はじめまして。運営者の株式会社喜色満面堂・代表の西尾圭司と申します。 私達、は、2004年から大阪でクラフトビール専門店を開業。現在ビアダイニング「エニブリュ」ビアバー「ヒビノビアスタンド」、ビアダイニング&ビール専門酒販店「ヒビノビア」と3店舗の個性の違うビール専門店を運営する会社です。まだ日本でクラフトビールが明るくなかった時代から、15年もの間クラフトビールを真ん中に置き、ビールとともに生きることを使命としてきました。今は国内外クラフトビールを年間2,000種以上取り扱い、いかに美味しくビールを楽しんで頂くかを考えながら日々活動しています。

[弊社実店舗の風景]

#01 大阪・堺東 ヒビノビア クラフトビアキッチン&ストア

#02 大阪・なかもず クラフトビアダイニング エニブリュ

#03 大阪・なかもず ヒビノビアスタンド

[弊社店舗の情報は公式ホームページで]

http://craftbeer-manmendo.com

今、日本中にはブリューパブという、醸造所併設の飲食店が急増しています。そんな中、私達はあえて醸造所をを持たずに、開業当初から自分たちの考えるビールを日本各地のブルワリーに委託醸造という形でお願いし作り続けてきました。

世界にはこのスタイルを「ファントムブルワリー」と呼び、デンマークのMikkellerなと、この方式で大躍進し活躍している醸造所も存在します。私達のデザインするビールを、日本中の卓越した技術を持った醸造所と共に、いわば「デザイン」と「醸造」を分業にした新しい形でビールを作ることを選択したわけです。経済的リスクだけでなく、互いの得意分野をシェアすることにより、さらに発展的で確実に美味しいビールをお届けできる。そう考えたのです。

おかげさまで、過去20種ほどのビールを各地の醸造所で作らせていただきました。ただそれは樽生だけで製造していたので、私どもの店舗でのみ楽しめるものでした。

今度は「ボトル」で製品化し、日本中のビールファンに楽しんで頂きたいという思いが膨らんだことで、昨年「ビールとともに暮らす店・ヒビノビア」を開業する際にクラフトビール専門の酒販店をスタート。まさしく正規の販売ルートを確保したことで、私たちはそれをさらに拡大し、Makuakeクラウドファンディングで頒布会という形で実現させたのです。

名付けて「今飲ませたいビールプロジェクト」2018年3月にスタートし、今回で第4弾となります。

私たちは日本国内に100を超えるビール醸造所と深い関わりがあり、この企画に醸造所からも賛同を頂いています。その作り手の技術やビールの個性は大切にしながら、私たちのアイデアをプラスすることで起こる化学変化。普段自分たちが作るビールとも違う味わいを生み出す。作り手たちも楽しんでくれてます。過去3回は、おかげさまで大変好評。その後、その醸造所の純定番化されたビールもあります!

[第1弾実績] https://www.makuake.com/project/hibinobeersakai/

[第2弾実績] https://www.makuake.com/project/hibinobeer2/

[第3弾実績] https://www.makuake.com/project/hibinobeer3/

第4弾のコラボレーションビールの醸造先に私たちが選んだのは、日本のクラフトビール界で知らない方はいない、我が同郷の誇り大阪「箕面ビール」。世界で最も権威のあるビールコンぺ「World Beer Award」において2009・2014年世界No.1の金賞受賞したスタウトをはじめ、開業22年を迎えその技術に裏付けされた最高のビールを醸す、日本最高峰の醸造所です。

[箕面ビールの人気ビールと受賞歴]

箕面ビールの開業は1997年。日本のクラフトビール界では老舗と呼ばれる1軒です。醸造家であり代表取締役である大下香緒里さんの父である、故大下正司さんが立ち上げた醸造所です。以来、毎日飲みたくなる親しみやすい「デイリービール」を旗頭に、麦芽とホップと酵母が織りなす無限大の組み合わせから多彩なスタイルの人気ビールを生み出しています。とりわけ「探求」と「チャレンジ」を続けられ地産のフルーツや産物を使った「フルーツビール」が人気で、「桃ヴァイツェン」などは全国のファンが心待ちに。発売即完売という状態が続くほどです。さらに今年5月には3度目となる工場の拡張工事を終え、最新の設備と経験値を融合させた醸造所へと進化を遂げています。

多忙極めていた箕面ビールで、また新しくなった工場で今回の仕込みができることはまさに奇跡。ただでさえビールの世界では繁忙期となる夏の仕込みを受け入れてくれたことに、感謝の気持ちしかありません。

[箕面ビール 代表取締役 大下香緒里さん・工場長 勝見健二さん]

[ 世界の最新スタイルであるビール ]

今回、私たちが提案するビールは「Brut IPA(ブリュットアイピーエー)」。クラフトビール先進国アメリカ生まれの最新スタイルです。誕生してまだ1年ほど。日本国内では、まだまだ醸造するブルワリーも少なく、またアメリカでも完成された定義がないほどです。

本来、IPAはホップが主役。大量に使用したホップのアロマ(香り)と強烈な苦味。そしてモルト(麦芽)の持つ濃厚な甘みもあるフルボディのビールとして人気のスタイル。

そのIPAを、ブリュット(辛口)と呼ばれるシャンパンからインスピレーションを受け、非常にドライで苦味は控えめ仕上げ、しかしホップのアロマはたっぷりと感じられるスタイルとして進化させたものと言われています。

秘密はアミラーゼ・エンザイムという酵素を加え、醸造のプロセスにおいて、糖分の残留物を完全に分解させていきます。本来IPAにある口に残る麦芽由来の残糖感が少なくなり、とてもドライに仕上がるわけです。

[ このビールの持つ課題に挑戦し今までにないビールに! ]

とても楽しいスタイルではあるのですが、「ドライ」という狙いゆえ、酵素で「キレ」を作りすぎ、言葉で言うと「薄っぺらいビール」に感じるものも少なからずあります。私はそれをクリアしてさらに美味しさを作り上げてみたい欲求にかられました。私の経験と考えから「3つの課題」を大下さんに提案し、快くこの挑戦に取り組んでいただけることになりました。

[課題 #01] 今までのBrutの「ゴールドカラー」でなく濃いめの「ペールカラー」。

[課題 #02] ドライなキレは生み出すが、風味をしっかりと残す。

[課題 #03] ドライさを生む補助として「すだちの皮」を配合する。

この課題から生まれたレシピは、さらに実験的で、箕面ビールでこれまで使ったことのない麦芽を配合したり、通常IPAで使う酵母でなくベルギー由来の「セゾン酵母」を使用したりと、お互いに初の経験となる仕込みにトライすることになりました。仕上がればまさしく我々も飲んだことのない、また新しいスタイルへの進化が期待されるビールです。「非常識なビール」と銘打ったのは、こうした背景から生まれた言葉なのでした。

[ 2019.8.26 お店のファンと一緒に仕込む! ]

今回のビールのもう一つのトピックは、仕込みに私たちのお店に通うお客様もご一緒いただき、「ビールをもっと好きになる」体験としてお手伝い頂くことにしました。醸造所・注ぎ手である私たち・ファンが一体で作り上げるビールになりました。

早朝8:00。箕面市牧落にある箕面ビールの醸造所では、醸造スタートの準備が始まっていました。麦芽を煮込んで甘い麦の汁を作る「糖化」の工程からスタートです。

[今回の仕込みをダイジェスト動画にしました!]

今回の3つの課題、今回の仕込みではしっかりとクリアするために、考えられたレシピを元にどんどんと進められていきました。

[課題 #01] 「ペールカラー」

[課題 #02] ドライなキレは生み出すが、風味をしっかりと残す。

この二つの課題は、麦芽のレシピを抜本的に変えることで解決させることにしました。普通のBrut IPAならモルト(麦芽)は、淡いピルスナー麦芽を使いますが、今回は少し色合いの濃いペール麦芽をたっぷりと。そして写真のカラメル系の麦芽をいくつかブレンドして使いました。酵素によって、キレを生みだしながらも、風味に厚みを出していけると言う考えです。

[課題 #03] ドライさを生む補助として「すだちの皮」を配合する。

香りとしてのドライさと、ホップの心地よい柑橘系の香りを補助する素材として選んだのが「すだち」です。この皮のオイルを香りに使おうと言うことになりました。ちょうどこの頃、私の住む大阪府和泉市の隣町、和歌山県かつらぎ町から早生のすだちが出荷されることを聞き取り入れることにしました。フルーツビールを得意とする大下さんに、今回の3klのビール仕込みにはどれくらいの量が必要かと尋ねると、30Kgと言う返答! 大きめのプールに開けるとこんな感じです(苦笑)。約5,000個を人の手で皮むきすると言う、なかなか壮絶な仕込みになってしまいました。

この仕込みを手伝ってくれたお客様、醸造所のスタッフ総出8名で約3時間剥きっぱなし。ひと玉5cm程度の小玉でしたから、その苦労たるや....。

剥き上がった時には、醸造所に爽快なすだちの香りが充満。約5kgのすだちの皮と25kgの実。実は勿体無いので皆で分けてカクテルや料理、お風呂に使いました。

[仕込みは無事終了! 発酵・熟成を待つ。]

16時、長い仕込みの後半、このビールの香りと苦味のキーとなるホップを投入。ビタリング(苦味づけ)にはアメリカ産カスケードホップ。アロマ(香りづけ)には同じくアメリカ産シトラ・アマリロ・ペコーと言う柑橘系の香りと苦味を発する3種類のホップをたっぷりと使いました。写真はホップを釜に投入しているところです。

最後にに終わった麦汁は、冷却され発酵タンクへ。そこに今回のために用意された特別な酵母「セゾン酵母」を流し入れて、この後は酵母にしっかりと働いてもらって、この麦汁が美味しいビールへと変身を待ちます。

[ 名前は、Bootleg Brut ~SUDACHI~]

　完成した発酵前の麦汁です。濃い目のペールカラー。ターゲット通りに色が出ました。香りはホップの柑橘香とカラメルの香り。まだすだちは漬け込んでいませんから、もっと爽やかさは増すでしょう。ここから酵素・そして酵母が働いてくれたあと、もっと澄んだ液体へと変わります。期待が膨らむ素敵な麦汁が仕上がりました!

　そしてこのビールの名前は、「Bootleg Brut ~SUDACHI~」です。Bootlegとは海賊版と言う意味があります。僕は音楽が好きなのですが、昔正規発売のものではない、海外アーティストの海賊版のライブレコードが大好きでした。本来のものとは違う味がある演奏・ライブ感が伝わってきたからです。

　このビールにも、本来のIPAとも、Brut IPAとも違った美味しさと、そのスタイルの持つ意味や生い立ちもきちんと感じてもらえたらと言う願いがある。そういった意味でつけたネームが「Bootleg Brut ~SUDACHI~」です。　

　皆さんに少しでもお求め頂きやすくするために、お好みに応じた多彩なコースをご用意しております。過去3回の経験から今回は一番人気の6本セットの個数を一番多くご用意しております。またラベルデザインもデザイナー共に今回はさらに力を入れて作っていますので、それをモチーフにしてオリジナルTシャツなどもご用意しております。

・お家にこのビールを6本お届け「お手軽コース」

・2回連続! 今飲ませたいビールプロジェクト頒布会コース

・このビール4本とオリジナルグラスセットのコース

・このビール4本とオリジナルTシャツセットのコース

　毎回、プロジェクトスタート共に、ご支援をいただく方もおられるくらい、注目をいただいておりまして、今回は人気の箕面ビールとのコラボと言うこともあり、早期で売り切れる可能性がありますので、ぜひお早めにご参加ください。

　いよいよこのプロジェクトがスタートします。4度目ともなると慣れたものと思うでしょうが、毎回毎回、一度限りの仕込みで作り手も変えてビールを作っていくわけですから、私だけの思いだけでなく、背負った「作り手との友情を無にしない」という思いは、本当に大きなプレッシャーとしてずっしり感じています。

醸造所を作らず、自分たちの思い通りのビールを作っていく。これは傍目には楽な作業に見えるかもしれませんが、一つ間違えれば両社の信用問題にもなってしまいます。自分たちだけのことではなくなりますし、美味しいビールにかけた情熱は、2倍いや何倍にも膨らむのですから、簡単なことではないと考えています。

箕面ビールとはもう15年近く同じ大阪で助け合ってきたまさに真の仲間。その彼らとがっぷりと組んだこのビール、仕上がりには本当に自信を持っています。間違いなく胸を張って「自分たちが今一番飲ませたいビール」として言えるものになります。

クラフトビール専門店を開業して14年近く。私たちのことをご存知の方もとても多くなりました。そんな皆様にはぜひ、そうでない私たちをご存知ない皆様にも、どうぞ私たちと箕面ビールとの知恵と技術と友情から生まれたこのビールを、一度お試しいただければ幸いです。

そして、日本全国の皆さんが、この「Bootleg Brut ~SUDACHI~」で乾杯していただいているシーンを、またSNSなどで見せていただけること楽しみにしております。

長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。

Cheers!

株式会社喜色満面堂 ヒビノビア
代表取締役 西尾圭司