

はじまりは、1本の電話から
「使用済み消防服をバックなどにリメイクできないでしょうか。」多野藤岡広域消防本部から、handmade & craft On y va !(以下:On y va !)が電話を受けたことにより、このプロジェクトが始まりました。
担当消防士荻原さんの4年越しの想い
令和2年度に被服等の担当となった当初から、廃棄消防服の再利用を考えてきましたが、その特殊性から手掛けてくれる業者がなかなか見つからないまま部署異動に。
その後、防火服の更新とともに、保管場所や処分費用の問題が再度提起されましたが、再利用ではなく廃棄の方向へ。
この現状を何とか打開したく、担当部署ではないけれど、自分が主体となってアップサイクルを実施したい旨を上司に伝え、過去のノウハウを生かし、企業に限らず、個人製作も視野に検索、今回、藤岡市鬼石のOn y va!と繋がることができました。

On y va !の想い
私が今まで関わってきたクラフターやハンドメイド作家と呼ばれる人の多くは、その製作技術が高いにもかかわらず、量産品と比較し狭い世界に留まりがちになっているのが現状です。
そんな中、地元消防署からの「耐用年数を迎えその役目を終えた消防服をどうにか付加価値を付けてアップサイクルしてほしい!」との連絡。それらは紛れもなく「人命救助に使われていた価値のあるもの」。純粋に人の命を守りたいと思い、消防士という仕事に身を置いている隊員さんのお話を伺って、胸が熱くなる思いがしました。
そして、私が関わるハンドメイド作家なら、おしゃれ・かっこいいがプラスされたアップサイクル製品が作れると確信しました。

アップサイクルプロジェクト成立!
お互い色々意見を出し合い、このプロジェクトの成功を目指して、何度も打合せを重ねました。試作品が出来る度にさらなるアイディアが生まれ、可能性がどんどん広がります。普段全く接点のない消防と民間が、コラボできることになったことは、まさに「奇跡の出会い」でした。
今回の「ハンドメイド作家が手掛けるワンランク上の消防服アップサイクル製品」には、関わる人すべてが喜ぶ繋がりを生み出せる力があると信じています。

地方紙の社会面にも掲載
SDGsを視野に入れた資源の有効活用、産業廃棄物の削減、防災意識の向上、地域社会への貢献、など、民間と協定を結び、群馬県内での新しい取り組みとして注目を集めています。(上毛新聞記事へ)


耐用年数を過ぎた消防服は産業廃棄物になること、そもそも消防士の命を守る隊服には使用に期限があります。
消防服としては使用できなくても、一般的に利用するには問題ないだけでなく、機能性に優れたアラミド繊維でできた消防服は、日常生活ではめったに出会うことのないとても貴重な生地。
今回、廃棄される多野藤岡消防ではその数およそ100着以上!!
これほど多くの数が一度に処分されるのはめったにない事。
そこで、大型のバッグから、小さなスマホポシェットまで、生地を余すことなく使うために、様々なアイテムを一度に考案しました。

消防服からアップサイクルする4つのステップ
1.洗濯
(多野藤岡消防で洗濯・保管したものを使用)
2.解く(ほどく)
・消防服の表と裏を別々にする
・付属品(パーツ)をとる(ファスナー、反射板、バックルなど)
・作るものに必要な部分を大まかに裁断
3.型紙に合わせて裁断
4.縫製

カッコ可愛い細部のアイテム
消防服に付属しているアイテムは、どれもしっかりしていて、そしてなんといってもカッコ可愛いデザインは遊び心をくすぐります。

★ On y va!のこだわり! ★
購入したのはパラコードとクッション材のみ!
製品の裏地はもちろん、リュックの背中部分のファスナーやニュースペーパーバッグに使ったベルト送り、ガーデンエプロンのベルトやバックル、ミトンの縁取りに使用したバイヤステープ、飾り用のベルト通しに至るまで、すべて消防服から丁寧に外し再利用ています。購入したのは巾着・ポシェット用のパラコードと、クッション材のみ。芯材などは頂いたものが多く、無駄なく使いたい、という気持ちはここにも表れています。
汚れや擦れも、消防士がリアルに使用した証!
サンプル製作用に頂いた消防服を見て、背中や襟、錣(しころ)はあまり汚れていないけれど、ズボンの裾や膝、袖回りは汚れが目立ちました。
特に痛みがひどい部分を除き、この汚れも、擦れも消防士が現場に立ってリアルに消火作業をした証として、皆様にご理解頂けたらと思います。













北村 大樹
2024.12.23
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