時の形を楽しむ時計

時計としての機能に欠けた壁掛け時計

「BlockClock」シリーズ。ブロッククロックは積木を積み重ねたような針だけの壁かけ時計で時刻を正確に確認することはできません。時計は時を正確に計測する機器ですが、ブロッククロックは時間を形として表現するアナログ装置です。

デジタル的な社会の動きを見つめ直したいとの思いからの発想で工業デザインの機能的・合理的な考え方とは別の位置付けのデザインです。若い時に考えたものですが、今の時代に有るべきものと認識し、日本で時計ムーブメントを製作している老舗の専門メーカー㈱タカネとのアライアンス事業として取り組みました。㈱タカネは自社ブランドを持たないOEMメーカーですが、試作のブロッククロックシリーズを見て「自社ブランドを持ちたい」との思い、日本の小さな時計メーカーから世界に通用するブランドを構築したい思いが一致し製品化したものです。

「ブロッククロック」のデザインコンセプトは時間を確認するのではなく、時の形を楽しむ行為になります。ほんの少し人生を豊かにする新しい価値観の時計です。どんな形になったのか見たくなる魅力があります。機能性ばかりが優先のモノに溢れた中で、機能性を無視した感性に訴える記号性の意味を突き詰めた考え方のデザイン。そんなアート的な壁掛け時計が欲しいとの思いからスタートしました。（シリーズは全10種、今回はその中の3種）

プロジェクト概要

ブロッククロック・シリーズは掛け時計の新しい形の提案です。

【時を形に】 時間を計る時計の概念から離れ、時を感じる形をデザインしたプロジェクトです。

構想から十数年、試作を繰り返し装飾的な要素を一切省いた従来とは一線を画す立体構造の針のみの時計。立体的な針を動かすために高トルクの専用ムーブメントを開発し、長針/短針をスムーズに動かすこだわりの設計。

プロジェクト詳細

専用高トルクムーブメントを開発し立体構造の分針/時針の中にクオーツムーブメントを収めた針だけの時計。（日本製ムーブメントの老舗専門メーカー㈱タカネ）

記号的な造形の美しさを追求。

立体的な形状の針だけの極めてシンプルな壁掛け時計。

積み木を積み重ねたような、彫刻的な時針と分針よる陰影の変化が、魅力的 な時の表情を演出します。

モビールアートとしてのデザイン。

細部までこだわり抜いたデザイン、一点一点手仕事の丁寧なシボ塗装による高品質な仕上げ を追求しました。

ブロッククロックのパッケージから時計を引き出すと・・・ 驚きの形が収納されています。 一滴の雫ドロップの形や一本の矢 アローの形が現れます。この時計の価値を示しています。時を形として捉える考え方がご理解できるものと存じます。時計を壁に付けるマニュアルの丁寧な説明や細部にまで行き届いたデザインの考え方の価値体験は、このブロッククロックを手に入れる事で、ご理解いただけます。 アローは一本の矢をモチーフに立体的な時針/分針に記号化したもの、マン＆ウーマンは、生物学的な雄と雌の記号をモチーフにジェンダーフリーを表現したものです。 今までのアナログ時計の時間を計るモノとは、一線を画す極めて記号的なデザインの時計です。

利用シーン / 利用方法・操作方法

MAN & WOMAN 白と黒の組み合わせの形が魅力的

仕様

スケジュール: プロジェクト実施の計画 製品詳細の情報(リターン配送情報)

●設計/金型製作/塗装仕上げ/組立/梱包 日程

2021. 7.15 3Ｄ設計完了➡デザイン仕様チェック

2021. 7.30 金型発注完了

2021. 8.30 金型製作完了及び調整➡チェック

2021. 9.30 成型条件確定 試験成型➡チェック

2021.10.15 成型品量産➡チェック

2021.11.30 塗装作業完了➡チェック

2021.12.10 組立/梱包開始

2021.12.20 組立梱包➡チェック➡配送準備

● 配送準備

2022.1.20 配送

●パッケージデザイン/仕様書作成/梱包段ボールデザイン 日程

2021.8.30 ARROW /MAN&WOMAN パッケージ/仕様書/梱包 等 のデザイン完。2021.9.30 ARROW /MAN&WOMAN 包装パッケージ/仕様書/梱包 等 の製作完。2021.11.30まで、組立ラインに準備。

●リターンについて

ブロッククロック シリーズは人生を構成する時をテーマに指針になる言葉をイメージした形のデザイン。

アローは矢をイメージしたデザインのリターンコース

一つの矢では何の力もない、ただそれだけの存在、その一矢一矢の時の積み重ねが思いを射抜く力となる。

マン＆ウーマンはジェンダーフリーをイメージしたデザインのリターンコース

時の流れは社会的性別や男女の役割にとらわれず一人一人が自由に行動、発言、選択をできる時間は平等に与えられる。

ドロップ は水滴をイメージしたデザインのリターンコース

一滴の水がどうして己を大河と知るであろうか、だが大河は流れているのだ。 （サンテグジュペリ）

●用途・資金の使い道

1.金型製作費

2.パッケージ型製作費

3.射出成形費

4.その他、製作にかかる諸費用

実行者紹介

●江藤太郎 （えとうたろう）工業デザイナー (有)造デザインアソシエイツ

コメント：ブロッククロックシリーズのデザインコンセプトを含め、外観フォルム・パッケージ・ロゴやグラフィックスを含めたすべてのデザイン。ディテールの隅々まで、念入りなデザインを施し見えない部分の背面に至るまで、美しい在り方のデザインに留意、特にカラーは成型では目的の色彩は難しいので、1点1点の塗装仕上げにこだわりました。（10種のデザインの中のスタートアップ３種です）

●小松雅（こまつ まさし）㈱タカネ 所属：開発設計

コメント：主に本製品に関わりますムーブメントの設計を致しました。針自体が特殊な為、弊社通常ムーブメントに比べ、分針トルクを上げる必要がありこのトルクを上げる為、分針車サブの選定に苦労しました。ブロッククロック専用のムーブメントを作成致しました。

谷腰真一（たにこし しんいち）㈱タカネ 所属：組立・管理

コメント：組立時、時針にリブがあり、時・分針がスレないように成型されていますが、先端が重ならないよう組み立てる必要があり非常に品質を問われる作業と塗装工程の繊細なカラーリングの品質管理に万全を期しています。立体的な針の構造であるため、単にムーブメントに針を取り付ける事では全く動作しないので、試験を重ね設計的な工夫の針と専用ムーブメントの開発を決定しました。

山岡寛（やまおか ひろし）㈱タカネ 所属：品質管理

コメント：針の重量バランスを保つ為、分針に付ける錘の重さ選定に苦労しました。弊社のムーブメント仕様にて電池電圧1.3vでも動作しなくてはいけない為ただ錘を付ければ良いと言うわけでは無く、そういった事を踏まえながら、錘の重さ選定を致しました。また、時・分針のスレを防ぐ為、時針にリブを立て、時・分針のスレを無くす構造を考えました。