【行動するブランド「EQUALAND」】

これはファッションPR会社「One O(ワンオー)」による「EQUALAND(イコーランド)」プロジェクトです。

デニムのスペシャリストである、私・坂田英一郎は80年代からずっと、デニム業界では黒子として活動しておりましたが、今回初めてこうした場に登場することになりました。左が坂田、右がワンオー代表の松井です。

今回は今までの企画力や技術のすべてを出し切り、今までにない「身体と地球に優しい強力撥水のデニムとチノパンツ」を作りました。

パンツの種類は、「デニムパンツ」「チノパンツ(ベージュ)」「チノパンツ(カーキ)」「チノパンツ(ブラック)」の4種類。このパンツにはそれぞれ、環境と身体に負荷のないフッ素フリーの「強撥水」加工を施しています。

ホースで水をかけてもこの通り！

アウトドアシーンで使うような、重厚で本格的な防水パンツはちょっと大げさ…。自宅にいる時間が長くなり、男性でもキッチンに立つ時、掃除の時、子供と遊ぶ時など水仕事や汚れは付きものになりました。

むしろデイリーなシーンで、食べこぼしのシミや泥はねを気にせず、ガシガシ履きこんでもらえればと思い、この撥水ボトムを企画しました。

加えて、私たちはこのパンツをリリースするに当たり、ファッションに携わる者として「３つのミッション」を掲げて臨んでいます。

【１ 信用タグについて】

プロジェクトのミッションは、「ファッションに信用を取り戻す」です。今まで、素晴らしいデザインや素材たちと出会ってきましたが、その製品を生み出す工場などの生産背景は、サスティナブルとはほど遠い現実でした。

「コットン栽培に使う農薬の毒性によって、生産者たちが健康を害している」

「日本だけでも衣類の廃棄量が、年間100トンにものぼる」

(イメージ)

ニュースで目にした方はいるかもしれません。

華やかなファッション業界の裏には、こういった現実が横たわっています。私は特に、ものづくりを担う「ファクトリー」サイドの方々を応援したいという気持ちで、このプロジェクトを立ち上げました。

素晴らしい映画は、すぐれた監督や脚本家、俳優など、多くのプレイヤーの共同制作で成立しています。それはファッションも同様。

服に関わるすべてのプレイヤーが、ファッション文化の担い手として尊重に値するはず…。

その思いを「信用タグ」として、実際に服につけることにしました。

このタグには、「紡績工場」「テキスタイル工場」「縫製工場」「染色工場」「パタンナー」「デザイナー」に至るまで、製造に携わった方々のひとりひとりの”自筆署名”が印刷されています。まさに野菜の生産者の“顔”を出すように、関わった人の覚悟が記されています。

これは、ファクトリーが表舞台に顔を出せない現代に、なかなか出来ることではありませんでした。ご賛同いただいたものづくりの方々に、心から感謝申し上げます。

【２ 高品質な余剰素材をアップサイクル】

また一年間で、日本だけでも約15億点が廃棄されるという「アパレル製品の余剰在庫」。ブランドによる大量焼却が問題視されるなど、余剰在庫はファッション業界が抱える大きな課題です。

また製品の余剰在庫とは別に、製品になる前の「生地」や「糸」として世界中に眠っている余剰在庫もあります。これが「素材の余剰在庫」です。

私が世界中の工場を巡っていると、「これは！」と目を見張るようなハイクオリティの余剰素材に出会うことがあります。本当にもったいない。。

今回はタイの工場から、某ラグジュアリーブランドからのオーダーによるデニムとチノ生地を発掘しました。ここから、究極のチノパンツとデニムパンツを仕立て上げました。

素材としてのクオリティが大変高く、しかし工場は使い道がなく持て余している状態。このまま倉庫にあっても仕方ないと、素材を通常より安値で譲って頂き、高品質にも関わらず価格を抑えることができました。

もちろん工場には、縫製代として2倍の工賃をお支払いしています。

この素材が使われずに焼却されていたら、と思うと、ギリギリでアップサイクルできたことに胸をなでおろしています。

ですのでご覧のようにリターンが数多くなっておりますが、これも「余剰在庫素材」であるがゆえに、本数がサイズや素材によってばらつきがございます。

世界にはまだまだこういった素材が多く眠っているので、今後も第二弾、第三弾のプロジェクトを立ち上げていきます。

【３ 環境と身体に優しい撥水加工と素材】

素材はハイクオリティのコーマ糸で織りあげたコットン素材で、触るとピーチスキンのような優しい肌当たり。

コーマ糸とは、通常の糸を製造する工程に加えて、繊維の平行度を良くするために、「コーマ」という機械を通して精製した綿の細番手の高級糸を指します。毛羽立ちがなく、サラッとした滑らかな肌触りが大きな特徴です。

主役は、この昔ながらの織機。現代の機械ではできないしっかりした生地に織り上げます。年季の入った風貌ですが、ここから今回のボトムのベースとなる生地が生み出されます。

緻密に織り上げられたコーマ糸の"絶妙なハリとコシ"は、パンツ地としては最適！

特に細番手のコーマ糸を使用した、コットンのチノクロスは、ギュッとつまった緻密な織りで、身体に馴染みやすい柔らかさと、パンツに最適なハリ・コシがあります。

加えてこの素材には”強力撥水加工”をかけており、ご覧の通り思いっきり水をはじきます。

撥水加工を施しているにも関わらず、ゴワつきもなく、表面はスムースな滑らかタッチを維持するのもこの加工の特徴です。

環境配慮型のフッ素フリー加工

この撥水技術は多くの有名ブランドでも使われています。一般的にはステッチから水が入ると思われがちですが、これは製品に仕立ててから加工をかけているので、縫製部分から水は入りません。

一般的に撥水加工は「フッ素」を使います。ただうっかり吸い込むと、肺に入って深刻な健康被害を引き起こすやっかいな素材です。

私たちは、日本国内で開発された技術であり、極力身体に影響のない環境配慮型の"フッ素フリー”加工を施しました。

ぜひ以下でもご確認ください。※5秒

ラーメンの汁、カレーうどん、トマトパスタ…。

美味しいけど、うっかりシミを付けたら面倒なものばかり。けれどこの強力撥水ならば、水分が転がるのでサッと拭けばOK。ケチャップもするすると落ちます！

もちろん撥水だけでなく、防汚、汗ジミ防止効果も期待できます。

なんと！パンツの裾を結ぶと、撥水が効いてバケツのように水がくめるほど！漏れません。

日々の生活スタイルが変わり、スーツからデニムやチノに履き替えた人も多いのでは。そんなときに、生活のすべてのシーンで、気兼ねなく汚れを気にせずボトムを履いてほしいと企画しました。これならうっかり食べこぼしても、シミで悩むことはありません。雨の日の泥ハネなどに悩んでいた方にもお勧めします。

コットンの微起毛(ピーチスキン)に後加工として撥水を施しているため、お手元に到着したときには撥水が弱いかもしれません。この加工はアイロンや乾燥機などの「熱」によって撥水効果が復活するので、もし弱いなと感じたらぜひアイロンをかけてみてください。

また天然素材なため、水がかかった直後は表面が湿ることがあります。その辺りはご了承いただければと思います。

リターンは、素材別に「デニムパンツ」と「チノパンツ」の2種類。チノパンツは３色のカラー展開をご用意しました。

【デニム ５pocketsパンツ】

製作のコンセプトは「次世代のデニムパンツを作りたい！」。

今までのヴィンテージ系の５pパンツは諸先輩方に任せ、従来のデニム５Pパンツとトラウザーを足したデザインを意識し、カジュアルすぎない大人のデニムに仕上げました。

手を入れやすい「スラッシュポケット」。コインポケットは大きめで左右に付けています。

ポケットに物を入れた時に、前に出る膨らみや当たりが解消できないか？と考えた末、「体側にあれば前に膨らみが出づらい」ため、大きめのコインポケットにしています。ポケットは、コインケース・タバコ・小物類を入れることができ、加えてスマートフォンも入ります。

ステッチワークは、0.3mmのダブルステッチ。上品に前立て部分にもステッチでデザインを入れ、シャープなイメージになるよう脇ステッチもWで入れています。

外脇側はビンテージ感を残すために、割りで始末しています。割りのロック処理部分も、ステッチ色を変えて耳付きの様に見せています。はき込んでいくと、割りのアタリが表に出てきます。

裾を折り返して履くときに見える脇は、まるで耳付きデニムのようです。

ステッチは全てカンヌイです。カンヌイはチェーンステッチとも呼ばれます。

裏を見るとチェーンがつながっているように見える縫い方で、通常のミシンがけと違い、縫製できる工場がごく限られています。

右綾は織り込まれる際に入る力加減が、左綾よりしっかりと入り生地が伸びにくくなっています。しっかりと織られているので、馴染んできても生地全体がフラットになりにくく、凹凸の強い状態が維持される為、表面のみ色落ちしていきます。

腰回りはゆとりを持たせ、裾に向かってテーパードをかけているため、腰回りの大きさが気になる人も、脚を細く見せられます。

特にふくらはぎ部分は細めの作りで、シルエットはかなりシャープな印象になります。

生地の織り方が右綾のために生地が伸びにくく、しっかりと織られています。馴染んできても生地全体がフラットになりにくく、ヒゲやアタリと呼ばれる色落ちがより明確に付いて、オンリーワンの味わいになります。

普段はいているサイズより、ワンサイズ大きめがお勧めです。

【チノパンツ ベージュ／カーキ／黒】

デニム同様、大人が履けるカジュアル過ぎないチノパンツを目指しました。なので、あえてステッチを極力表に出していません。

ウエストはカーブベルトで、腰のヒップラインにフィットします。バックポケットは片玉仕様で上品に仕上げました。できるだけカバンを持たずに外出したい大人の男のために、サイドポケットは大きめかつ深めです。

≪ベージュ≫

ハイクオリティのコーマ糸を使用しているため、生地に光沢があります。あえてふんわりした手触りの微起毛(ピーチスキン風)を掛けることにより、カジュアル感を出しています。裾に向けてテーパードがかかったシルエットです。

外脇はロック始末。履いていくとアタリが出てきます。

≪カーキ≫

≪ブラック≫

左綾は右綾に比べると織り込みの力加減が少し甘くなる為、生地が馴染みやすいという特徴を持っています。凹凸感が少なく裏糸が前に出てきやすくなり、縦落ちと呼ばれる綺麗な色落ちになります。

【ディテール】

【デニム・チノパンツ 製品スペック】

◆サイズ

S：ウエスト82cm／ヒップ100.3cm／太もも幅31.3cm／股上23cm／股下77cm

M：ウエスト86cm／ヒップ104.3cm／太もも幅32.5cm／股上23.5cm／股下77cm

L：ウエスト90cm／ヒップ108.3cm／太もも幅33.7cm／股上24cm／股下79cm

XL：ウエスト94cm／ヒップ112.3cm／太もも幅34.9cm／股上24.5cm／股下79cm

◆MATERIALS

コーマ糸・コットン100%

◆縫製

タイ国

【スケジュール】

12月18日 プロジェクトスタート

１月18日 プロジェクト終了、集計

２月上旬 工場での生産スタート

２月末日 生産終了予定

３月上旬 発送

以下、今回のプロジェクトのもっともエモーショナルな部分かと思います。

【実行者紹介：私、坂田英一郎のこと】

私の青春時代は雑誌の「ポパイ」がバイブル。アイビールックからリーバイスなどのジーンズにハマり、お宝のジーンズも200本以上持っています。自分でもクレイジーと言える程のデニム好きだと思います。

1980年代に、大阪のインポートジーンズの販売員として働き始め、以来ジーンズ畑一筋。あまりにジーンズが好きすぎて、デニム産地の岡山の工場に住み込みで働いたこともありました。

その後は大手紡績メーカーと一緒に、他にはない新しい生地の開発なども手掛けてきました。

ただ仕事は楽しいのですが同時に、この業界の”暗部”も数多く見てきました。

その一つが、「作り手と売り手がフィフティー・フィフティーではない」ということ。まず業界では、「売り手（小売店）」の力が圧倒的に強い立場です。小売店の販売価格に合わせた原価削減を強いられ、納期も先方の指示通り。サンプル代や型代などもかかりますが、それを払ってもらえないことも少なくないです。

コストのしわ寄せが工場などの「作り手」に集まり、設備投資や人材育成の停滞につながることで、商品の陳腐化や消費者離れという悪循環にも陥っています。特に最近の「低価格」が求められる時代には、工場は過剰な原価削減を求められ、利益確保もままなりません。

対等な関係性でものづくりをしなくては、今後のアパレル業界の未来は明るくないと感じています。

服に関わる人が幸せになれるブランドを

そんな折に、「ワンオー」代表の松井氏と出会います。

「PR」と「ものづくり」は、元々業界の中では遠い存在でしたが、徐々に代表がものづくりに興味を持っていることがわかりました。

「ワンオー」はタイや中国などアジア各国で事業を展開し、PRやイベントなど様々な事業も手掛けています。私は彼らにアジアの工場を案内するなど、アジアにおけるビジネスを共に盛り上げていきました。

そんな中、世界中に眠っている高品質の余剰在庫をお互い目の当たりにした際に、「これは自分たちしかできない課題解決だ！」と実感しました。

余剰在庫問題やものづくりの地位向上などを含め、“ファッションに関わる全ての人が幸せになれるようなブランド”をとの想いを込め、「EQUALAND(イコーランド)」プロジェクトが立ち上がりました。

ものづくりの人たちがさらされている現状を打破したく、以下の仕組みを「EQUALAND」では「ぜんぶやる」と決めました。

みなさんとともに、「ファッションに信用を取り戻す」ことができたら嬉しく思います。