イセヒカリ純米大吟醸　長期低温熟成

　三重県伊勢市で酒類の企画・販売を行っている株式会社ヒカリ酒販です。イセヒカリが誕生した伊勢の地で、イセヒカリ栽培の復活と継続を主なテーマとして、事業に取り組んでいます。

　私たちは数年間イセヒカリの栽培とお酒造りに取り組んでいますが、みなさんに広くイセヒカリのことを知ってもらい、そのお酒、お米を味わっていただくことで伊勢でのイセヒカリ栽培が長く継続できればと願っています。

里帰りイセヒカリ

イセヒカリの誕生

　平成元年、神宮神田は二度の大きな台風に見舞われました。全滅したかにみえた奉納米「コシヒカリ」の中に、たった二株だけ元気な姿をとどめている稲がありました。この奇跡の稲こそが「イセヒカリ」。平成八年一月皇大神宮御鎮座二千年を記念する稲として、聖寿無窮を祈念し命名されたものです。発見以来、一〇年近くも門外不出とされてきたイセヒカリは、神宮から種籾が下賜され、現在は｢神が与えた新品種｣として各地で栽培されています。私どもでは、この稲が生まれた神宮神田近くの圃場でイセヒカリを生産しています。

イセヒカリの里帰り

　イセヒカリの生産量は全国的にも多くありません。その原因は、イセヒカリは農林水産省の種苗法の品種登録がないため農協等でも流通せず、生産者が少ないため、生産のノウハウもあまりないことが考えられます。そのため、イセヒカリが誕生した地元伊勢でもほとんど栽培に取り組む農家がいなかったのです。私たちは、イセヒカリが生まれた伊勢の地で、イセヒカリの生産が盛んになることを夢見て活動を始めたのが2016年です。

【沿革】

2016年　伊勢の田んぼでイセヒカリを試験的に栽培開始

2017年1月　山口イセヒカリ会訪問、同3月同会よりイセヒカリ種籾を譲受

2017年4月　イセヒカリ栽培開始。以後毎年栽培。

2019年～　イセヒカリによる酒造り（委託醸造）を開始（2023年まで毎年継続）

　2016年に試験的に栽培を開始したものの、栽培方法に関して頼るところもなく、この年は失敗に終わりました。翌年の栽培開始に向け、情報収集をしていたところ、山口県に山口イセヒカリ会という団体があり、当時神宮から下賜された種籾を使用し、県の農業試験場の元場長であった方の尽力により、研究や継承に熱心に取り組まれていることが分かり、山口県を訪問しました。

【山口イセヒカリ会関係者による伊勢圃場視察】

　山口県への訪問では、山口イセヒカリ会の方との交流の他、山口大神宮へも訪問し、伊勢で生まれたイセヒカリを伊勢に里帰りさせることができると大変喜んで頂きました。この思いを受け継ぎ、様々な指導や種もみの譲渡を受け、毎年栽培に取り組んでいます。

伊勢でのイセヒカリ栽培

　私たちの伊勢でのイセヒカリ栽培は8年目になります。イセヒカリは栽培しやすい品種だという説もありますが、実際には収量もそれほど多くなく、収穫時期が主要品種（コシヒカリ）とずれるため、害虫対策にも労力がかかっています。防除や施肥など様々な工夫をしながら毎年栽培に取り組んでいます。

イセヒカリでの酒造り

地元酒蔵での酒造り

　イセヒカリでの日本酒造りは、三重県内にある酒蔵に委託しました。イセヒカリは酒造好適米ではないため、酒米に比べると粒が小さく、精米するとかなり小さくなってしまう上、硬質米のため吸水の具合が異なったり、醪（もろみ）になったときの米の溶け具合が違ったりと、様々な課題と向き合い、杜氏さんがイセヒカリでの酒造りに取り組んでくれました。

長期低温貯蔵

　日本酒は一般的に、しぼりたてはフレッシュな味わいですが、角があったり独特の刺激感を感じる場合があります。酒質が悪くならないように、低温で貯蔵することで、まろやかになり、味わいの奥行きを引き出すことが可能です。当社では、一定の温度に設定した冷蔵庫で、イセヒカリ純米大吟醸を貯蔵し、テイスティングにより品質の劣化が無いことをチェックをした上で、リターン品として出荷を行います。

「神島」での海中熟成

　低温貯蔵していたイセヒカリ純米大吟醸を豊かな海に囲まれた鳥羽の離島「神島」で潮騒を子守歌にお酒を眠らせています。

神宮の稲作の節目である、早苗を植える5月の「神田御田植初」の日に、海中へ沈めました。神田の稲がすくすくと育つ間、お酒も海中ですくすく育つよう願いを込め、稲の実りに感謝し豊穣を祝う神宮で最も大切な神事である「神嘗祭」の頃に引き上げを行う予定です。

冷蔵庫での低温貯蔵と同じく、味がまろやかになるということが言われています。

（光による劣化を防ぐため、黒い不織布に1本ずつ包み、栓をロウ付けした状態で海中熟成しています）

大地と海に育まれたイセヒカリの日本酒をぜひお試しください。

飲み方のおすすめ

お酒としてはあまり華やかな香りを出さず、米の持ち味が出るように仕込んでいますので、若干冷やしていただくか、常温くらいで米の味わいを楽しんでいただきながら飲んでもらえればと思います。色々な料理と食べながら、飲みながらというお酒です。熟成により、まろやかさと奥行きが出ていますので、お酒だけで楽しんで頂くのも良いかと思います。

仕様

イセヒカリ純米大吟醸「納蘇利」

500ml、40％精米　、アルコール分 16度以上17度未満

BY19とBY20の2種類、海中熟成の有無で2種類で計4種類の商品ラインナップです。

完成品には、貯蔵期間を表記した肩貼りラベルを貼付する予定です。

イセヒカリ2合セットのお米 ： 2023年産、三重県産イセヒカリ

スケジュール

各商品は、BY19は2019年に、BY20は2020年に醸造・瓶詰めされ、当社の冷温冷蔵庫で保管中です。

また、海中貯蔵酒については冷蔵貯蔵を経た後、今年の5月に神島の海中に沈め、順調に貯蔵が進んでいます。

10月の神嘗祭の頃に引き上げを行い、冷蔵貯蔵の後、初出荷を行います。

リターンについて

醸造年度により2種類のお酒があり、BY19というのが2019年に醸造したもので、4年間貯蔵したものになります。BY20というのが2020年に醸造したもので、3年間貯蔵したものになります。

そのうち最後の5カ月間を海中熟成したものがあります。

貯蔵年数、海中熟成の有無、組み合わせをお選びください。

実行者紹介

イセヒカリの契約栽培農家さんによる田植えの様子と、海中貯蔵の準備をする関係者