天然染料だけが持つチカラを、今こそ生かしたい。
キッカケは、友人たちの声でした。

奈良の東吉野村で染織工房を営んでいます。昨今の情勢の中で何か自分にも役に立てることはないかと工房にあった様々な植物染料で染めた生地でマスクを縫って友人や家族にプレゼントしたところ、「なんだか気持ちいい」「呼吸が楽」「これならずっと着けていられる」「綺麗な色に気持ちが明るくなった」と様々な喜びの声をいただきました。

そこで思い当たったのが、植物染料のチカラです。植物染料と合成染料の決定的な違いは、植物染料は単に色を染め付けるだけでなく、その植物が生きるために蓄えた様々な力が同時に染め付けられていることです。

「なんとなく気持ちいい」「マスク内の不快感がない」という漠然とした感覚を、きちん検査をして科学的に明らかにしたい、という思いが強く湧き上がってきました。そこで今回、認可機関で「抗菌性試験」を行い、その結果を公表し、このプロジェクトに支援くださった方に検査結果の証明書を添付してリターン品をお贈りすることにしました。

今こそ、植物のチカラを暮らしの中に取り入れて、「互いを守り合う」ためのマスク生活を、もっと快適に、もっと楽しく。

このプロジェクトの目的が明確になり、私たちはここで生まれる製品を「エシヌ」というブランド名で展開していくことにしました。

エシヌとは「吉野」の古名で、「美しい野山」を意味しています。吉野の美しい自然の恵みから生まれた手仕事の数々を、あなたの暮らしに取り入れていただけたら幸いです。

「快適で美しい」マスクを求めて

まず最初に考えたのが、着けている人が快適で、その人を美しくひきたたせるマスクです。そのため、何種類ものマスク素材を取り寄せ、植物染めと相性がよく、肌に心地いい素材を試した結果、タイの少数民族の伝統から生まれたムアンコットンを選びました。日本の絹ちりめん生地のような風合いを持ちながら、何度も洗濯試験を繰り返した結果とても堅牢度の高い生地であることもわかりました。マスク裏面にはポケットを付け、フィルターを挟んだり、ティッシュを被せて口紅をカバーしたりできるようにしました。

さらに顔のサイズも形も違う男女にマスクを着けてもらい、カバー力がありながらフェイスラインが美しく見えるデザインを何度も試作し、小さなお子様用含めS.M.Lのスリーサイズをご用意しました。また「耳が痛くならないマスク」を目指し、耳ゴムのサイズを調整できるアジャスターを付けることにしました。これも石油由来でない天然素材で作りたいと、村の革職人に一つ一つ手作りしてもらうことになり、ようやく完成品のサンプルが完成しました。

５種類の染料植物と染め色

今回、日本古来の植物染料の中から、藍、茜、刈安、五倍子、そして工房のある吉野の山桜を選び、マスク、マスクケース、ストールを染めました。今回それぞれのマスクの染布について専門機関「一般社団法人カケンテストセンター」にて抗菌性能試験を行ない、その試験報告書を添付してリターン品をお送りします。

◉本藍染め 「藍色」（あいいろ）

日本人の生活を彩り多くの外国人をも魅了してきた藍色、ジャパン・ブルー。還元剤などの化学薬品を一切使わず、藍の乾燥葉から100日間の発酵を経て作られた蒅（すくも）を灰汁でじっくり建てた本藍で染めました。洗えば洗うほど、青の冴える本物の藍染です。

◉茜染め 「緋色」（ひいろ）

茜はアカネ科のツル性植物で、茜染めには根を使います。正倉院に収蔵されている天平時代の茜染の絹織物には、1200年の時を超えて今も鮮やかな緋色（ひいろ）が残されています。今回はその天平の色を求めて、何度も、何日も茜を染め重ねました。古代から愛された色を、どうぞお楽しみください。

◉刈安染め 「海松色」（みるいろ）

刈安はイネ科の植物で、その葉を乾燥させたものは黄染の染料として古くから使われてきました。今回はその刈安を温泉の真っ白な泥で媒染して、海松色（海松色）を染めました。海松（みる）は海藻の一種で、海の中で明るく暗く緑色に揺れるその色は天然色素ならではの複雑なニュアンスを持っています。

◉五倍子染め「空五倍子色」（うつぶしいろ）

五倍子は、ヌルデの木にできる虫コブの一種で、その中で小さな羽虫の幼虫が育つゆりかごでもあります。木に付いている時は黄緑色の実のような形状をしていますが、それがこんな紫がかった美しい灰色に染まるとは、一体いつ誰が発見したのでしょうか。素材そのものの色を最も美しく引き出せるよう、少しずつ鉄をかけて染め上げます。

◉桜染め 「桜色」（さくらいろ）

吉野といえば吉野山の桜が有名ですが、工房の近くにも様々な種類の桜の木が早春から順に咲き始めます。その選定した枝をいただいて。花が咲く前の枝で染め上げる、儚げな桜色です。山桜は花より先に葉が出てくるのですが、この葉の付いた枝をじっくりと炊き出した染液からは甘い桜の香が立ち上り、ひときわいい色が染まります。

本革のアジャスターも一個一個手作りしています

「耳の痛くならないマスク」のために、一人一人違うお顔のサイズに合わせて耳ゴムを調整していただけるアジャスターを天然素材で作りたいと、村に移住してきた革職人の長﨑さんに革のアジャスター製作をお願いしました。彼が選んでくれたのは、植物のタンニンでなめした高級ヌメ革。最初は肌色ですが、使っていくうちにだんだん色が変わって行くのも楽しみな素材です。

お洗濯の時は革のアジャスターを外して、マスク本体のみ洗ってください。
簡単に取り付けができるよう、ワイヤーもお付けします。

マスクの裏にポケットを付けました

マスクの裏に共布でポケットを付けました。化粧を落としたくない時に口紅をティッシュでカバーしたり、アロマオイルを染み込ませたフィルターを挟んで良い香りを楽しんだり、様々なシーンでご利用ください。

各色 S M L スリーサイズをご用意しました

上記のサイズ表をご覧の上、サイズをお選びください。

Sは小さなお子様に、Mはティーンズやお顔の小さめの女性に、Lは男性にも大きめサイズをご希望の女性にもおすすめです。

※モデル着用のマスクはMサイズです。

大人のたしなみ、お洒落なマスクケースも作りました

飲食店などでマスクを外した時、置き場に困ったことはないでしょうか？マスクを清潔に携帯し、保管できるお洒落なマスクケースを作りました。ここでも天然素材、天然染料、丁寧な手仕事を大切に。

A.麻生平の草木染めマスクケース

染織工房空蝉で扱っている帯の素材から、爽やかな風合いの麻の生平（きびら）を選び、マスクと同じ染料で手染めして、オリジナルデザインのマスクケースを作りました。麻生平は、麻の繊維を繋いで糸にして手織で織った、日本伝統の工芸品です。

懐紙入れやスマホケースとしても使っていただけるサイズです（内寸16cm×10cm）。

B.野蚕糸で織り上げた手織のシルクマスクケース

もう一つは、当工房の本業でもある糸から作った手織の野蚕糸の帯地を使ったシルクのマスクケース。種類の異なる糸を織り込み、縞を手織で織り上げたものです。こちらもお懐紙入れやスマホケースとしても使っていただけるサイズに仕上げました（内寸16cm×10cm）。

こちらは今回特別に限定２０個のご提供となります。

吉野ひのきのマスクレストでいつも快適に

マスクを着けた時、まるで森の中にいるような樹の香りがしたら、どんなに心地いいことでしょう。手になじむ半卵形の吉野ひのきのマスクレストは、そのままでもヒノキのいい香りがします。香りが弱くなってきたら、吉野ひのきの精油（エッセンシャルオイル）を数滴たらして、ディフューザーとしてもご利用いただけます。この吉野ひのきのマスクレストと吉野ひのきの精油をマスクとセットにした「エシヌでレスト」をご用意しました。いつでもどこでも、爽やかな森の香りをお楽しみください。

【吉野ひのきについて】

吉野では古くから林業が盛んで、とくにこの地方で生産される「吉野杉」「吉野桧」は、その品質の高さからブランド木材として世界に名を馳せています。その吉野桧の幹の中心部、色の濃い部分から抽出した天然ヒノキオイルは、香り高く、高い抗菌・抗腐食性を持つことでも知られています。まさに奈良の正倉院はこの性質によって千年を超える間、宝物を守り続けているのです。

マスクはもう、ファッションの一部。マスクとカラーコーディネイトできるストールを作りました。

当工房では、植物染料で染めたストールを扱っていますが、今回マスクと同じ染料で染めたシルクストールをご用意しました。

素材は横糸に、2/400というごく細の絹紡糸（けんぼうし）を使用した、しなやかな国産高級シルク生地を、一枚一枚手染めで染め上げました。

ぜひマスクとのカラーコーディネイトをお楽しみください。この機会に植物染料の魅力を存分に味わっていただきたく思います。

サイズ：７７cm×１９０cm
素材：国産シルク１００％

A.本藍染め藍色（あいいろ）シルクストール

灰汁発酵建ての本藍で染めました。冬は暖かく、夏は爽やかに、本藍染めの色の醍醐味を最も味わっていただける男女兼用ストールです。

B.茜染め緋色（ひいろ）シルクストール

インド茜で鮮やかな緋色（ひいろ）を染めつけました。何日もかけて、同じ工程を何度も繰り返して染まる貴重な茜色です。

C.刈安染め海松色（みるいろ）シルクストール

刈安の黄色に少しづつ海松色（みるいろ）をかけてグラデーションにしました。

D.五倍子染め空五倍子色（うつぶしいろ）シルクストール

五倍子で淡い紫がかったグレーが美しい空五倍子色（うつぶしいろ）のグラデーションストールです。

E.桜染め桜色（さくらいろ）シルクストール

桜の枝で、春の訪れを告げるような淡く優しい桜色を染めました。

お取扱のご注意、洗濯について

◇染め色について

・天然の植物染料を一枚ずつ手染めしているため、全く同じ色は一つとしてありません。また使用する素材や季節によって色が若干異なる場合があります。天然素材ならではの魅力のひとつと感じていただけたら幸いです。

◇洗濯方法について

・天然染料は強い酸、アルカリに触れると色が変化しやすい性質を持っています。洗濯の際はおしゃれ着洗いなどの中性洗剤で手洗いすることをお勧めします。

・漂白剤や蛍光剤が入った洗剤をご使用になりますと、色落ちや変色が進みますのでご注意ください。

◇保管について

・直射日光のあたるところに長時間置くと退色する場合があります。できるだけ暗いところに保管されることをお勧めします。

◇マスクの機能について

・有毒ガス、粉塵に対しての防御防塵効果はありません。
・抗ウィルス効果は検証されておりません。

スケジュール

・11/27 プロジェクトスタート
・12/中頃 生産スタート
・1/25 プロジェクト終了
・2月〜3月 商品のお届け

※All in形式のため、購入いただいた分から製作を始めます。プロジェクト終了の翌週から発送を始め、2月〜3月各リターン欄に記載の期限内に、できるだけ早く発送を終える予定です。但し、もし予想を超えるご注文をいただいた場合、手作業ですので相応の時間がかかります。この件についてはリスク＆チャレンジをご確認ください。

リターン一覧

資金の使い道

原材料の購入と抗菌評価試験の費用に充てさせていただきます。

実行者紹介

◇「エシヌ」ブランド開発者／染め人： 染織工房空蝉 宇都宮弘子

２５年にわたる映画の配給・プロデュース業を経て、愛媛県の野村シルク博物館で染織を学び、現在の東吉野村に工房を開いて３年になります。シルク博物館では、正倉院宝物などの修復や再現模造に関わった講師陣から古来の染織技法を学び、自然から命をいただいてモノを作るという仕事への心構えを教えていただきました。

四季折々、圧倒的に美しい表情を見せる吉野の山の恵みに感謝しつつ、この大きな自然の循環の中で暮らし、長く愛されるモノを作り、人も森も美しく豊かにするお手伝いができたら。そんな思いで「エシヌ」ブランドを創りました。

◇革職人 長﨑大地 （アジャスター製作）

京都で5年間オーダーメイドの鞄を製作。昨年に奈良県東吉野村へ移住。
毎日持つ鞄に質感や色の変化を感じ楽しんでもらえるような革選び・デザインにこだわって製作しています。