筆を作り続けて45年の晃祐堂と、家具を作り続けて75年の土井木工のコラボレーションから「オリジナル化粧筆」が開発されたのは2015年のこと。江戸時代から続く広島県を代表する伝統工芸品として知られる熊野筆の化粧筆と府中家具の遺伝子が出会うのは必然でした。そしてマクアケ ローカル共創プログラムにより誕生した「熊野筆を使ったボディブラシ」の新しいタイプ「黒ネコ型ボディブラシ」が誕生しました！

2022年8月にスタートした「ネコ型ボディブラシ」は多くの皆様に応援購入いただき、初日の応援購入額がMakuakeデイリーランキングでも3位を獲得しました！

黒ネコ型はブラシに馬の尻尾の毛を混ぜて、通常タイプよりほんのり固めのブラシとなっています。通常がソフトタイプで、黒ネコ型はミディアムタイプです。

・木部を高級感あふれるブラック塗装した「黒ネコ型ボディブラシ」が誕生。

・山羊の天然毛の白尖峰と、新たに採用した馬の毛で、毛穴の汚れを落としスキンケア。

・熊野筆の感動的なリラクゼーションで至福なひと時を。

- - - - - - - - - - - - - - -

熊野筆の化粧筆をご存知でしょうか？

私も「熊野筆で化粧をしてる！」という方もいらっしゃると思います。

男性は使ったことがないかもしれませんが、実は多くの方が熊野筆を体験したことがあるかもしれません。

理髪店でしてもらう「髭剃り」でシェービングの前にブラシで泡立てをしますよね。

そのブラシが実は熊野筆を使っている理髪店がほとんどなのです。

あの泡の肌あたり気持ちいいですよねー 。まさにあの気持ちよさがボディブラシになったら . . . . . .！

毎日のシャワータイムが癒しの時間になると思いませんか？

■熊野筆が選ばれる理由は毛にあり！？

熊野筆は主に山羊、リス、イタチ、タヌキ、鹿などの動物の毛の天然素材と、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などのアップサイクルの合成繊維の毛が使われています。

それぞれ特徴があり、チークブラシやアイシャドウなどブラシの性質によって適材適所で使われます。また複数の種類の毛を混ぜて(混合ブラシ)使用されることもあります。

黒ネコ型は書道筆にも使われる馬の毛？

今回開発した黒ネコボディブラシは、3種類の毛を使って試作を重ねました。

山羊の毛は生えている部位にによって毛の種類が分けれれます。化粧筆には「細光峰」「粗光峰」「白尖峰」「黄尖峰」と呼ばれる種類を使いますが、前回同様小さいブラシには「白尖峰」を使用します。

大きいブラシには通常のネコ型ボディブラシより固めのタイプも欲しいというお声を反映させて、書道筆にも使われる馬の毛を混合してみました。馬の毛は柔らかく弾力性もある尻尾の毛を採用しました。

使用する尻尾の毛は毛先だけを使用し、一頭から取れる毛はわずかな量しかなく「天尾」と呼ばれている高級毛です。

この微妙な配合により通常のネコ型ボディブラシより、黒ネコ型の方がほんのり固めとなっています。3種の毛、2段階構造のブラシが新しい感覚をもたらします。

山羊の毛は毛穴より細い？

人間の毛穴の細さはおよそ100μm〜300μm(0.1mm〜0.3mm)と言われています。それゆえブラシ1本の太さが毛穴よりも太いと、肌表面の汚れだけしか落とせておらず、毛穴の中までしっかりケアできていないことになります。

化粧筆で使用する山羊の毛の細さはおよそ100μm(0.1mm)！そして先端に向かって細くなります。つまり山羊の毛を使えば毛穴の中までしっかり汚れをケアできることになります。これこそが熊野筆が選ばれる理由なのです。

そして馬の毛は毛穴より大きいので、お肌の表面の汚れをしっかり落とします。

瀬戸内の恵みレモンで実験

ファンデーションには化粧下地には油分が含まれているので、その日のうちにきちんと落とさないと角栓の原因になってしまいます。

レモンにファンデーションを塗って実験してみました。

レモンを手で洗ってみましたが、レモンの表面の小さい穴にファンデーションが残ってしまいます。ファンデーションは固まってしまうとなかな落ちませんよね。

しかしながら熊野筆で洗ってみれば穴のファンデーションもしっかり落としてくれます。熊野筆がお肌の毛穴の角質や汚れをしっかり落としてくれます！

■ボディブラシってどう使うの？

①まずは穂先(ブラシ)の部分にしっかりと水分を含ませます。

②石鹸を使われる方は石鹸を下にボディブラシで円を描くように擦ります。

力を入れて擦ると毛に負担がかかり摩耗が早くなります。あまり力を入れなくて大丈夫です。

・ボディソープを使われる方はブラシとブラシの間に垂らして、円を描くように手で泡立てます。時折水分を補給してみてください。

※洗浄力のある合成系のボディソープ成分は、山羊の毛本来の油分を落としてしまい、劣化を促進してしまいます。長持ちのためにもできれば天然系成分のボディソープをお使いいただくことをお勧めします。

指先でブラシをかき混ぜるイメージで泡立てると、きめ細やかな泡がたくさん出てきます。この泡を使って洗顔などをするととても気持ちいいです。

③しっかりと泡が溜まってきたら洗っていきましょう。

ここでも円を描きながらゆっくり洗っていきます。タオルのようにゴシゴシ肌を磨くイメージではなく、肌を優しくほぐすように撫でながら洗いましょう。今までにない体験をしてみてください。

力が入れづらい場合はハンディタイプのように持って洗ってください。持ちやすいように設計しています。

背中の部分も磨きやすい長さに設計しています。私は体がかなり硬く腕も回らないのですがしっかりと届くようにしました。グリップも持ちやすい形に設計しているので力が抜けることはないようにしています。

④身体を洗い終えたらブラシもしっかり洗いましょう。

洗う場合はぬるま湯程度の温度で穂先の根元もしっかり洗いすすぎましょう。

※石鹸やボディソープが残っていると毛が劣化しやすくなったり、カビ繁殖の原因にもなります。

すすぎ終わったらブラシをしっかり絞ってください。絞った時に泡が出ると石鹸が残っています。洗い直してください。

⑤絞り終えたら風通しが良い方法で乾燥させましょう。

引っ掛けるための穴も設計していますので写真のようにぶら下げて乾燥させてください。

■晃祐堂のオールハンドメイドの魂がこもったモノづくりをご紹介

晃祐堂の熊野筆は職人の皆様の魂のこもったユイイツムニのモノづくりです。

工場見学に行くといつも感動してしまいます。

ブラシ部分は穂首と呼ばれ、製作工程は細かく分けると約30工程あるのですが、ここでは代表的な技法をご紹介します。

■選毛

穂先(ブラシ)を作る最初の工程が選毛です。天然の山羊の毛を白尖峰に分けていきます。さらに毛の硬さや太さ、クセを見抜き均一な品質になるように分けていきます。最初の工程ですが、化粧筆の品質が決まってしまう重要な工程です。

■さらえ

「さらえ」と呼ばれる工程は、網を毛の束に当てていきます。

化粧筆の基準に満たした網の大きさより太い毛は網に引っ掛かります。

その引っかかった毛を手でさらうように取り除いていきます。

網の大きさを2種類用意し、2つ目の網がより細かくなっています。

大きい網に引っ掛からない毛をさらいます。

この作業を繰り返し繰り返し、痛んだ毛や枝毛を取り除きます。

左の方が「さらえ」をする前の状態、右の方が「さらえ」で使えない毛を取り除いた状態です。この工程1束になんと平均23%取り除かれ、作業時間が15分かかります。こんなにも取り除くのはもったいないと感じるかもしれませんがブラシの品質をより良いものにするためなんです。

■寄せ

厳選された白尖峰と天尾をこの作業でさらに厳選します。

小刻みに振動する作業台で毛を束ねて振動させると、「さらい」の作業でとりきれなかったクセがある毛や傷んだ毛が不思議と飛び出てきます。猫じゃらしの原理ですね！

■精毛

コマで振動させる寄せの作業で整え、猫じゃらしの原理で浮いてきたクセがある毛や傷んだ毛だけを、手やくしを使って抜き取ります。力が抜けすぎると全部抜けてしまうので絶妙な力加減で抜いていきます。

■コマ立て

コマと呼ばれる治具を使って穂先の形状を整えていきます。振動する作業台の上にコマを置き、毛を入れ細かい振動を与えながら全ての毛がコマに馴染むようにします。コマ自体もブラシの用途や形状ににあわせて一つ一つオーダーメイドで製作しています。

今回は大きいブラシのコマと小さいブラシのコマがあるので2種類使います。

■括り

コマから取り出す前に、糸で毛をまとめて括ります。水平に均等な力で巻き付けるため適度な強さが求められる繊細な作業です。

この工程本当に難しいんです。私は全然できませんでした。 ←不器用 (>_<)

晃祐堂さんの工場では筆作り体験でこの作業できるので、皆様もぜひ体験されてください。

仕上げはピアノ線で括ります。必殺仕事人みたいでかっこいいですね！
もちろん私にはできません (>_<)

余分な毛をカットします

仕上り束ねた毛の根元の余分な毛をカットすれば穂先の完成です。

■毛と木部を接着

穂先を木部に接着すれば完成です。

全ての工程が手作業の晃祐堂の魂がこもった工程でした。

それでは次にボディブラシの木部の製作工程を見ていきましょう！

■木部には高級家具に使われる銘木「オーク材」が使われている？

黒ネコ型ボディブラシで使用する無垢材は、土井木工のブランド「AUTHENTICITY」のシリーズのソファにも使われる「オーク材」です。オークはアメリカ産のホワイトオークや、レッドオーク、ヨーロッパのヨーロピアンオーク、日本のコナラや北海道のミズナラなど、世界に約200種類ほどあるようです。

土井木工の家具やボディブラシで使用するオークは、ウィスコンシン州に分布する「グレーシャーオーク」を使用しています。厳密にはグレーシャーオークという学術名はないのですが、「グレーシャー / glacier - 氷河」のように寒い地方で育ち、年輪も細かく育っているので、ウィスコンシン州の製材所が地域ブランドとして呼称されています。

グレーシャーオークはホワイトオークとレッドオークの間くらいの性質を持っていて、ホワイトオークの白くもなく、レッドオークほど赤くなく、とても木目が素直で丈夫な使いやすい木です。

グレーシャーオークの丸太の前に立つ設計/企画者のドイケンです。

とても大きい丸太で、小口に対角線状に赤と青の線が入っている丸太が綺麗な丸太です。その他の丸太は曲がっていたり、小口が歪になっているので、その分木目が歪んでいたり曲がっているので、木目を気にする「AUTHENTICITY」の品質には合わない丸太です。

2017年に上質なグレーシャーオークの丸太をいっぱい買って帰りました！

世界情勢が落ち着いたらまたアメリカに仕入れに行こうと思います。

円安で辛い、、、

設計者 及び Makuake 担当者プロフィール

■土井健嗣(ドイケンと呼んでください！)

・1986年1月13日 広島県府中市出身

・日本大学大学院理工学研究科建築学専攻

・大学院修了後、一級建築士事務所 山本理顕設計事務所 勤務

・土井木工株式会社入社後、2015年より株式会社晃祐堂の化粧筆を使ったボディブラシやシューズブラシ等の設計制作に携わる。

・インターナショナルギフトショーにて株式会社晃祐堂と共同出店。ブースデザインも担当する。

・2020年 株式会社晃祐堂と共同開発した熊野筆が伝統的工芸品産業振興協会主催の伝統的工芸品公募展にて入選作品に選出される。

・2022年 Makuake LOCAL 共創 PROGRAMで開発した「ネコ型ボディブラシ」が応援購入728万円を達成。

・2023年「ネコ型ボディブラシ」の意匠登録と商標登録完了。

ドイケンは3Dが得意です

晃祐堂さんの化粧筆やボディブラシは建築用CADソフトで3Dモデルを作りながら設計しています。まれに木を手で削ったりしてモックアップを作ります。

建築学科や建築事務所で得たスキルをふんだんに使ったオリジナルのデザインです！

持ち方や曲線美にこだわり、機能とデザインの融合したプロダクトを心がけています。

CAMで加工データに変換

3Dが完成したらCAM(Computer-aided manufacturing)と呼ばれるシステムで3Dから加工データ(G-code)へと変換させます。CAMはマスターキャムを使用しています。

■CNCマシンで加工

加工データを機械に取り込みCNCマシン(Computerized Numerical Control Machine)で加工ができます。手作業や木工旋盤では不可能な加工も実現可能です。

このCNCマシンはカービングマシンと呼ばれています。土井木工の近所の上場会社「株式会社 北川鉄工所」のオリジナル開発された木工マシンです。この機械を使ってけん玉や楽器のパーツなども作っている会社もあります。

まず四角柱のオーク材のブロックをまずは荒削りの加工データを作って削っていきます。一気に削っていくと刃物が折れたり、木が割れてしまったりするので注意が必要です。

↑実際のスピードです。1ストロークで約11秒です。
1本あたり約30分削り続けます。

↑荒削りが終わって、ネコ型の形に削っていきますが、これも本仕上げではありません。

↑やっと形が見えてきましたね。ストロークの角度も抑えて綺麗に削っていきます。

穂首(ブラシ)を埋め込むための穴や、引っ掛けるための穴もCNC加工してきます。

研磨は人間コンピュータ

加工が終われば木を磨いていきます。この作業は機械ではできず職人の手に委ねられます。回転している紙やすりに絶妙な力加減で木部を当てます。一部だけ当てるとその部分だけ削れていくので形が崩れていきます。熟練の職人しかできない絶妙な作業です。まさに人間コンピュータ！

最終研磨はやはり人の手！木の感触を感じながら丁寧に研磨していきます。

■最後の塗装も5段階工程

研磨が終われば最後に塗装を施します。ここで黒ネコさんになっていきます！

下塗り、中塗り3回、上塗りと3回塗装と乾燥を2日間かけて繰り返します。

まずは木目の中に色を浸透させるためにまずは下塗りです。

次に表面にコーティングを施します。

中塗りで表面に色をつけていきます。

中塗りのコーティングです。

中塗りした表面を研磨していきます。つまり塗装の膜を研磨していきます。

その厚みわずか0.1mm未満です。ここで研磨のやりすぎで塗膜が剥がれてしまうと最初からやり直しです。この作業がとても大事で、お肌のお化粧と一緒で下地をなめらかにすると仕上げが綺麗になります。

最後の仕上げ材を塗装し、艶を調整します。

アメリカのシカゴの街で見た改造車のマットブラックをイメージしています。とてもかっこよかったんです。ほんのり木目が残り、高級感を出すよう塗装職人と意思共有しました。

みなさんにぜひ手にとって感じていただければと思います。

■高級桐箱でお届けいたします！

お届けの際は府中家具らしく、高級桐箱に梱包してお届けさせていただきます。

ご自身のプレゼントに！大切な人へのプレゼントに！いかがでしょうか？

■熊野筆と木の魅力を多くの人に伝えたい

・土井木工 株式会社

・株式会社 晃祐堂

2015年共同開発のSomellGardenシリーズ

2020年2月東京ビッグサイトにてインターナショナルギフトショーへ共同出店

KOYUDOコレクションや共同開発のシューズブラシやお掃除ブラジを展示。

※ギフトショーにて取材を受ける株式会社晃祐堂 土屋武美 社長

晃祐堂さんのお仕事には常に刺激を受けています。常に新しいもの、常に面白いもの、常にかわいいものを考えられている晃祐堂の土屋社長とスタッフの皆様。

晃祐堂さんと一緒にモノづくりをする中でどんどん熊野筆の魅力に取り憑かれます。

新しい可能性、新しいライフスタイル、新しいデザインをもっと作っていきたい。

そして、、、

広島県から生まれるボディブラシを世界に届けたい！

■リターンについて

■黒ネコ型ボディブラシ <ハンディタイプ>

サイズ：幅8cm × 全長12cm × 高さ7cm(木部4cm/穂先 3cm) × 重さ130g

素材

大きい穂先(ブラシ)：山羊の毛(白尖峰)50% +馬の毛(天尾)50%

小さい穂先(ブラシ)：山羊の毛(白尖峰)50% + PBTの混毛

木部：天然木(広葉樹) アメリカ産 グレーシャーオーク材

木部塗装：ハードプロテクト ウレタン塗装

■黒ネコ型ボディブラシ <柄付きタイプ>

サイズ：幅8cm × 全長35cm × 高さ7cm(木部4cm/穂先 3cm) × 重さ200g

素材

大きい穂先(ブラシ)：山羊の毛(白尖峰)50% +馬の毛(天尾)50%

小さい穂先(ブラシ)：山羊の毛(白尖峰)50% + PBTの混毛

木部：天然木(広葉樹) アメリカ産 グレーシャーオーク材

木部塗装：ハードプロテクト ウレタン塗装