまるで美術館の展示品のような扱いです。

その反面、レンタルサービスや安価に仕上がるインクジェットプリントの着物は量産されています。着る人が増えること自体は嬉しいことですが、「職人さんの精巧な技術」や「使い続ける楽しみ」とは対極の存在だと思います。

着心地の良い着物が減るほど職人さんの仕事も無くなり、収入が減り、技術を伝える後継者を育てることも難しくなっています。現役の職人さんたちの大半が、60〜70代の方々です。正直、廃業を余儀なくされる方も少なくありません。

開発に至った経緯

イベント事がなくなり、外出さえ控えるようになった昨今、「何か、より身近に着物の良さを味わえるものがあったら…。」そんなことを考えていたある日のこと。耳に飛び込んできたのは、妻の一言でした。マスク着用が新たなマナーになった今、出先でマスクを外す機会に、体裁の良いマスクケースがないかなと思っていたそうです。

「そうだ！着物の生地で『マスクケース』を作ろう。これを通して、大好きな着物の良さや、手しごとの良さが伝えられるかもしれない。」 私の元に届いた、着物の神様からの贈り物でした。

「着物マスクケース」を、お守りに。

正直、人生、いろんなことがあります。

楽しいことだけでなく、イヤなこと、びっくりすること、理解できないこと、さびしくなること…。それが生きている証かもしれませんが、支えてくれる存在が欲しくなることもあります。

そんな時、すぐ側に心安らげる何かがあったら。この着物ケースがあなたのお守りになったら…。草木の命が吹き込まれた絹糸、職人さんの魂が込められた着物、そして、千年続く着物文化という大きな存在が、きっと、優しくあなたの心を満たしてくれるでしょう…。

私自身、「日本人の心」ともいうべき着物のチカラを心から信じ、これからもこの道で生きていくことに、誇りを持っています。

なぜ、クラウドファンデイングなのか

着物から、日常に溶け込む日本の伝統文化の新しいカタチへの挑戦です。新たな局面を迎えた中、何としてでも着物文化を守り残していくため、今回、クラウドファンディングと皆様のお力を借りて、着物の生地で製作した「着物マスクケース」プロジェクトにチャレンジします。

クラウドファンディングという場は、私たちのような思いを持って活動している者にとって情熱を伝えることができる、とても良い場所だと思います。皆様からの応援を、着物文化を継承する力に変えていきたいと願っております。

リターン紹介

今回、マスクケースに加えて、同じ素材で「プリーツマスク」と「ミニ巾着」も作成いたしました。

・プリーツマスク

「せっかくなら、ケースとマスクをお揃いに。」という方へ。草木の生命力を、より肌に近いところで体感出来るプリーツマスクはいかがでしょう。

シルクの主成分は、人の肌に近いと言われています。肌に優しく、保湿性に優れ、紫外線カットの効果もあり、肌の弱い方や美容を気にする方からも注目を集めています。

今やマスクは、エチケットアイテムから、おしゃれアイテムへと進化を遂げています。草木染めのナチュラルで素朴な色合いは、洋服姿にも馴染みやすいという良さがあります。秋冬のファッションの一部として、取り入れてみてはいかがでしょう。

水通し済みなので、お洗濯もOK。優しく手洗いされることをおすすめします。肌への優しさ、シルクの保湿性を日常に使う、贅沢なマスクです。

サイズ：縦８センチ×横１７センチ

素材：外側／草木染めの着物生地（絹製、信州産）

内側／胴裏（絹製、京都産）

ゴム／マスクゴム（綿製、日本産）

・手のりサイズのミニ巾着

草木染めの着物生地を使って、手のりサイズの「ミニ巾着」もご用意しました。

私自身、袴や着物のハギレで作った巾着を日常使いしていることと、「小さいバッグにも入れられる巾着を持ち歩いている」、という女性スタッフの声をヒントにできたものです。

口紅やリップクリームなど、ちょっとした化粧ポーチとして。大切な印鑑を入れておくのも良いですね。イヤホンやスマートフォンの充電器の持ち運びにもおすすめです。

バッグの中で迷子になりやすいものを、「ミニ巾着」で守ってあげましょう。

サイズ：縦13センチ×横9センチ

素材：巾着部分／草木染めの着物生地（絹製、信州産）

紐／スピンドル紐（綿製、日本産）

リターン一覧

このプロジェクトでお伝えしたいこと

「未来の子どもたちへ日本の伝統文化を残したい」

ご紹介した職人さんのように、ただひたすらに真面目に染織と向き合っている方が、日本にはまだいらっしゃることを知り、私自身、本当に嬉しく思ったことを覚えています。

手仕事にこだわって真摯に取り組んでいる方の存在を知っていただき、まずは織物としての良さがお伝えできれば、未来の子どもたちへ着物をつなげる大きな一歩になると信じています。

便利な世の中だからこそ、文化を見直す。使い続けることで増す手仕事の味わいを楽しむ。日本の伝統文化を日常で楽しんでいただくのに、私たちのプロジェクトがお役に立てれば幸いです。

そして…最後にもう一つ、お伝えさせてください。情熱と愛情がいっぱいに注がれた着物生地は、着物として楽しんでいただくのが本来の姿です。職人さんは、ハサミを入れることをご理解してくださいましたが、本来は着物になるために生まれてきたものです。

今回のプロジェクトで日本の染織に興味を持ってくださり、着物として味わってみたいと思ってくださる方がいらっしゃれば、創業以来着物一筋に100年以上続いてきた着物屋としてこれ以上に嬉しいことはありません。

ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

本物の手仕事、日本の大切な伝統文化を守るために、ぜひ、皆様のお力をお貸しいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。