埼玉の土地で276年「生活を豊かにする日本酒」を造り続けてきました

私たちは、埼玉県加須市(かぞし）で酒造りを営む「釜屋」という蔵元です。

創業は寛延元年（1748年）。肥沃な武蔵野の大地で育てた米と、清流利根川の水を生かし、代々受け継がれる技と心で日本酒を造り続けてきました。

江戸時代のころから清酒「力士（りきし）」という代表銘柄の日本酒を世に送り出し、２５０年以上にわたり「日常に寄り添い、生活を豊かにする日本酒」をモットーに日本酒を醸してきました。以来多くの方々に「毎日飲んでも飲み飽きしない、飲みやすい日本酒」として御愛顧をいただいております。そして今、令和の新たな挑戦として、私たちは代表銘柄の力士を根本から考え直してまったく新しい発想の日本酒を造ることにしました。

「新たな醸造哲学」を取り入れた純米酒に挑戦することにしました

社会の変化と人々の多様な日本酒への期待を受けて、日本酒の味わいやあり方そのものが変わってきました。令和の時代に入り、私たちはあらためて「加須の土地で造り続けてきた私たちらしい酒造りとは何か？」また「現代に求められている日本酒とはどういうものか？」ということを自問しました。

たくさん磨いて造る大吟醸、フルーティで甘口の日本酒など、世の中には素晴らしいアプローチの日本酒がたくさんあります。現在、日本の多くの人たちに受け入れられる味わいやコンセプトに追随する方法もありましたが、この土地で採れる米、流れる水、確かな技術のある杜氏と蔵人でやれること、やるべきことを考え直してみることから始めました。

そこで辿りついたのが、特定名称酒に縛られない自由な発想で造る純米酒でした。

積み重ねた伝統技術 × 最先端の醸造技術。埼玉発の新境地の製法！

世界に誇る「並行複発酵」という日本酒独自の醸造技術は、年々さまざまな科学的進化を遂げてきました。私たちが創業した276年前と今とでは酒造りの環境も技術も大きく違いますが、伝統製法の良さを受け継ぎながら、現代の醸造技術を掛け合わせて、まったく新しい日本酒造りができないだろうか？　そんな思いを寄せてたどり着いたのが今回の醸造方法です。

肥沃な武蔵野大地で育った豊かな米である「彩のきずな」と、清らかな利根川の伏流水を用い、伝統的な日本酒造りと革新的な技術を融合しました。到達したのは「低精白」「低温発酵」「低アミノ酸」という三つの「低」にこだわった「三低製法」というまったく新しい醸造方法でした。超低精白でありながら、雑味が少なく旨味とキレのバランスのよい味わいが特徴で、爽やかですっきりとした味わいを特徴とする日本酒になりました。加須のこの土地だからこそできる日本酒です。ぜひ初心者から愛好家まで、幅広い方々に楽しんでいただきたいと思い、心を込めて醸造しています。

たどり着いた、「三低製法」という新しい造り方

新生力士は、これまでの大吟醸や本醸造などの「特定名称酒」の考え方だけにとらわれることなく、新しい考え方で製造します。すなわち、低温、低精白、低アミノ酸の３つの「低」による現代醸造技術の粋を集めた挑戦的な日本酒です。

発酵温度を約7～9℃と一桁台にし、長期低温発酵により酵母の働きを緩やかにすることで、アミノ酸の生成を抑え、低精白でありながら爽やかな旨味・甘味の調和した純米酒となります。

90％の超低精白米で純米酒を造ります

精白とは、お米を精米することを指し、多く削ることを高精白、少なく削ることを低精白と言います。通常低精白米で仕込む日本酒は、原料米にタンパク質が多く残っているため、そのタンパク質が分解されてできるアミノ酸が多くなり、雑味の多い味わいになりがちです。反対に高精白米になるとタンパク質が減り、アミノ酸の少ないキレイな吟醸酒ができるとされています。

新生力士は精米歩合９０％程度の荒削りの米（これは食べるお米の精米歩合に相当します）で醸しますが、現代の技術を駆使することでアミノ酸の生成を抑え、雑味の少ない、旨味がありつつもキレのよい、飲み飽きしない味わいを実現いたしました。

一般的な酒造りとは違う新しいアプローチ

精米歩合90%の米は外側の硬い部分が残っているため吸水しづらい特徴があります。新生力士は、この浸漬（しんせき）の工程に着目し、酒造りの常識にとらわれない吸水歩合の絶妙な調整を行っております。しかしそれを以てしてもなお、麹菌にとっては過酷な環境（水分が通常の米に比べ少ない）です。

そこで麴造り・アルコール発酵において麹菌・酵母菌が適切に働いてくれるよう細心の注意を払い、しっかりと溶かしつつも雑味は少なく、甘み・酸味・旨味のバランスのよい味わいを目指しました。

新しいパッケージデザイン

これまでの釜屋の歴史に学びつつ、地元の土地の恵みをイメージしたパッケージに刷新いたしました。埼玉県産及び加須市産の原料米、醸造に適した利根川の伏流水（中硬水）、またそれを使って醸す人と楽しむ人々を表しています。「毎日飲んでも飽きない日本酒」を目指してすっきりとした味わいに生まれ変わる力士を表現したシンプルなデザインになりました。

※パッケージデザインは開発中のため最終変更となる場合があります。

今回のプロジェクトでは、原料米100kgの試作仕込みと通常サイズの600kg仕込みの２回の仕込みで製造いたしました。

試作仕込みについては量が少ないことと出来上がりをそのまま感じて欲しいことから全量を「無ろ過生原酒」といたしました。

通常サイズの仕込みは、搾りたての「無ろ過生原酒」のほか、「一回火入」の定番品もご用意いたしました。

こちらの三種類の日本酒をコースに合わせてお送りいたします。

目指すのは「米・水・人が活きる酒」

今回のプロジェクトは、釜屋の日本酒のリブランディングを検討するブランディングプロジェクトとして立ち上がりました。多角的に現状を見つめ直し、議論・検討を重ね、「米・水・人が活きる酒」というブランドコンセプトにたどり着きました。

「米が活きる」＝ロスを抑え、原料米を大切に扱う

「水が活きる」＝地下から汲み上げる仕込水の「中硬水」という性質を活かした日本酒造り

「人が活きる」＝造り手のもつ技術・知識を最大限に活かし、飲み手の人生を豊かにする、という考え方のもと出来上がったのがこの「新生力士」です。

派手さは要らない。人々の暮らしを潤すための日本酒造りを目指して

釜屋は、江戸時代の創業から明治ー大正ー昭和ー平成ー令和と幾度となく激動の節目を乗り越えて、変わりゆく時代に即して日本酒を提供してきました。日本酒も時代に合わせて味わいのトレンドがあり、日本酒の持つ役割自体も変わってきました。

そのような変遷の中、釜屋の日本酒造りには昔から変わらない目標があります。ただ美味しい日本酒を求めることにあらず、「人々の暮らしを豊かにする」潤滑油のような役割になることです。

インパクトの強い日本酒や、高級な日本酒だけを目指すわけではなく、派手さはないけども毎日飲み飽きることのない、人々に寄り添う日本酒を目指しています。

米どころ埼玉の「彩のきずな」を使用

新生力士は、地元埼玉県産の彩のきずなを使用しております。釜屋が所在する埼玉県加須市は関東平野の真っただ中で見渡す限り田んぼが広がる埼玉一の米どころです。利根川と荒川にはさまれた水の豊富な地域は、平坦で肥沃な土地柄、昔から稲作が盛んで釜屋では創業からこの土地の恩恵を受けてきました。土地の恵みを究極的に活かす、というコンセプトのもと新生力士は地元産の原料米にこだわります。

また「酒米」ではなく「一般米」とするのにも理由があります。通常、日本酒の製造に酒米を使用するのは「アミノ酸の元となるたんぱく質の割合が低い」からで、酒米で日本酒を造ると雑味の少ないきれいな味わいにしやすいからです。今回のプロジェクトではアミノ酸の生成を抑える製造を行なうため、酒米である必要はなく、一般米を使用し、より広い範囲で農業の振興に貢献できればと考えております。

ミネラル豊富な利根川伏流水を仕込む

釜屋の仕込み水は地下100mから汲み上げる利根川伏流水を使用しています。この仕込水は中硬水でミネラル分を多く含んでいますが、日本酒造りにおいてこのミネラル分は酵母菌のエサになるため、酵母が元気に働き、味わいのしっかりした旨口の味わいになります。

蔵元が案内する釜屋酒蔵ツアー

より、私たちのことを知っていただきたい！そんな思いから蔵元（社長）自らが案内する特別なツアーを用意しました。日本酒造りの心臓部である仕込蔵をはじめ、歴史あふれる貯蔵蔵や穀蔵を訪れることができます。貯蔵蔵は明治時代に建てられたもので、味わい深い歴史を物語っています。特に穀蔵は、人気テレビドラマ「JIN-仁-」のロケ地としても知られ、渋沢栄一翁の直筆の手紙や、力道山をモチーフにしたポスターなど、貴重な展示品を見ることができる文化的な宝庫でもあります。

日本酒造りの伝統と技術を間近で感じることができるだけでなく、敷地内に建立された福寿神社というお酒に関わる神様を祀る神社も公開いたします。

またツアーの最後には、今回の「新生力士」を含めた様々なタイプの日本酒を、その特徴や製造秘話などを直接蔵元から聞きながらテイスティングできるプレミアム試飲会をご用意し、蔵の直売所でお使いいただけるお買い物券3,000円（税込）も付いている盛りだくさんなプランとなっております。

※時期は2024年6月1日（土）と10月12日（土）の開催を予定しております。

日々に酔い添う滋味な酒

釡屋では、派手さはないが毎日の生活に潤いを提供するような日本酒を目指しています。「日々に酔い添う」というフレーズは、私たちの造る日本酒が毎日の食事や家族との団らん、友人との会話など、生活のあらゆる瞬間に溶け込むことができるというメッセージです。中硬水の特性を活かした造りで愛情たっぷりに醸した日本酒は、やわらかい米の旨味とキレのよい後味で飲む人の心をきっと和ませてくれることと思います。人々の日常の一部として存在する日本酒であり酒蔵であること。私たちは、日本酒がただ旨さだけを求める飲料ではなく、文化やコミュニティを形成する媒体であるべきだと考えています。

■ 伝統の継承

寛延元年（1748）中山道と日光街道が交差する地に、近江商人・釡屋新八が酒蔵の基を築きました。武蔵野の大地で採れる豊かな米、利根川の澄んだ流れ、そして賑わう宿場町。これらが創業から 27６年の時を超え、私たちの酒造りを支え続け、今も変わらず、心を込めて醸し出しています。

■ 終わることのない匠の探求

酒造りは、生きている麹や酵母を巧みに操るアート。一滴として同じものはなく、それがこの道の奥深さです。まさに、人と人との出会いそのもの。一瞬一瞬に思いを込めて「こうすればこうなる」という常識には捉われず、毎回の酒造りが真剣勝負。そのたびに技を磨き、美味しい日本酒の追求を止めることはありません。

■ 伝統の架け橋としての挑戦

日本酒は日本の歴史とともに独自の道を歩んできました。その洗練された技術には、まだ探るべき無限の可能性が広がっています。私たち釡屋は、この伝統的な誇るべき技術を次の世代に継承しながら、日本酒の新しい未来を築くために挑戦を続けていきます。

【配送について】

Q. 商品が送られてくるタイミングはいつ頃ですか？

A. 「力士純米」はそれぞれ、2024年５月中旬から順次発送する予定です。

Q. 配送時間帯の指定は可能ですか？

A. 指定可能です。ゆうパックで配送をいたします。時間指定については、下記のいずれかからお選びいただけます。

・時間帯：午前中/12時～14時/14時～16時/16時～18時/18時～20時/19時～21時/20時～21時

Q. ギフトとして購入することはできますか？

A. ラッピングはできませんが、購入者と別の方に送ることは可能です。お届け先情報に送り先をご記入ください。

【蔵見学について】

Q. 蔵見学ツアーはだれでも参加できますか？

A. 二十歳以上の方を対象にしております。また、蔵内は階段や段差など多くありますので当日は歩きやすい格好でお越しください。

見学当日は、納豆やヨーグルトなどは食べずにお越しくださいませ。
米麹を造る菌や酒母を発酵させる酵母を抑制してしまう恐れがあるためご協力をおねがいします。

また香りの強い香水や整髪料などをお使いいただくこともご遠慮ください。

Q. 蔵見学ツアーは他人に譲渡することはできるでしょうか？

A.可能です。 蔵見学ツアー、またオプションとして購入できる追加の見学ツアーにつきましては、チケットをお送りしますので、そちらを当日お持ちいただくようお願いします。

Q. 蔵見学ツアーを２名以上で参加することはできるでしょうか？

A.はい。２人目の蔵見学ツアーのみ追加できるオプションをご用意しましたので、追加の１名様分はそちらのご購入でも参加が可能です。（このオプションは『新生力士』の３本setは含まれない、蔵見学ツアーのみのリターンとなります）

また、３名様以上で蔵見学ツアーをご希望の場合、３人目の参加は別途『蔵見学と利き酒会付き　力士純米３本set』のご購入をお願いします。

Q. 蔵見学ツアーに参加できなくなった場合は返金可能でしょうか？

A. 大変申し訳ございませんがご購入後の返金はできません。