プロジェクト実行者
ストーリー
Haori Cup は2015年にアメリカのクラウドファンディングサイト Kickstarter で、伝統工芸の商品としては異例となる $118,310(当時レートで約1,400万円)、個数にして約2,250個、約850世帯の方達から注文を集めたプロジェクトです。
Haori Cupは波佐見焼と博多曲物の2つの伝統工芸を組み合わせたカップで、素材がもつ機能性、女性でも男性でも持ちやすいサイズ感、くちあたりの良さ、そして和洋問わず、どのような空間においても様になるデザインなど、場所や時を選ばない使いやすさを追求した商品です。
天草陶石を原材料とする波佐見焼は、薄造りの白磁や青磁を得意とする産地です。近年は多様な商品がつくられており、無地の薄い磁器ばかりをつくるイメージは過去のものになりつつありますが、手に持って光にかざすと、指が透けるほど薄い磁器を量産できる技術力は健在です。
しかし薄造りのカップは、液体の温度を指にダイレクトに伝えてしまうため、熱い飲み物が適さないことや、その対策のためにマグカップのような取っ手を付ける場合、薄い素地に取っ手を付けて焼成すると、磁器が変形してしまいます。
そのためカップに取っ手を付ける場合はカップそのものを分厚くする必要があり、そもそも薄造りが成り立たないというジレンマがありました。
そこで、熱伝導率が低い国産杉を原材料とする博多曲物のスリーブを波佐見焼と組み合わせることで、薄く軽量な波佐見焼の特徴と、熱を通しにくく、結露など多少の水分も吸収してくれる博多曲物の特徴と、お互いの機能性を活かし合う、日常使いに最適なクラフトカップができるのではないかと考えました。
曲物の原材料である国産杉は、内部に多くの空気層をもつ非常に軽量な針葉樹であり、波佐見焼のカップと組み合わせた合計重量でも、同容量の一般的な薄いガラスカップと比較して、軽さにおいて引けをとりません。
曲物のスリーブは、手に熱を伝えにくいだけではなく、内部の飲料の保温/保冷効果もあり、素材の機能性をダイレクトに感じられる実用的なクラフトカップです。
Haori Cup の容量は7-8分目でおよそ180cc(一合)入ります。特定の専用カップではなく、フリーカップとしてデザインしているため、冷たい麦茶やビール、日本酒や焼酎はもちろん、温かい煎茶やコーヒー、お湯割りや白湯もお勧めです。
特に白湯をいれる時には熱々の状態で Haori Cup に注ぐことで、熱が曲物のスリーブに伝わって、ほんのりと杉の香りを楽しむことができます。
杉の香りは、飲料の味や風味を損なうほど強くはありませんが、味や香りのない白湯では十分に杉の香りを感じることができ、リラックスできるのでお勧めです。
Haori Cup のデザインは、磁器のうつわが曲物の羽織ものを着ているように見える佇まい、つまり「見立て」から生まれました。この曲物を和装に見立てるデザインは、実は曲物の歴史とも繋がっています。
曲物は板状の木を曲げて、それぞれの先端部分を数センチ重ねてとめます。その際、必ず左側(向かって右側)が上にくるように重ねており、これは着物でいう「右前」にあたります。(向かって左側が上にくる重ね「左前」は和装の世界では縁起が悪いとされます)
博多曲物は、福岡市東区にある日本三大八幡宮のひとつ「筥崎宮」の祭具として用いられてきた歴史があります。そんなハレの場に、縁起の悪い「左前」は好ましくないということで、昔から「右前」が仕様として定着しているという説もあり、長い歴史の中で、和装と曲物には精神的に深い繋がりがあるといえます。
〈和紋の焼印〉は8種類から選択可能です。(焼印なしのリターンもあります)
①[麻の葉]麻の葉形を図案化した連続模様。麻は生長が速く丈夫なので、めでたい模様とされ、特に産着(うぶぎ)につける風習がある。
②[千鳥格子]千鳥が連なって飛んでいるように見える形の格子柄。起源は英国。日本では千利休が好んだとされている。
③[毘沙門亀甲]毘沙門天の鎧(よろい)の鎖として描かれた柄。毘沙門天は財宝富貴を守る七福神にかぞえられる。
④[ヱ霞]霞または雲のかかった風景を日本的な感覚で図案化したもの。絵巻では時の推移や距離のある場所を暗示する。
⑤[組亀甲]亀甲文様のひとつで、亀の甲羅に似ているのでこの名前がつけられた。 亀と同様に長寿を表す吉祥文様。
⑥[青海波]大海原を表す文様で、海がもたらす幸を呼び寄せるとされる。元禄(1688~1704)頃に流行。
⑦[七宝繋ぎ]円を4分の1ずつ重ねた連続文。有職(ゆうそく)文様の一種で古くは正倉院宝物の中の錦などにみられる。
⑧[水引]淡路結び。鮑結びとも呼ばれ、一度結ぶとほどくことができないことから繰り返さない方が良いこと(結婚式や葬式など)に使用される。
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余談ではありますが、アメリカのクラウドファンディングサービスKickstarterでは、磁器は「白磁」、焼印は⑥の「青海波」が圧倒的な人気でした。
焼印の次点人気は①「麻の葉」/ ⑤「組亀甲」/ ⑧「水引」がほぼ同一の人気というところ。外国の方へのお土産やプレゼントされる際のご参考まで。
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【※1】まとまった個数でオリジナル焼印が可能なリターンも用意しました。オリジナルのロゴマークや家紋など、お好きなデザインの焼印を入れることができます。
〈磁器の色〉は4色(白 / 緑 / 茶 / ピンク)から選択可能です。
Haori Cupの磁器は「選上」(えりじょう)と呼ばれる、白度が非常に高く、釉薬の色が映え、透明感や奥行が感じられるグレードの高い磁器原料を使用しています。
【※2】茶色は焼成時に流れやすい釉薬のため、色が均一になりにくく、色の濃い部分と淡い部分がまだらな風合いになる事がありますのでその点予めご了承ください。
・曲物のスリーブは湯水に長時間浸さないでください。汚れてしまった場合は、すぐに濡らした布巾でふき取るか、かるく水をかけて汚れを落とし、風通しのよいところでしっかりと乾燥させてください。(乾燥機のご使用はお控えください)
・曲物のスリーブを磁器に装着したまま電子レンジを使用することは推奨しません。(基本的にはスリーブを外した状態で、電子レンジで温めた後にスリーブを取り付けてご使用ください)
波佐見焼では「原型師」、「型屋」、「生地屋」、「窯屋」といったそれぞれ専門のプロフェッショナル達が水平分業型で製品を製造する方式が一般的で、Haori Cup でも複数の職人・工房の方々にお世話になっています。
博多曲物では、原材料である杉や檜の丸太をある程度の厚みに製材する工程を製材所に依頼する以外は、曲物用に薄く板取する工程、曲げる工程、接着含め組み立てる工程、仕上げの工程、といった製造における全工程をひとつの工房でおこなうことが一般的です。
明治初期には年間で3万個を超える量の曲物をつくっていた博多曲物も、大正/昭和/平成と時代の変化により工房は次々となくなっていき、現在では博多曲物を掲げる工房は残すところ2件だけとなっています。
Haori Cup プロジェクト責任者の奈須田です。プロジェクトページをご覧いただきありがとうございます。最後に、Makuake に至るまでの経緯を、簡単にではありますがご紹介できればと思います。
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Haori Cup は伝統工芸産業の組合や工房、あるいは行政の担当部署といった「誰か」から依頼されて初めたプロジェクトではありません。
磁器や曲物含め、個人的に様々な工房や工場を見学する中で、素材には良くも悪くも特性があり、素材加工の現場や技術開発の現場においては、素材の欠点を技術や加工によっていかに補うことができるか、という点に主眼が置かれていると感じていました。
そういった中で、特別な技術や加工ではなく、様々な素材が最初から持っている良い特性(素性の良さ)を活かして、それぞれの欠点を補完し合うプロダクトができれば、それもひとつの立派な価値ではないか、という考えから Haori Cup のアイデアが生まれました。
しかし、アイデアがプロダクトとして成立するのか、またカタチとして魅力があるのかは、つくってみて、感触を確かめて、実際に使用してみないと、ものの良し悪しはわからないものです。
そこで、思い描いたデザインを試作する上で物理的にどうしても難しい(と判断した)部分は職人さんの手を借りながら、自分の手で試作品をつくることにしました。
そして出来上がった試作品を実際に使用しながら、少しずつ気になる個所を修正していき、使い心地として納得できるものになった時点で、自分以外の人にどうやって使ってもらうかを考え、アメリカの Kickstarter で発表することにしました。
Kickstarter でキャンペーンをおこなうにあたっては、大きく2つの目的がありました。ひとつは、機能性やデザイン含め、商品としてグローバルに欲しいと思ってもらってもらえるだけの「魅力あるプロダクト」になっているのかどうかを確認したかったこと。
もうひとつは「量産時の課題」を洗い出す必要がありました。
波佐見焼は工程ごとに専門性の高い職人さんが仕事をすることで、非常に高い品質と量産性を担保しています。対して博多曲物は、残っている工房の数がそのまま職人さんの数といっても過言ではなく、両者は製造のリードタイムが大きく異なります。
数個~数十個の数をサンプルとして製造するだけでは量産時の課題が見えないことは明白であったため、最低でも200個という数を目標に Kickstarter でキャンペーンをおこなうことにしました。
ところが蓋を開けてみると2,000個以上の受注となったことは冒頭の通りですが、実際に量産の工程を回してみると、職人さんの人的リソースや歩留まり(ロス率)含め、博多曲物の量産性は想像していた以上に課題が多く、私自身、製造工程の一旦を担い、時には連日徹夜で製造に励む日々を過ごすことになりました。
特に大変だったのは、曲物は通常、お弁当箱やおひつなど、水平垂直なかたちしかつくらないことです。Haori Cup のような勾配がついたかたちを量産することは過去になかったため、量産のための冶具(ものをつくるための道具)と製造工程を新規に立ち上げ、「量産技術の確立」と「製造工程の効率化」を同時におこなう必要がありました。
最終的には1年半ほど期間をかけて製造、発送、製造工程の見直しや改善を繰り返し、 Kickstarter で調達した資金などを充て、製造工程の効率化についても少しずつ実現を進めており、ようやく改善の目途がつくところまできました。
2017年に入り、「Haori Cup」や「第二弾」以降のプロジェクトを、国内で本格的に展開していくために「博多曲物研究室」を立ち上げました。
伝統工芸は産業全体として、売上ベースでみると横這い~右肩下がりの斜陽産業という事実があります。博多曲物も例外なく衰退を続けており、現状のままだとあと何年もつかわからない状況といえます。
「博多曲物研究室」では、「製造の現場」、「量産工程の改善」、「ブランドづくり」、「プロダクトのデザイン」、「商品の魅力を伝えるコミュニケーション」、そのすべてに一貫して関わり続けることで、博多曲物を少人数でも続けていけるような体制づくりを目指して活動をおこなっています。
思えば、2014年に最初の試作品をつくった時には、このような数年に及ぶプロジェクトになるとは全く考えていませんでした。
誰かに頼まれて始めたわけではなく、自分の興味から勝手に始めたことで、にも関わらず、様々な方に非常に温かいご支援やご協力をいただき今に至っています。そんな状況もあり、いつの間にか必死でやるプロジェクトになっているというプロセスは、意外と良い結果を生むのかもしれないと考えるようになりました。
今回、ご興味をもっていただいた方々に Haori Cup をお届けできれば幸いに思います。
サポーターからの応援コメント
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このプロジェクトはAll or Nothing型です。プロジェクト成立のためにはプロジェクト終了日の2018年01月30日までに目標金額が達成となる必要があります。
Haori Cup【焼印なし】磁器(白色)- 曲物(無地)
5,400円(税込)
(更新日:2018年04月23日)
●Haori Cup【焼印なし】
磁器:白
曲物:無地
ふた:なし
※送料無料
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください
Haori Cup【焼印あり】
5,980円(税込)
(更新日:2018年05月25日)
●Haori Cup【焼印あり】
磁器:白/緑/茶/ピンク 4色から1色選択
曲物:焼印を8種類から1つ選択
ふた:なし
※送料無料
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください
《早割》Haori Cup【焼印なし】磁器(白色)- 曲物(無地)2個セット
8,900円(税込)
(更新日:2018年04月04日)
●Haori Cup【焼印なし】
磁器:白
曲物:無地
ふた:なし
白磁に無地の曲物スリーブを組み合わせた最もシンプルな構成
※送料無料
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください。
Haori Cup【焼印あり】同色2個セット
10,800円(税込)
(更新日:2018年05月25日)
●Haori Cup【焼印あり】
磁器:白/緑/茶/ピンク 4色から1色選択
曲物:焼印を8種類から個別に2つ選択
ふた:なし
※送料無料
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください。
《早割》Haori Cup【焼印なし】4個各色セット
18,900円(税込)
(更新日:2018年04月04日)
●Haori Cup【焼印なし】
磁器:白/緑/茶/ピンク 4色セット
曲物:無地
ふた:あり
※送料無料
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください
Haori Cup【焼印あり】4個各色セット
21,800円(税込)
(更新日:2018年05月25日)
●Haori Cup【焼印あり】
磁器:白/緑/茶/ピンク 4色セット
曲物:焼印を8種類から個別に4つ選択
ふた:あり
※送料無料
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください
Haori Cup【焼印なし】8個セット
39,800円(税込)
(更新日:2018年04月23日)
●Haori Cup【焼印なし】
磁器:白/緑/茶/ピンク 4色を各2個ずつ
曲物:無地(焼印なし)
ふた:あり
※送料無料
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください
Haori Cup【焼印あり】同色8個 和紋フルセット
42,500円(税込)
(更新日:2018年04月04日)
●Haori Cup【焼印なし】
磁器:白/緑/茶/ピンク 4色から1色選択
曲物:8種類フルセット
ふた:あり
※送料無料
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください
Haori Cup【オリジナル焼印】50個セット
250,000円(税込)
(更新日:2018年04月04日)
●Haori Cup【オリジナル焼印】
≪オリジナルロゴや家紋などに≫
磁器:白/緑/茶/ピンク 4色から1色選択
曲物:オリジナル焼印(データ支給)
ふた:あり
※送料無料
※【オリジナル焼印】は実寸サイズで直径15mm以内に収まるデザインである必要があります
※【オリジナル焼印】のデータは「白黒の画像データ」もしくは「ベクターデータ(イラストレーターなど)」をご用意ください
※【オリジナル焼印】に関してはマクアケのメッセージ機能を用いてご連絡/イメージの確認をおこないます
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください
Haori Cup【全面オリジナル焼印】100個セット
1,000,000円(税込)
(更新日:2018年07月18日)
●Haori Cup【オリジナル焼印】
≪記念品や引出物などに≫
磁器:白/緑/茶/ピンク 4色から1色選択
曲物:全面にオリジナル焼印(データ支給)
ふた:あり
※送料無料
※【オリジナル焼印】のサイズや位置は自由ですが、製造工程上実現できない場合もございますので、予めご了承ください
※【オリジナル焼印】のデータは「白黒の画像データ」もしくは「ベクターデータ(イラストレーターなど)」をご用意ください
※【オリジナル焼印】に関してはマクアケのメッセージ機能を用いてご連絡/イメージの確認をおこないます
※博多曲物は国産の杉材でつくられており、天然素材のため1点1点木目が異なります
※波佐見焼(磁器)は窯で焼成するため、窯内部の温度含め、外気温や湿度など焼成環境のぶれにより、毎回色味やサイズにごく微妙な誤差がでますので予めご了承ください
「Makuake(マクアケ)」は、実行者の想いを応援購入によって実現するアタラシイものやサービスのプラットフォームです。このページは、 プロダクトカテゴリの 「Haori Cup -波佐見焼×博多曲物2つの伝統工芸活かしたひとつのカップ-」プロジェクト詳細ページです。