柔らかい地面や強い風の中で、テントやタープをしっかり固定するには、長いペグを使うことが一般的でした。しかし、長いペグは重くて持ち運びにくい。

持ち物が軽くコンパクトなら、体力や収納スペースに余裕を持たせて、アクティビティをもっと楽しんだり、他のギアを持ち運こともできます。緩んだペグの打ち直しが不要になれば、風を気にせず安心して眠ることができます。

持ち運びしやすいペグでも、安心してキャンプを楽しめないか？

そんな思いからデュラステイクは誕生しました。

ペグを長くする以外に、より強い固定力を得られる方法はないのか？
そんなシンプルな疑問と無数の試作検証が、大地に食いつく新構造を生み出しました。

設営後のペグの緩みにくさを確認するため、検証を実施しました。

その結果、一般的な鍛造ペグと比較してデュラステイクは実使用に近い状態でズレにくく、緩みにくいことが確認できました。

＜検証方法＞

①45°の角度でペグをスタイロフォームに挿入

②ペグに対して垂直方向に10kgfの力で引く

③ペグのズレ（移動量）を測定

デュラステイクは、ロープの引き方向に対して垂直に地面に打ち込みます。

こうすることで、3本足構造を活かした、ズレにくく緩みにくいテントやタープの設営が可能です。

デュラステイクの全長は180mm。これは一般的な鍛造ペグラインナップの中で一番短いサイズに相当します。さらに、単純に短く持ち運びやすくするだけではなく、ロープ取り付け部の形状を見直すことで、土に刺す部分はしっかり確保しました。ペグダウン後に飛び出す部分が短いので、足を引っ掛けにくいというメリットもあります。

私たちオリオン工具は、様々な工場で使われる工具を製造しています。

デュラステイクには、製品ラインナップの中でも大きな割合を占めるチップソー製造の技術が注がれています。

チップソーとは、回転しながら木材などを切断する、一般的に言う「丸ノコ」です。チップソーは円盤状の一見シンプルな刃物ですが、高速で回転しながら対象を切断するため、ブレずに安定して回転し続けられる高い精度が要求されます。刃物の強度を増すために熱処理を行いますが、この工程で金属に歪みが発生します。この歪みの矯正には非常に高い技術力が必要です。

こうした刃物の強靭さと歪みのない正確な形状を両立する技術で、デュラステイクは製造されています。

ペグダウンの際、ハンマーの力を効率よくペグの先端まで伝えるためには、正確にペグの芯を捉えることが重要です。ハンマーを打ちつけた際、ペグがしなったり、中心軸がズレていると効率よくペグを打ち込めません。このため、ペグには強度だけでなく歪みがないことも重要なのです。

非常に高い強度を誇るステンレスと、工具などに使用される鋼 に「真空焼き入れ」と呼ばれる熱処理を施すことで、硬度はHRC51(鉄鋼を切削するドリルと同等)に達します。これにより、デュラステイクは地中の岩を砕きながら地面に強力に食い込みます。

私たちは、ペグの本質的価値を「テントやタープなどを地面に固定し、安心してキャンプを楽しめる環境を作ること」と定義しました。多くの試作検証を行い、この本質的価値をそのまま体現する、無駄のない美しいデザインを目指しました。

ペグの先端は、ガイロープはもちろん、幅広のベルトも通せる形状です。

また、ペグを打ちこんだままロープ類の取り外しができるので設営後の調整もスムーズです。

足を引っかけにくいようにするため、ペグを打ち込んだ際の飛び出し量を少なくし、カドを大きく落としてあります。

強い固定力ゆえに、ペグを抜くための形状にもこだわりました。ガイロープを外せば、ハンマーのペグ外しがピッタリ収まります。

（硬い地面にもガンガン刺さるので、打ち込みすぎにご注意ください）

＜真空焼き入れとは？＞

真空焼き入れとは、真空炉を使用して鋼材を真空状態で加熱した後、油、水またはガスで急冷する熱処理のことです。鋼材の硬度、耐摩耗性、引っ張り強さ、疲労強度などを向上させる効果があります。酸素を排除して施行する真空焼き入れには、鋼材表面の酸化（光沢が失われる）や脱炭（表面が硬化しない）を防ぐ効果があります。

＜防錆処理について＞

ステンレスモデルには真空焼き入れにより、錆に強い皮膜が形成されます。

鋼モデルには真空焼入れ後に黒メッキを施してあります。こちらは鍛造ペグ同様、使用に伴い剥がれ、独特のエイジングを生み出します。

（皮膜やメッキが剥がれた部分は錆びることがあります。使用後は水分をよく拭き取って保管してださい。）

キャンプの撤収時、気づけばペグが消えていた経験はありませんか？
ペグにマーカーを取り付けることで、フィールドでペグを見つけやすくできます。

デュラステイクは、ペグの先端にマーカーを通す穴を設けました。

パラコードを編み込んで、お好みにカスタマイズすることも可能です。

私たちが丹念に鍛えた上げたペグたち。キャンプ場に忘れられることなく、皆様のキャンプにずっとお供できれば幸いです。

パッケージについて。

自然の中で使うものだからこそ、環境に配慮したプラスチックレスのパッケージとしました。湿気を通し難い素材として昔から金属製品の梱包に使われている、オイル紙に包んでお届けします。

＜ステンレス仕様＞　素材：SUS420J2　重量：平均66g

＜ハガネ仕様＞　素材：SKS-5　重量：平均73g　亜鉛黒メッキ

FAQ

Q.初期不良を発見した時はどうしたらいいですか？
A.ご使用はなさらずに不具合部分を写真に撮り、弊社までMakuakeメッセージでお問い合わせください。

Q.ステンレス仕様とハガネ仕様の違いはなんですか？
A.外観、重量の違いがあります。ステンレス仕様は金属光沢を活かした外観で、ハガネ仕様よりも軽いです。ハガネ仕様は黒メッキ加工を施してあるので、使用に伴い黒メッキが剥がれます。強度はいずれも同等です。

Q.錆びますか？
A.真空焼き入れと黒メッキにより錆びにくい皮膜を形成しておりますが、使用よる表面の削れ、使用環境により錆びることがあります。

Q.180mmよりも長い仕様はないのですか？
A.携帯性と固定力のバランスを重視し、まずは180mm仕様からスタートします。180mm以上の長さについては、第2弾以降でのラインナップを予定しております。

スケジュール

製造開始時期：7月末予定

配送時期　　：9月上旬予定

実行者紹介

プロジェクトリーダー　畠山

1980年生まれ、静岡県出身。静岡理工科大学大学院卒業、新卒で愛知にて自動車部品の設計を担当。祖父が亡くなったことがきっかけで地元に戻ることを決めてオリオン工具製作所に入社。現在は研究開発部門、検査部門、品質保証部門を担当しています。

基本的に人が好きで人とのつながりを何よりも大切にしています。

ものづくりが好きで自宅には小型の３Dプリンターやレーザーカッター、自動刺繍ミシンがあり、オリジナルのグッズを作ったり趣味のガンプラのパーツやウォーハンマー等のミニチュア用ジオラマを作ったりすることも多いです。

新しいものも好きでVRで国内・海外の友人を作って日々楽しく過ごさせていただいています。

企画・デザイン　アッシュ デザインスタジオ　平山

多摩美術大学卒。大手家電メーカーにて10年以上モバイル機器のプロダクトデザイン、ブランディングを担当。休日はバイクに機材を載せてソロキャンプを楽しんでいます。
企業の強みを磨き、試作検証を重ねることで顧客目線の体験価値を共創します。

グッドデザイン賞、Red Dotデザイン賞、ifデザイン賞受賞。

Hamamatsu Design Vision

キャンプ用ペグ『デュラステイク』はHamamatsu Design Vision で生まれたプロダクトです。「Hamamatsu Design Vision 」は、株式会社AMNが立ち上げた、モノづくり企業とその企業の技術に惹かれ想いに共感したデザイナーによる共同商品開発プロジェクトです。

【ECサイト】https://shokuhats.com/

【オフィシャルサイト】https://amn.aichi.jp/

【Instagram】https://www.instagram.com/aichi.design.vision/