アールブリュット作品の素晴らしさに惚れ込んで始めた「アトリエやっほぅ‼複製画プロジェクト」は、作品を複製画にして販売し、その収益を画材費や作家の工賃として還元する取り組みです！

フランス人画家 ジャン・デュビュッフェ（Jean Dubuffet,1901年-1985年） が作ったフランス語。「生（き・なま）の芸術」と訳されています。
正規の美術教育を受けていない人が自発的に生み出した、既存の芸術のモードに影響を受けていない絵画や造形のことを指し、英語ではアウトサイダー・アートと称されています。

アトリエやっほう!!は、京都市伏見区の丹波橋にある、社会福祉法人京都身体障害者福祉センター「京都市ふしみ学園」の創作班です。

京都市ふしみ学園 http://f-gakuen.sakura.ne.jp/

社会福祉法人京都身体障害者福祉センター　http://www.kyofc.or.jp/

 ～絵画制作や陶芸作品制作に日々楽しみながら取り組んでいます～

京都市ふしみ学園は、利用者の発達の可能性を信じて支援する” 生産型生活介護事業所です。
作業やアート活動を通じて、能力を発揮し、豊かに生きるちからや共に喜び合う心を育むことを目指しています。

京都市ふしみ学園に通う、知的に障害がある方々の日中の生産活動の中で「好きなことに思いっきり取り組んで、充実した学園生活を送ってほしい」と願って少しずつ始めた小さなアート活動が、月日を経るごとに進化し、思いがけない素晴らしい作品が生まれていきました。それが「アトリエやっほぅ‼」。

そんなやっほぅ‼の作家の個性あふれる作品を観ていただく機会をと、ささやかなギャラリー展を重ねて今日に至ります。

様々に生まれていく作品とともに、表現者であるやっほう‼の作家はみんな生き生きと生活するようになっていきました。この6年間の間に、様々な公募展で入選する作品も生まれ、2014年にはそれら16点を集めて作品集も発行しました。

アトリエやっほぅ！！の作品展覧会に来て下さった方々の感想は、「びっくり」「何とも言えず温かい、優しい」「すごいインパクト！」「なんと精密！」・・・。

わたしが「アトリエやっほう！！」に関わり始めたのは、偶然出向いた展覧会場で「作品を買いたい」と申し出たけれど「売ることを想定したことがない」という理由で叶わなかったこと、原画が無理なら複製画を作ってくださいと施設にお願いしたこと、そしたら「あなたが作ってください」と返され、作ろう！と強く思ったことが始まりです。

個性的でどこか温かい彼らの作品を一人でも多くの方に見ていただきたい！そんな思いと、あちこちで聞いた「この絵を売っていただけませんか？」というお声にお応えしたいという思いから、本当に複製を作ろう！と思い立ちました。

今も熱狂的なファンの一人でもあります。

木村全彦「旬の食材」543×755ｍｍ色鉛筆画

（京都の石崎様による原版データ製作費助成により製作、2作目の複製画）

　複製画の製作は、まず経費のシミュレーションをし、３名の方にお買い上げいただけたら実現可能と考え、複製画製作の方法の模索と同時に購入者を募り、３名の購入希望者に出会えたことで実現しました。
ところがそのうちの２名の方から、複製画の購入ではなく「版をおこす費用」を助成したいとお申し出いただき、幸運なことに2点の複製画を製作することが叶いました。

２０１３年春に企画を始め、１年の月日を経て、ついに複製画第一弾「白くま」が実現。原画の画材の質感まで忠実に再現し、触れたらクレヨンでべたべたになりそうな複製画に仕上がりました。

人と人とのつながりから波紋のように輪が広がり、現在までに7作品の複製画が生まれています。

これからも複製画のラインナップを増やしていき、作品を一人でも多くの方々に見ていただくこと、障がいのある方々の創作活動の活発化や継続、環境整備、画材購入、そして工賃への還元のため収益創出を目指して積極的にＰＲしていこうと考えています。
原画の劣化も心配しており、アーカイブの意味でも複製画製作は有効と考えています。

このアールブリュットの作品を「複製画」という形で世に送り出すスタイルが、福祉分野の芸術作品の存在をより多くの人々に認知していただくことに繋がっていくモデルケースとなることも夢見ています。

嶋津  仁「外国のお酒」

（東京の小林様による原版データ製作費助成により製作、4作目の複製画）

2014年7月にスタートしてから思いがけないたくさんの嬉しい出会いに恵まれ、7作品もの複製を製作することができました。
励まし続けてくださる皆様、背中を押してくださった皆様、拙い説明に耳を傾けてくださった皆様、趣旨に賛同して複製画の原版データ製作費を出資してくださった皆様、そして複製画をご自宅に、会社にとお迎えくださった皆様・・・
本当にありがとうございます！！心から感謝申し上げます。

お一人お一人にお会いしてやっほぅ！！のこと、作品のこと、複製画プロジェクトのことをお話したり、小さな作品展示会をしてきましたが、一人で動ける範囲はあまりに小さく、まだまだたくさん存在する素晴らしい作品をご紹介したい思いばかりが膨らんでいくばかり。

そこでカレンダーを作って、たくさんの人に作品を見てもらえたら！と思いついたのです。ですがカレンダーは季節もの。大量生産することもできず、少量の印刷では高価なものになってしまいます。作っても時期が過ぎてしまうと在庫になってしまうリスクを思うと中々踏み切れずにいました。

そんな時に出会ったのがマクアケのクラウドファンディング！

このスタイルなら、欲しい!と思ってくださった方にカレンダーをお届けできるはず！どんな反応があるのかドキドキしつつ、でもたくさんの人に作品を見ていただくことが叶う!そう考えてチャレンジしてみたいと思いました。準備をするうちに、プロジェクトを興した最初の気持ちを改めて思い返す機会にもなりました。

大人も子供もお年寄りも障がいのある人も、世界中の人々が皆幸せを感じられるような社会をと願う気持ち、初めてやっほぅ！！の作品を見たときの興奮、やっほぅ‼の創作現場で感じた、彼らの集中や没頭への羨望、様々な思いを彼らの作品に託し、カレンダーに掲載してご紹介していきたいと思います！どうか応援してください！

海外ではすでに専門の美術館がいくつか存在し、（http://www.artbrut.ch/fr/21070/collection-art-brut-lausanne）2012年にパリで12万人を超える観客を動員した アール・ブリュット・ジャポネ展のあと、日本でも注目されはじめている「アールブリュット」。最近は海外の現代美術の市場でアールブリュットが評価を受け需要が高まり、コレクターも増えている中、  日本では作家の存在や作品の調査が始まり、アールブリュットの海外作品の展覧会や、海外で評価された日本の作家のクローズアップ、また企業や行政、自治体主催の様々なアールブリュット作品コンクールやモチーフを活用した商品の開発がぼちぼちと始まっています。でも、まだ「アールブリュット」という言葉を知らない人が多いのではないかと感じています。

京都市ふしみ学園のアトリエやっほぅ！！の作家のように、知的障害を持つ人の中に、美術教育を受けていないのに素晴らしい作品を生み出す天才的な感性や能力を持った人が存在し、作品が生まれていることをもっと知ってもらいたいという思いがずっと強くあります。

アールブリュットの作品の多くは、本人に売る意思がないこと、ご家族が売りたがらないこと、施設側も作品売買のノウハウや価格設定などの専門知識を持っていないことも多く、また権利関係が曖昧なため原画の販売は非常に難しいのが現状です。

しかし「この絵が欲しい！」という声をたくさんいただきました。

それで精巧な複製画を作って 、欲しいとおっしゃって下さった方にお届けしようと考え、製作を模索し、2014年7月に製作をスタートしました。

まだ他には誰もやっていない取り組みかなと思います。

全国各地の様々な素晴らしい作品が存在します。それらの作品は、複製画にすることで保存、作品販売の収益還元ができる可能性があり、この取り組みがどんどん広まってほしいと願っています。

大阪吹田　Zutto-Coffeeにいる「白くま」（原画サイズ複製画）

http://zutto-coffee.com/

3年前、とある機関紙に掲載するための取材で、初めてアトリエやっほぅ‼の作品展に行きました。雪の降る寒い二月のこと。終了間際の最終日の夕方でした。

そしてそこに飾られていた一枚の大きな絵に強烈に惹かれたのです。その作品が嶋津仁さんの「パンダ」でした。仏像が好きで足繁くお寺に視に行くわたしには、そのパンダの表情が、まなざしが、見上げるわたしの心境によって変化する仏像のそれと重なる心地がしたのです。

しばらくじっと眺めた後、「この作品を部屋に飾って毎日眺めたい」と思い、スタッフの方に「この作品は売っていただけますか？」と聞いたのでした。

嶋津仁「パンダ」1100×800ｍｍ　クレヨン画

（大阪のビジネスレンタリース株式会社様の原版データ製作費助成により製作・5作目）http://bijiren.com/

しかし、当時全く作品を売ることなど想定していなかったアトリエやっほぅ！！。「いやぁ、考えたこともないですねぇ・・・」と。

後日、取材のお礼にと京都市ふしみ学園のアトリエやっほぅ！！を訪ね、施設の廊下に飾られたたくさんの作品を眼にし、「この作品を買わせていただくことはできませんか？」とご案内いただいた園長に再度お聞きしました。

そして「原画がダメなら複製を作ってください。複製でもいいので欲しいです！」と言うと、「じゃあ、あなたが作りなさいよ」と笑顔で仰ったのです。（本気で仰ったのか、冗談だったのかは・・・わかりません）

京都市ふしみ学園の廊下の作品展示風景

その日から、いきなりアトリエやっほぅ‼にどっぷり関わることになり、複製画製作の実現に向けて、製作方法や費用などゼロからのリサーチが始まりました。友人知人に「印刷屋さんをご存じないですか？」と聞いて回ることから。

複製画の製作方法を模索するうちに、たまたま少し前に滋賀県でアール・ブリュット作品を見たという、友人の大学の先輩の印刷会社さんの担当者に出会いました。そして京都の古地図や古い文化財の複製を制作している機械を開発されたニューリー株式会社（http://www.newly.co.jp/scanner/scan-muse）を紹介してくださいました。

会社を訪ね、実際に制作された美術品の複製をいくつか見せていただきました。摘まめそうなちぎり絵の複製、彫れていると思って触ると全くフラットなままの版木、立体に見えた観葉植物・・・。クレヨンや色鉛筆はどんな風に再現されるのだろうかとドキドキしつつ、実際に「白くま」でテストを行いました。

そうして色彩もさることながら、塗り重ねたクレヨンの盛り上がりや油の照り、色鉛筆の筆圧の食い込みなども正確に再現された大満足の複製画が誕生しました。

ニューリー株式会社の担当者の方々も作品をとても気に入ってくださり、ご注文をいただくたびに1枚1枚色や照度．彩度などをチェックしながら丁寧に製作し、複製画が生まれていくのを凄く喜んで応援してくださっています。

製作現場を訪れて初めて、この作品を描いた作家に出会いました。そのときに受けた衝撃は今もずっとこころのなかでバクバクと・・・。物凄い集中、物凄い作品、なんでこんな絵が描けるんだろ？！・・・興奮状態で「凄いっ凄いっ」って園長に言ったと思う。

それから少しずつ、彼らの障がいのこと、アトリエやっほぅ‼の理念、知的障害や肢体不自由な方々の日常のこと、通所して行っている作業のこと、その対価として支払われる「工賃」のこと・・・彼らと接しながら、様々なことを教わり始めました。そして創作活動を行う施設の思いや苦労、悩みも伺ったのでした。

アトリエやっほぅ‼の作家を含め、軽作業で彼らが得る一か月の工賃が、たったの5000円だったり10,000円だったりすることも知りました。絵を描いたり陶芸をしたりすることで、ふしみ学園に通って過ごす時間が少しでも豊かな時間となるように、障がいを持っていてもその人の可能性をどこまでも信じて、そんな思いで始まったという創作活動。発足して５年、どんどん作品が描かれ倉庫に眠っていました。陶芸作品は少しずつバザーなどで販売されていましたが、絵画作品は、一部モチーフを活用したグッズを販売していたものの、画材や工賃、環境整備に充てる費用には程遠く・・・という状況。

もしかして複製画が売れたら・・収益が出たら・・・それで画材が買えるかも！作家に還元できるかも！そしたらこの素晴らしい創作活動の継続の助けににもなるかも！欲しいという人と、作家と、アトリエやっほぅ‼、そして関わるわたしも皆ハッピーかも！

いつしか「パンダ」を買うことも忘れて、懸命にこの複製画プロジェクトをＰＲしはじめていました。

そんな風に複製画製作を思い立ってから1年3か月が過ぎ、縁あって3人の「白くま」ファンに出会い、第一作目の複製画が誕生する運びに。

ところがこの3人のうちの2人が「原版データ作成費を出しましょう！」と申し出てくださり、いきなり2つの作品の複製画製作が叶ってしまうことに！そして「何かできることはありませんか?何か力になりたいよ」「絶対にやってね！ほんとにほんとに大好きな作品だから！」と幾人もの方々に励ましていただき、その言葉に背中を押されて、このプロジェクトが無我夢中で走りだしました。

嶋津　仁「白くま」800×1100mm　クレヨン画（複製画第一号作品！！）

初めての製作に立ち会った時の不安と期待。思えばその時からずっと、興奮したまま半年が過ぎ、このプロジェクトを立ち上げた2014年7月から、あっという間に月日が過ぎていきました。

すでに7点の作品の複製画製作が叶いましたが、まだまだ素晴らしい作品がたくさん存在します。そんな素晴らしい作品をもっともっとたくさんの方々に知ってもらうために、複製画プロジェクトの概要と候補作品をピックアップしたカレンダーを製作しようと思い立ちました。

興味深い、未だ複製画になっていない作品12点と、すでに複製画になった作品の原版データを使った、でっかいA1サイズ（594 × 841 ミリ）の両面カラー刷り3枚セットの新しいデザインのカレンダーです。（4月～7月、8月～11月、12月～3月の3枚セット）

現在製作企画中！画像はイメージです！使用する作品を厳選吟味中！

協力:oinaikarasuma　http://oinai-karasuma.jp/　カレンダーデザイン:白川サトシ）

初めまして、「アートプロジェクト大きな羊」の植村美樹です。

兵庫県の北部、志賀直哉の「城崎にて」で知られ、ちょうど今の季節は松葉ガニのシーズン、古くからの湯治場「城崎温泉」の出身です。

わたしは、祖父の影響でお習字を習い始め、書道の為に京都に行き、墨跡と出遭って禅寺へ行き、書道の為に様々なジャンルの芸術を追いかけ、好きで始めた合唱も、音楽と書道の共通性に感動してどっぷり嵌り、書道の素晴らしさを伝えたくて筆遊びの教室を開き・・・と、振り返れば書道バカの数十年を過ごしてきました。その書道を通じて拡がっていく興味は多岐にわたり、興味を持つとのめり込み・・・。そしてアール・ブリュットに出会い、惹かれ「アトリエやっほぅ‼」に辿りつきました。

この「アトリエやっほぅ‼複製画プロジェクト」を興したとき（2014年7月）に、「アートプロジェクト大きな羊（おおきなひつじ）」を立ち上げました。

アトリエやっほぅ‼複製画プロジェクト　http://large3sheep.jimdo.com/

アートプロジェクト大きな羊は、これまでにアトリエやっほぅ‼の作品展の企画をはじめ、書や写真の展覧会、音楽会の企画運営など、素晴らしい！と惚れ込んだ人や作品の紹介をしてきました。

一人で始めた取り組みですが、その度ごとに新たな出会いを生み、次へ次へと展開していきます。

このクラウドファンディング「マクアケ」もそんな流れの中で出会ったことの一つです。

嶋津仁「ペンギン」800×1100ｍｍ　原画サイズ複製画

（大阪のコボット株式会社様の原版データ製作費助成により製作・3作目）

このたびクラウドファンディングを活用して、作品を、そしてこのプロジェクトをたくさんの人に知っていただくために、既に複製画になった作品や、候補作品を紹介するカレンダーを製作します！

どうか応援してください！

アトリエやっほぅ‼複製画プロジェクト

http://large3sheep.jimdo.com/

アトリエやっほぅ‼複製画プロジェクトfacebookページ

http://www.facebook.com/project.atelieryyoohoo/

アートプロジェクト大きな羊facebookページ

http://www.facebook.com/Artproject-大きな羊-1465802030335675/

oinaikarasuma　

http://oinai-karasuma.jp/　

井垣正広「ポーズを取るモデル」（大阪のビジネスレンタリース株式会社様の原版データ製作費助成により製作・6作目）http://bijiren.com/

井垣正広「ジャングル」（7作目）