※本プロジェクトは災害復興を目的としたプロジェクトのため、応援クーポンの利用はお控えください。

※能登が被災した関係で、アタラシイ商品・サービスを提供することが難しく、既存の商品・サービスにてリターンを設定しています。また、応援購入金額を復興に活用させて頂くため、一般販売価格より高い金額を設定している場合があります。

ご訪問いただきありがとうございます。石川県輪島市で輪島塗を中心に漆芸作品の製造を営んでいます。

地震発生直後からお見舞いや心温まる励ましのご連絡をいただき誠にありがとうございました。この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

◾️能登半島地震での被災状況

今回の地震は能登半島の広い範囲で甚大な被害をもたらしました。３月１日現在241名の方々が亡くなりました。輪島市内で９名の方が未だ行方不明です。心より哀悼の意を表し、行方不明の人が見つかり、私たち皆に一日でも平穏な日々が戻ることを願い日々の生活を進めています。

私は、細谷忠兵衛（本名：幸夫）と申します。石川県輪島市で17０年続く輪島塗の職人の家系に生まれ育ち、サラリーマン退職後、故郷の輪島にて、輪島塗の技術の伝承と発展を目指して漆器のものづくり会社：忠兵衛PRO株式会社を設立し、職人仲間たちと作品の製造販売をしております。

今回の地震により、活動拠点であった工房兼ギャラリーは全壊し、展示作品も大半が瓦礫の下敷きになるという大変大きな被害を受けました。発災から2ヶ月が経ち、輪島塗の技術の伝承が心配される中で、工房兼ギャラリーを再建し、日本の漆芸の頂点の一つである輪島塗の技術の伝承と輪島の街の復興に向け、ご協力を求めています。

◾️工房兼ギャラリーの再建と暫定的な店舗の開設

ギャラリーの再建には、建築関係者から最短で２年、普通にいくと３年以上はかかると言われています。輪島市内では被害に遭った住宅があまりに多く、その修理や建設を請け負う大工さんの数が少ない、しかも高齢な方が多く無理ができないからです。

この状況を勘案し、それまでの期間は取り急ぎ暫定的なギャラリー（店舗）を開設し営業再開を目指します。皆様には、商品の応援購入というかたちでご協力をお願いしたく、応援購入いただいた資金はギャラリーの再建費用に活用させて頂きます。一部は被災した職人仲間たちの職場や設備の復興に寄付させて頂きます。

これまでの歩み

◾️プロフィール：輪島塗の職人の血を受け継ぎ５世代目にあたります

私の自己紹介をさせて頂きます。石川県輪島市で170年続く輪島塗の職人の家系に生まれました。母は輪島塗の工程の一つである研磨を担当する研師、祖父は漆を塗り重ねる前のベースを作る下地師、曽祖父は重箱や座卓等の木地を作る指物師、高祖父は塗師でした。分業が確立している輪島塗ですが、私は複数の工程のDNAを受け継いでいるのかもしれません。子供の頃は輪島塗の絵師を夢見ていましたが自分に自信がもてずに挫折。絵師の夢は断念し普通に高校、大学を出てサラリーマンを続けました。

時折、帰省して輪島塗の現状(売上はピーク時の1/3、従事者は同４割以下)を垣間見る度に「自分で作品をつくり故郷の役に立ちたい」という願望が徐々に強くなり、17年前に作品を作り始め10年前に輪島市で初めて個展を開催しました。以降、計14回の個展を開催してきました。２年前に輪島に戻り漆器のものづくり会社を設立。私はデザイン、設計、プロデュースを担当し４人の職人仲間たちと役割分担して作品を製作しています。

以下が主な作品になります。輪島の海や景色と合わせてご覧ください（震災前の写真です）。

ホームページ（忠兵衛JAPAN：輪島塗の商社）は以下からご覧下さい。

https://chubay-japan.myshopify.com

◾️漆黒をベースに七色のエキゾチックな光を放つ魅力的な作品を創作

漆芸が衰退している要因は、①核家族化の進展による生活様式の変化（自宅での冠婚葬祭がなくなり漆器を使う場が激減）、②プラスチック製品や安価な漆器の台頭（高級な漆器は使わなくなった）、③雇用形態、若者の労働感の変化の３点と捉えています。また、マーケティング面においては伝統工芸へのこだわりがあり過ぎる為、デザインが疎かになっているのではないか？と私は感じてきました。

その点を克服し、漆黒をベースに七色に輝く螺鈿をモチーフに国内だけではなく、海外にも通用するスタイリッシュなデザインを標榜しています。これまで試作品を作り都内とオンライン上でテストマーケティングを繰り返し実施することで、デザイン、大きさ、色、リテール、価格等々のお客様からの評価及びニーズを収集・整理して魅力ある商品化につなげてきました。２年後にはヨーロッパで個展を開催する計画を進めています。

◾️古民家を工房兼ギャラリーとしてリノベーション

このギャラリーは、輪島市内の材木商が建てた築１００年の商家の古民家を工房兼ギャラリーとしてリノベーションしました。ふんだんに良木を使い、内装では漆喰と加賀弁柄（東大の赤門：旧加賀藩の江戸屋敷でも使用）を使った朱色の壁がとても魅力的な建物でした。輪島市内に残る歴史的価値のある建造物として昨春、「景観重要建造物」の認定を申請し今年度末の採択を待っていました。

自らの作品の展示と合わせて輪島が生んだ国宝級の作家が遺したビンテージ品を離れに展示。美術館に展示されるような非常に価値ある逸品を展示し、伝統的な輪島塗の美しさや素晴らしさを実感いただき日本人が忘れかけている「和の心」を感じて暫し癒しのひと時を過ごしていただくよう考えていました。

ギャラリーでは輪島塗の現物を展示し製造工程を説明。ご予約いただいたお客様には自作の食器やお椀、酒器を使い輪島で獲れた魚料理と地酒を自作の食器やお椀、酒器を使っていただく体験会を催していました。実際に漆器に触れてもらい本物の漆器が持つ本来の良さを実感いただくことが目的です。

そうした地道な啓蒙活動を介し日本人が忘れかけている「和の心」を取り戻し、本物の漆器に触れる経験を少しでも増やすことでそれを文化へと高め定着させる、それこそが輪島塗に関係する者の責務と感じ活動してまいりました。

このギャラリーは現代的アートとしての輪島塗の創造と伝統的な漆芸技術の保存・継承、発展の場と捉えていました。

加賀弁柄を使った朱色の土壁が美しい和室

能登ヒバの無垢材に弁柄＋漆塗りしたフローリング（応接室）

梅雨の長雨

梅雨の季節、外は雨が続ている。そんな日でもずっと庭を眺めていたくなる空間。ここには都会では経験できない無音の世界があります。

雪の日

ヒヨドリが茶梅の花の蜜を吸いに降りてきて声が甲高く庭に響き渡る。夕方、日が暮れ始めると外の雪が夕闇に染まり薄紫から紫色に変わっていく。

イベント時に開閉する門

◾️現在及び今後の展開

昨秋は東京ギフトショーに出展。海外のバイヤーから評価をいただき販路を開拓していました。この後も京都ギフトショー（3月6日、7日）、JAPAN SHOP（3月12日-15日於ビッグサイト）に作品を出展します。２年後にはヨーロッパで個展を開催する計画を進めています。

◾️工房兼ギャラリーの被災状況

晴れやかな新年を迎えた元旦の午後、これから家族で久しぶりの団欒を楽しもうとしていたところでした。大きく上下左右に揺さ振る激しい揺れに「これでは建物が保たない」と思った瞬間、ギャラリーは目の前で土埃を巻き上げて崩壊しました。

輪島の街の文化財の一部になることを目指し、１年半かけて一つ一つリノベーションしてきたギャラリー。弁柄を塗装した応接間、廊下、天井、箪笥階段や古い家具。全て倒壊し、屋根瓦や壁の下敷きになってしまいました。

◾️震災前のギャラリー：自作品の展示

食卓を想定した自作品の展示

自作品のアクセサリー展示スペース

◾️震災前のギャラリー：ビンテージ品の展示

国宝級作家が遺した逸品（座卓）

国宝級作家が遺した逸品（風呂先屏風）

◾️街の被害状況

至る所に倒壊した家、崩壊し倒れたり傾いたビルがありました。変わり果てた街の姿に愕然。比較的新しい家は無事だったものの、街を支え続けた古い商店の建物は軒並み潰れ、歴史的な価値があった古民家はほぼ全滅していました。

倒壊したビルの背後に火の手が近づく

そして街を覆い広がり続ける火事は冬空を赤く染め、時より空砲のような爆音が響き渡りました（プロパンガスの爆発）。火の粉が50−60m上昇しながら群れをなし、夜空を漂っています。そしてゆっくりと舞い降りてゆく。大空で煌めき儚く消えゆく姿は、まるで巨大な打ち上げ花火（枝垂れ柳）を見ているかのようでした。

火災時に舞い上がる火の粉

観光の目玉であった朝一通り。そこにある友達たちの店舗や住宅はすっかり焼け落ち、街は一面壊滅状態。職人仲間たちの家は跡形もなく倒壊し、見慣れた景色の変貌ぶりに、悪い夢を見ているかのようでした。

朝一通りの入り口付近 ※写真はいずれも１月１日の午後１０時頃に自らが撮影。

◾️輪島塗の復興のために

再スタートする工房兼ギャラリーは現代的アートとしての輪島塗の創造と伝統的な漆芸技術の保存・継承、発展の場と捉えています。まさに温故知新。今後も職人の仲間たちと共に輪島塗が持つ魅力を内外に広く伝えるとともに、輪島塗を多方面から評価して頂けるよう漆器の用途の新たな提案をして微力ながら伝統工芸の維持・継承に貢献できればと考えています。 

◾️応援購入金額の使い道について

9月30日までに、応援購入金額の用途について、詳細を活動レポートにて報告いたします。

◾️皆様へのお願い

輪島市内では現在もインフラ復旧（特に上下水道の復旧）は非常に厳しい状況のままです。輪島塗の作業には水が必須のため、仕事が出来ない状況が続いています。

倒壊した瓦礫の撤去作業は一人の力ではどうにも出来ないことが多く思うように進みません。そんな中でも「応援しています。いつかギャラリーに行くのを楽しみにしています」という声をいただきます。作品を待ってくれるお客様がいることが今の活動の原動力になっています。

「何としても輪島塗を復活させたい」これは輪島塗に携わる関係者の共通の願いでもあります。皆で助け合いながらこの難局を必ず乗り切って参ります。

「輪島塗は初めて」という方もこの機会に是非使ってみてください。いずれも輪島塗と輪島の未来のために応援購入をお願い申し上げます。

どうか皆さまには御力添えを頂けますよう、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

細谷忠兵衛