【チタンナイフ「彩」ができるまで】

「切れ味は美しい」

毎日のティータイムが楽しみな私ですが、茶菓子を食べる際、ぽろぽろと崩れやすいもの、一口で食べるには大きいものは切って食べたい。

でも、市販の菓子切りやフォークなどで切ろうとすると、厚みがあったり鈍角だったりでなかなか切れず、菓子が潰れたり断面が汚くて見苦しい。

サクっと切れるナイフもありますが、それだと皿に傷をつけやすく、また、大きすぎずちょうどいいものが見つからない。

「ならば自分で作ってしまおう」と思い立ち、作成したのが最初の一本でした。

オリジナル１は私がいつも作っているナイフと同じ素材の端材を使い、形をそのままにサイズを小さくしたもので、刃物としての性能は十分でしたが、菓子切りとして使うにはごつくて十分満足いくものではありませんでした。

そして、同時期に作成していたチーズ用チタンナイフ。こちらもそのままでは凡庸でつまらないと悩んでいました。

チタンは熱処理を施した鋼鉄と比べると硬度が低く、刃物には向かない。というのが一部を除いたナイフメーカーの間での常識でした。

私はそれはあくまで「硬いものを切るナイフとして」であり、発想の問題だと思い、チタンの適所を考えてきました。

菓子・チーズナイフ、チタン、この二つをただ足すのではなく、シンプルに凝縮していった結果がオリジナル２です。

その後、漆職人として培った技術を活かし、金胎漆器（金属を素地にした漆器）と螺鈿の技法を詰め込むことで【チタンナイフ「彩」】が生まれました。

今回販売するのは、愛猫家の私が自分用にデザインした最初のモデル、柄のインタリオ装飾が魚とフットスタンプの「彩・魚ver」です。

【螺鈿】

京漆器の技法のひとつで、漆を接着剤として板状の貝殻を絵の形に切り抜いたものや、砕いた小片を一つ一つ貼り付け、漆で塗り込み、研ぎ出して絵柄を作る技法です。

今回は均一な品質と見る角度によって煌めきが変わるのが魅力の京セラオパール「瑠璃（青ベース）」「紅（赤ベース）」「桜（緑と赤ベース）」の基本3色と、特別ve用として「百塩茶（黄・赤茶ベース）」をご用意しました。

漆の黒で裏打ちされることで、ベースカラーの色は暗くなりますが、その輝きがより際立ちます。

各単色仕様、「瑠璃」+「紅」グラデーション、「桜」+「紅」グラデーションの合計６つのパターンからお好きな色を選択してください。

今後、他の色を用いた限定verも販売していく予定です。

このナイフは包丁のような鋭い小刃はありませんが、ブレード部分を薄く、細く、シャープに削りこんであるので、パウンドケーキのような崩れやすいものも、チーズのような堅いものにも滑らかに食い込んでいきます。

シンプルかつ華やかさのある造りで、ティータイムの菓子切りとして、また夜の晩酌タイムのおつまみナイフとしてお使いいただけます。

【お届けまでのスケジュール】

作業の大部分が一人による手作業なので、一月辺りの製作数に限りがあるため、製品は順次製作、完成しだい発送致します。

また、予期せぬ事態で発送が遅れる場合は、その旨をご連絡致します。何卒ご了承ください。

【商品仕様】

●　日本製

●　全長　125ｍｍ

●　ブレード部分長　47ｍｍ

●　重量　約6.9g

●　使用素材　・Jis2種チタン　・漆　・京都オパール（京セラ製人工オパール）

【注意事項　お申し込み前にご一読ください】

●　本品は手作業にて作成しております。工程の性質上、一つ一つに微妙な差異が生じます。

●より良い製品作りのためにマイナーチェンジを行う場合があります。

●　包丁のような鋭い小刃（エッジ）はつけておりませんが、硬い素材ですので怪我にはご注意ください。

●　刀身は強靭ですが、強い力を加えると曲がり、破損する可能性があります。特に、柄部分の曲がりは漆装飾の剥離につながります。

●　洗浄は市販の食器用洗剤とスポンジで大丈夫ですが、硬い素材と擦れ合うと表面に傷がつき美観を損なう可能性があります。

また、長時間水に浸かる、あるいは濡れた状態での放置は漆装飾の剥離につながります。

【実行者の紹介】

私、堀居賢司は京都を中心に漆芸家として活動する傍ら、中高生時代からカスタムナイフメーカーとして活動中です。

ナイフはそれを構成する素材や形の多様さや自由度の高さから、自分のカラーをアピールするのに最適な品であり、私の場合は漆芸の技法をフィードバックしつつも、単なる日本刀の拵えの模倣にならないような作品作りを心がけております。

今回のプロジェクトではクオリティはそのままに量産が可能で、より多くの方に手軽に使っていただけるエントリーモデルとしての「作品」の開発を目標としております。

皆様からの支援は素材の入手や加工にかかる費用等、製作のための経費に充てさせていただきます。